オットは帰りが遅いし、私も仕事があるので夕食は要りません、と
言うことが多くなりました。
台所に入るのがイヤになってきたのです。
いつもリビングの中央で“ここはワシが主”とばかりに
デンと居座っている空間がイヤでたまらないのです。

ダイニングテーブルを占領し、私たちの入る隙はありません。
もちろんここに座ったら?などとも言いません。
私たちが入ってきても、もちろん無視を決め込んでいます。
幸い、義母は義父の面倒は自分でするつもりでいるので
メニューを任せてもらえば私たちの分もついでに作ってあげると言ってくれました。
私たちはそれを台所のカウンターで食事を取ります。

私は台所に立たなくなりました。
食事はなるべく外で済ましたり、部屋に持込んで食べるようになりました。

一日のうちで食事の時間が一番惨めです。

義父とギクシャクし出してからというもの
家で過ごす時間が本当に苦痛になりました。
元々、義父とはあまりうまくいっていなかったオットは
昔から義父の存在を消してしまうスベを身につけており、
あの時以来、義父に全く無関心になってしまいました。
“愛情”の反対語は“無関心”です。うまい!

オットは仕事に行ってしまえば顔を合わさずに済みますが
私はそうはいきません。
今となっては同じ空気を吸うのもイヤなくらいなのに
家事の兼ね合いでどうしても横を通らないといけません。

毎日が苦痛です。

ア~~~~、この家から出たい。
出たらスッキリする。便と一緒。


でも結婚と同時に同居をした私たちにマイホーム貯金なぞあるわけもなく。

とりあえず家から離れる時間と少しでも蓄えを作るために
パートに出ることにしました。


同居してしばらくは家族は皆、とても仲良しでした。
仲良しといっても元々、ドライなオットファミリーは
ベタベタする事もなく、日常会話程度にコミュニケーションを取る程度。
ただ何処かへ買い物に一緒に行ったり、おやつを皆で食べたり。

が、ある日、オットと義父が大喧嘩。
殴り合いはしなかったものの、一触即発状態でした。
原因はささいなことです。

義父が「文句があるなら今すぐこの家を出て行け!」と言いました。
出て行け、出て行け、と何度もけしかけてきました。
義母がすかさず義父を禁めたことでその時は済みましたが、
それ以来オットと義父は一切、話をしなくなりました。
目も合わさなくなりました。

そして後日、義父が私の悪口を言っているのを知ってしまいました。
私は大変、ショックでした。

それ以来、私たち夫婦が義父と行動を共にする事は無くなりました。
食事も一緒に取らなくなりました。
義母と私たちの関係は以前と変わらず、普通に過ごしていますが
義父がそこに入ってきたら散り散りになります。

一応、最低限は守ろうと私から日々の挨拶だけはするのですが
義父は無視するようになりました。
真っ向から言っても聞こえないフリをしています。


礼儀っちゅうもんを知らんのか、このくそじじい!


転勤の辞令がおり、私たちは地元に戻る事になりました。
戻る前、私は義父母にちょっとした確認をしてもらうようオットに頼みました。

それは。
今回の辞令で今後の転勤は無くなった。
オットは三男だけど、本当に戻ってきていいのか?
三男がこの家に住み続けることにあとから意義をとなえてくる可能性は無いか?
ということでした。

私の回りには弟夫婦に親との同居と介護をさせておいて
亡くなった途端に兄夫婦が家を乗っ取った、という話が
何件も起きていたからです。

義父母からの答えは私たち夫婦が帰って来るのを心待ちにしている、とのことでした。
私は安心し、引越作業を終え、無事に元の家に帰ってきました。

そして何かの折りに義母とその話になりました。
すると義母は言いました。

「まぁ、ええんちゃう?
めったに会わへんのにそんな話しにくいわ。」

じゃあどんな感じで兄たちに話したかと問うと
「帰って来る事が決まったし。私ら一緒に住むし。」と
さらっと報告したと言っていました。

えー、大丈夫か。あとでモメたりせんか?

それにしてもやっぱりこの家は話し合いをせんなぁ、と思ってしまうのでした。
この時点で兄たちの本音を聞いていれば
私たち夫婦も色々と考える事が出来たかもしれないのに。

でもこのあと、それ以前の問題が勃発してしまうのでした。


オットはとても優しい人です。
めったに怒る事もありません。
仕事は激務ですが真面目な仕事人間で、結婚後も終電で帰ることが多いです。
土日も会社に出向くことが多々有りました。

新婚当初は毎日、朝食以外は義父母と私の3人で食事を取っていました。
いつも食卓にオットの姿はありませんでしたが、
私も以前、同じ業界で働いていたので理解があります。
特に寂しくはありませんでした。
逆にホームステイしているような気分を味わっているくらいで。

でもそれも昔。
私も若かったので「自由で楽しいかも~♪」なんて呑気に考えていました。
あれを自由だと思っていたのがアホらしく感じます。

オットは私が義父母と仲良くしているのを
とても喜んでくれていました。

実はこの同居は2回目です。
1回目は結婚と同時に始まりました。
新婚当時は私も何も知らず、オットの家のやり方で過ごしてきました。
しばらくしてオットの転勤が決まり、
私たちは遠く離れた街へ引越すことになりました。

そして数年後、辞令がおり私たちは元の家に戻ってきました。
しかし一度、自分達のライフスタイルを確立してしまった今、改めて
自分達が一度でも住んでいたハズのこの家が、有様が、
どれもこれも何もかも違和感を覚えて仕方無く見えました。

同居するなら最初からの方が良い。
あとになればなるほどうまくいかない。

誰かがそう言っていましたが、本当に納得です。
今思えばちゃんと話し合えば良かったと本当に、本当に後悔するばかりです。

オットには歳の離れた兄が2人居るのですが
どちらも随分昔に独立して家を出て行ってしまいました。
まだ学生で実家住まいだったオットが学校卒業~地元就職~結婚の流れで
自然に同居という形になりました。

とはいえ私は、結婚したら同居だよ~ん★というのを聞かされていませんでした。
ちなみにオットの家族は皆ドライで、大事な案件でもお互いに相談することが無く
事後発覚しながら、なあなあで進んで行くことが多いです。
当然、式が終わると「ハイ、今日からここがボクたちの家♪」、
「ハイ、ここがボクたちのお部屋♪」となりました。
今思えばちゃんと話し合えば良かったと後悔するばかりです。

私は現在、三男であるオットの両親と完全同居しています。
でも実のところ、随分前から限界を感じています。
出来ることなら2人の生活に戻したい。
全っ然、居心地が良くないのです。
自分たちの部屋を出るたびに居候な気分とイライラに襲われる毎日です。