池田屋事件（元治元年・１８６４）で、近藤ら
「新選組」は長州 藩士らが謀議をしている池田
屋に突入、９名を斬り捨て、４名を捕 縛した。
松下村塾三秀（高杉晋作、久坂玄瑞、吉田稔麿）
の一人で ある稔麿が殺害された。新選組の前身は、
１４代将軍家茂が上洛す る際に公募された
「護衛集団」である。その後は、会津藩預か
りの 京都の私的警察という役割であった。
幕府が「外注」せざるをえな かったのは、
すでに治安維持できる機能が失われていた
ことを示し ている。 本事件では、近藤らは
一味の「御所放火計画」、「松平容保暗殺」、
「天皇拉致」等を未然に防いだとして朝廷と
幕府から感状と報奨金 を賜っている。因みに、
新選組は最初に切り込む者を「死番」とし て、
順繰りに交代し突撃させた。全員の命を平等と
考えていたと考 えられる。 慶応３年（１８６７）、
近藤は、念願の三百俵旗本の幕臣となった。
長州征伐に関し、土佐藩の後藤象二郎に会
談を申し込んだが、「風邪」 という理由で
断わられている。後藤は、「にわか武家として、
有頂 天になった」近藤を格下に見ていたのである。
慶応４年（１８６８）、近藤は、「大久保大和」
と名乗り、新政府 軍と戦った。「賊軍」となって
からは、精彩を欠いた。やはり、官 軍と戦うことに
ためらいがあったように思われる。流山で捕縛され
ると、新選組隊士だった、加納鷲雄、清原清らに
近藤勇と見破られ てしまう。土佐藩の谷干城は、
斬首、さらし首を主張し、押し切っ た。谷は、
坂本龍馬暗殺を当日アリバイのある新選組局長
近藤の仕 業だと終生言い続けた人物である。
近藤の辞世の句は、 世漢詩（七言律詩）で
作られており、句碑 は龍源寺境内（東京都三鷹市）
の墓所にある。（君恩に報いたい） 188 104人の
大和魂 と最期まで大和魂を貫いた。 渋沢栄一は、
近藤勇を「意外と穏やかな人物だったが、倒幕に
転 じた薩摩に対し、過激な言動をしたので、
粗暴な人物だと思われて しまった」と人物評価
をしている。享年３３．