前回コラムで簡単に触れた標題の気づき。
「もしかま2024」の複数プログラムでお聞きした話をベースに
私なりにまとめてみました。
① 被災地に救援が届くのは早くても3日かかる。
さらに、「1週間でも5割にしか支援が届かず、1割程度は1月以上かかる」
という調査結果が衝撃的。少なくとも、3日分、できれば1週間分の備蓄が
必要で、それでも十分ではない場合もあるということです。
また、神奈川県は(ここ30年の被災地と比べ)人口が多いので、
これら調査以上に時間がかかる(もしく、支援が届かない)ことも
あり得るでしょう。都心部は、もっと大変かもしれません。
② 地震で上水道が止まったら、下水道も危ないと心得る。
水道管の破裂による飲用・生活水の欠乏は報道でも表に出てきますが、
水道管が壊れるということは、下水管も同じように壊れると考えて
おくことが大切です。トイレが使えるとしても、そこに汚物を流すと
家の床下を通っている下水管が壊れていた場合、床下に漏れて溜まって
すぐに詰まって使用できなくなり、あとの処理が非常に厄介なばかりか、
復興の際にも大きな障害になります。
マンションのような高層住宅では、上層階の住人の汚物が下層階の住民の
トイレからあふれるという事態にもなりかねません。
※大地震の後、下水道を使うことにも細心の注意と確認が必要。
風呂桶に水をためてるなどしてあっても、下水管の状況を確認できるまで、
使用は控えるべきでしょう。
③ 地震直後は、トイレは「携帯トイレ」にする
上記②の関連で、トイレの使用は控えるべきとなると、携帯トイレは必須。
説明してくれた方によると、「100円ショップで売っているもので十分なので
できるだけたくさん備えておき、外出時にも1つ携行するのがベスト」との
ことでした。大半の方が、1日に5-7回トイレに行くので、避難生活の間に
必要となる数量は、かなり多いでしょう。以下のような簡易トイレで、
「何回使えるか」の実験をやっていましたが、平均して3回はOKのようでした。
状況によって変わるので無理に詰め込まず(笑)、上手く利用するのが大事です。
さて、ここで「理科・社会科的」な説明です。
① 救援が届くまでの時間には、社会科的な要素が多く含まれています。
過去の震災発生地域と地元の人口密度を比べたり、道路配置や地形を見ると
人口920万人の神奈川県と110万人の石川県では大きく条件が違います。
神奈川県の中でも、地域によってさらに異なってきますね。
鎌倉市の幹線道路が、がけ崩れや津波、地割れなどで寸断される可能性も
色々想像を巡らせると読み解けてきますが、ここでは理科の知識も有用です。
道路寸断や水道管破裂の要因のひとつ「液状化」。
平時は土砂と水がしっかり結びついて固まっている土壌が、地震の揺れで
水と土砂に分離して、重い土砂が下層へ、軽い水が上層に移動します。
すると、建物や道路は水をふんだんに含んだ「ふにゃふにゃな土壌に
浮いた状態」となって、あえなく崩壊します。これは、「分子結合」と
「対流」の原理から説明できるので、「理科」ですね。
②下水道管が破裂する理由も、流れで説明してしまいました(笑)。
昨日のパートナーシップミーティングに参加されていた企業の方が、
「液状化の仕組みの分かる模型」を持参されていました。
防災講話の際に、こうした模型を持ち込み、地図を見ながら実験すれば
興味を持ってくれるお子さん(親子さん?)も多いのではないでしょうか。
建物内の下水道配管については、「水が高いところから低いところに流れる」
という「位置エネルギーと運動エネルギー」の原理で説明できますね。
③ 「携帯トイレ」については、汚物が漏れないようにすぐに固めてくれる
「水溶性ポリマー」。自分の重さの100倍以上の水を吸収し、紙おむつ
などにも使われている材料です。ポリマーの粒子が水の分子を取り囲み
流動性を抑えてくれ、焼却も可能です。燃焼効率が悪いので、環境技術の
施策としては燃やさずに再生する研究が進んでますが、災害時には
「背に腹は代えられない」ということですね。
ポリマーの特性にしても、長期的な環境視点での再生技術にしても
「理科」のテーマとして、後者は「社会科」としても奥が深いですね。
いかがでしたか?
因みに、私の大学生時代の専攻は「経営学」。
科学系の専門ではありませんので、もし「勘違い」とかを発見されたら
せひお知らせください!(笑)
次回は、今回書ききれなかったことをお話したいと思います。
(以下からどうぞ!)
◆前回のパートナーシップミーティング記事
東水会 自治会長
菅野 哲央