そんな感じですから義母が台所に立つと
しっちゃかめっちゃかになります。
調理器具も山のようになります。
コンロは油汚れでベチャベチャ、水もはねまくりです。
買ってきた野菜もいつまでも置きっぱなしです。
さすがにナマモノはすぐに冷蔵庫には入れますが。

布巾も目に付くそこらじゅう常に7~8枚置いてあります。
それも用途で分けていないのでどれも同じくらい古く汚れています。
実家の母は例えばまな板周り用の『A』が古くなってきたらコンロ回り用『B』にして、
また新しいものを『A』として使い分ける、というような事をしていたので、
それが当たり前だと思っていました。
うちの布巾は今やどれが古いのか新しいのか解らない。
ちなみにそれはめったに洗われる事はありません。

そして何といっても義母の味付けは濃いぃ!
味付けは市販のだし、たれ、塩をたーっぷりです。
味噌汁の味わい深さにはビックリしました。
普通は逆で若い方が濃くなってしまうのではないでしょうか。
以前は仕上げに味の素を山のように振りかけていました。

そんな義母の日課はTVの料理番組を見る事です。
毎日決まった時間になるとメモを片手に熱心に見ています。
そして山のように料理本を持っています。
その中に見受けられたタイトル、『男心をくすぐる料理』。
義父はくすぐられているのでしょうか。

料理はセンスだと思います。

そして片付けもその能力のうちに入ると思います。


義母は物を捨てません。
収納には限りがあるので、ある程度の期間使わなかった物は
捨てていくべきだと思うのですが。
きっとしまう場所がもう無いせいで、いたる箇所に色々な物が置いてあります。

一見、片付けたのかな?と思って見てみると
死角に隠してあることもよくあります。
ある日、洗面所の上に備え付けてある棚の扉を開けると
『手巻寿司セット』と書かれた箱が3つ重ねて置いてありました。
何故に3つ。洗面所に3つ。
でも私がこの家に来てから手巻寿司を見かけたことは一度もありません。

義母は物を捨てませんが、新しく物をよく買います。
でも買い換えではなく、買い足すのです。
古くなったから買ったはずなのに、古い物もそのまま置いておきます。
もちろんそれを使うことはありません。

布団もここは旅館か?というくらい押入れに入っています。
でも客人に使うのは私たちが転勤先から持ち帰った新しい布団ばかり。
「だってめじろ子ちゃんの布団の方が綺麗だから。」
当たり前だ。私はちゃんとシーツも洗うし、布団も干しとる!
そういや、以前には見かけなかった新しいタンスがあったのですが
その後ろには古いタンスが置いてありました。
当然、古いタンスは開けることは出来ません。

私は物であっても命があると思っています。
使わなければその物は死んでしまうと思っています。
うちには成仏出来ない物たちがゴロゴロ眠っています。
ここに置くなら是非使ってあげなくては物が可哀想。

それは家に対してもしかり。
どうしてこの家を美しく使ってあげないのか不思議です。
この家の魅力は絶対に半減していると思います。
建て替えた甲斐が無いってものではないでしょうか。


義母が“ずぼら”だと気付くまでにそう時間はかかりませんでした。
一見して部屋はスッキリ片付いてない事はすぐ解ります。
いったん物を置いたら何日でもその場所に置いてあったりします。
そしてそのまま忘れたりします。

洗濯物もいつ洗ったのか知りませんが、いつまでもカゴに移し替えたままです。
さすがに洗濯機の中に入れっぱなしはマズいと解るのかもしれません。
でも水取りホースなんかは夕方まで浴槽に浸かったままです。
取り込んだ洗濯物も大抵、丸一日はリビングに山積みされています。

ちょっとしたおかずやお菓子を取り分けたりする時も
朝から広げっぱなしの新聞広告を一枚、ピラッと抜き
皿代わりにして食べたりします。
私にもお箸を使わず、素手で掴んで「ハイっ♪」とくれたりします。子供?


同居をするなら姑のタイプは無頓着な方がマシだと聞きます。
確かに。
部屋の隅を指でツツッとぬぐい、
「めじろ子さん、ここ、ホコリが溜まってますよ。」なんて
ネチネチ言われていたら角が立ちまくりでしょう。

私は決して家事大好き~♪な、主婦の鏡な主婦ではありません。
日常、何となく面倒で、ダラダラして一日終える事だってあります。
洗濯物がこんもりしているのを見て見ぬ振りする事もあります。
オットの帰りが遅いので私たち夫婦は当然、超夜型のため
朝遅くまで寝てしまう事もあります。

でも「早く起きてゴミ出しの一つでもしたら?」とか
「ヒマなんだったらちょっとくらい手伝う気持ちを持ってほしいもんだわね。」とか
「主婦なんだから家事でやるべき事はテキパキ済ましたらどう?」なんて
ひと言だって言われた事がありません。
その点、すごく楽です。

義母は『他人は他人』という考えなのです。
幸いにも義父も嫁の私にあれ取れだの、何だのと命令してきた事もありません。
オットの家族はお互いに干渉し合わないところが長所かもしれません。

でも改めて考えてみると、よくよく考えてみると
他人の事も気にしないが、自分達の事も気にならない、というのが
本当のところなのではないでしょうか。

あまり度を過ぎると無頓着も“悪”に思えてきます。


義母は本当に優しい人です。
いつも私たち夫婦の事を気遣ってくれます。
何か足らないものは無いか、欲しいモノは無いか、
不便に思っている事は無いか。
何ゲに言った「あれ、美味しそう。」とか「これ大好物やねん。」というような
ひと言を覚えていて、近日中何かの折りに買ってきてくれたりします。

ただ実に、実に“ずぼら”なのです。

そりゃそうなるかもしれません。
気の強い祖母と同居しながら、夫に忠実に仕え、
働きながら三人の息子を育ててきたのですから
細かい事まで気にしていたら時間がどれだけあっても足らないでしょう。

だから実に、実に“ずぼら”なのです。


義母は私が以前同居していた当時、正社員として定年まで働き
更にまたパートで週5日出ていました。
そこで数年働いて、現在は近所へ週2日の半日パートに出ています。
実に働き者です。

私はそんな義母の手助けになるべく、当時は仕事が終わってから
食事の用意をするようにしていました。
買い物は義父の好きなものや栄養の偏りが無く食べられるように、
また近所の商店との付合いもあるので義母が行っていました。
義父母とも私の作る料理をどれも美味しい美味しいと言ってくれました。

私はその言葉を胸に、義母がなるべく動かなくて済むように
家事をすすんでやるようにしていました。

今、これを書いてて改めて昔を振り返ってみると哀しくなります。


義母はいわゆる“鬼ババア”ではありません。
この家の事は嫁にやらせておけばいいわ、と思っていないようです。
台所やトイレ、風呂の掃除を率先してするのは私ですが
その度、「いつもキレイにしてくれてありがとう。」と言ってくれます。
洗い物だってさすがに私に悪いと思っているのか
私が席を立つと「あとから洗うから置いといて。」と
言ってくれることもあります。

義母は基本的に、陥れてやろうとか苛めてやろうとか、そういう魂胆の全く無い人です。

結婚の前、オットの家に遊びに行った時に
後に姑となり、同居するオットのお母さんに会いました。
同居=嫁姑問題、に直結した私の頭の中はグルグルグルグル。
ちょっとしたパニックに陥りました。
その帰り、義母から「これから仲良くしましょうね。」と笑顔で言われました。
もしかして逆に何かの圧力かとビビったのですが
あとから考えてそれは本当にその言葉通りでした。

それもそのはず。
私が結婚した当初、オットの祖母は超高齢で
かなり痴呆が進んでおり、その前年に施設へ入っていました。
それまではこの家で生活を共にしていました。
祖母こそ、かなりの“いじわるばあさん”で気が大変強く、
悪気こそ無いものの、思ったことを何でもポンポン口に出すので
近所のババア連中とよくトラブルを起こしていました。

もちろん家族内でもいざこざは多々あったようで。
数年後、祖母は亡くなりましたが、その葬儀中
「色々あったけど死んじゃったからもうええわ。」と
何人のババア共から言われたことでしょう。
あ~、一緒に住んでなくて良かった。

その祖母との同居を余儀なくさせられた義母は長いこと、
かなり辛い目にあったようです。
その経験から今度、うちにお嫁に来る人とは絶対に
仲良く付き合いたいと思っていたようで。

義母は本当に優しい人です。
上にも下にも挟まれた同居人生はある意味、気の毒です。


今でこそ義父が同居のストレスのメインではありますが
それまでは別のところにありました。
それは結婚してから今も尚、ずっと気になっているところです。
色々とその家のやり方というものがあります。
全く違う生活をしていた者同士がいきなり生活を共にするわけですから
何かと違和感を持つことも少なくないと思います。

私がこの家に来て最初に一番驚いたのが家族全員が食事を食べ終わると
すぐさまごろ寝して、ダラダラTVを見ることでした。
そしてそのまま居眠りを始めたりします。
私の実家では食後、すぐ片付けに入り、お茶を飲みながらゆっくりするのが普通でした。
山盛りの皿がいつまでも放ったらかしになっているのが気持ち悪く
食べ終わったら私が洗い物をするのが日課となりました。

実家の母からは「頑張りすぎなくてもいいけど、自分からすすんでやりなさいよ。
やれ、と言われてやると不満が溜まるからね。」といつも言われていました。
それもそうだ、と思い、寝ながらTVを見て笑っている義父母を横目に
さっさと片付けものを済ませていました。

私は少しずつ義母の家事のやり方が気になるようになってきました。
え、あんなに気遣いのある義母に対して
「まさかアンタ、鬼嫁じゃねーの?」と聞こえてきそうですが。

義父がイヤな態度を取るようになって
義母はそれを大変危惧しているのは私にも解ります。

でも義母も当初は義父に強く注意したものの
義父がそれにキレて、また『出て行け』コールをしたら
今度こそ三男であるオットが出て行くことを知っています。
触らぬ神に祟りなし、という感じです。

義父母は既に年金生活に入っていますが
家のローンもまだ残っており、片手うちわが出来るワケではありません。
年金から生活費を引くと口座残高は毎月マイナスになるそうです。

貯金ももうあと僅かで、葬式代が出せる程度らしく
義母は私たちが戻ってきてから多少ゆとりが出来て
大変有難いと思ってくれているようです。
年齢的にも今後を考えると、オットが出て行ってもらっては困るのです。

だから義母は以前に同居していた頃以上に私たちを大変気遣ってくれます。
食事の用意をしてくれるのはもちろん、
いつもこっそり何かを差し入れてくれたり
何か欲しい物は無いか、とか常に心配してくれています。
体が少し不自由な義母の事を考えると申し訳なさと
義父の傲慢な態度への怒りで本当にやりきれない気持ちになります。

義父は自分たちの経済状況を全く理解していないようです。
年金で充分すぎる生活が出来ていると本当に思っています。

ホント、言ってやりたい。

誰のおかげでメシが食えてると思ってんだ、ばかやろう。


うちの家は一戸建てです。
二世帯で住むには充分な大きさです。
もし狭い環境でおしくらまんじゅう状態を強いられたなら
私はとうの昔にギブアップして出ていたと思います。

1F:風呂、洗面所、仏間、応接間
2F:台所&リビング、義父母の部屋
3F:リビング、私たちの寝室、和室
中3F:オットの仕事部屋
駐車場2台分、自転車各自、壷庭有り。

以前は古い木造住宅だったそうなのですが
20年程前、使いにくさと老朽のため、まだ現役のサラリーマンだった
義父が思い切って建て替えました。
それにこの後、一緒に住んでいる三男のオットが結婚し
家族を迎えた時に皆で一緒に住めるように考えたそうです。

一見、感謝で涙が出るような話ですが、今の現状を思うと
どうせ建て替えるなら何故、キッチン~ベランダ~風呂~玄関別の
完全二世帯住宅まで気が回らなかったんだろうか、と
逆に腹立たしく思うばかりです。

義父のような性格で他人と住めると思ったら大間違いだ。