広報力向上ブログ -3ページ目

メディアへの押しつけはご法度!

 メディアプロモートをする際、単に「この商品が良い」とアピールするだけでは説得力がありません。もちろん、斬新で今までにない新商品もあるでしょう。また見ただけで書きたくなるような新商品も中にはあるだろうと思います。しかし、安定的にそのような素材を持てるかは愚問だろうと思います。

 実際は普通の商品(語弊があるかとも思いますが)を担当しなければならないのが現実でしょう。

商品自体の価値検証は、そもそも開発着手時に検討されている筈ではあるものの、発売開始前に広報部門にそれらの情報が届いているところは多くはないでしょうし、また仮に情報があったとしても商品だけで大きな差別化が図れることはかなり難しくなってきているのではないでしょうか。

 基本的には商品自体の特徴などを徹底的に分析した後に、視点の間口を拡げて業界や社会一般の中での位置づけや意味合いなどを検証したり、PRストーリなどをつくりメディアプロモート行いますが、ここで困った光景を目にすることがあります。

一生懸命に知恵を振り絞り、切り口やニュース性などを検討し、「これなら書いてもらえる」と自信をもってメディアにアプローチするのは解るのですが、ここで大事なのは、「記事を書くのは記者である」ということです。

ごく当たり前のことを書いてあるようですが、実はこれは非常に難しいこと。
記者が一番嫌うことのひとつに、「書かされること」が挙げられます。逆に自らが情報を発掘して、価値を見出し世に発信していくことを欲しています。

つまり自身でPRストーリーを描きつつも、「皆まで言うな」ということであり、全ては話さないけれども、相手の記者に感じとってもらうようにアプローチしていく、その価値を記者が見つけたという体にすることが非常に重要なのです。

押しつけがましいのは、プッシュしたという自己満足は得られますが、決して良い結果にはつながらないでしょう。プッシュよりはプルでも価値を感じてもらえるようなストーリー作りやメディアコミュニケーションを図っていくことが重要だと思います。

クリックをお願いします!  












メディア選定が定まらない理由

この素材、この切り口なら絶対に報道されるはず!と思っていても、実際にメディア選定する際になかなか決められずに迷うことがあるのではないでしょうか?

また発表した、或いは取材依頼を出したにもかかわらず、報道が得られなかったケースでの反省点として、メディア選定が適切ではなかったということも挙げられるでしょう。

ではなぜメディア選定が適切ではない、或いは選定時の課題はなんなのでしょうか。

それは恐らく、訴求メッセージが明確にされておらず、多くの言いたいことが混在しているからではないでしょうか。

1つの広報素材でも、言いたいことや伝えたい相手などは多く存在します。それを全部表現すると解り辛く、また焦点が非常にぼやけます。結果、何が言いたいのかが解らなくなります。

メディアによっても興味を持つ内容、書ける切り口は違います。そのため何を言いたいのか、何がニュースなのかを研ぎ澄まし、それを誰に伝えたいかを明確にしたうえでメディア選定、記者選定を行う必要があるでしょう。

はやる気持ちは十分に理解できます。がしかし、客観的に冷静に判断するように心がけましょう!

クリックをお願いします!  












朝こそ最も「美しい時間」?

 例年、7月末から8月初旬にかけて3月期決算企業による第一四半期の決算の発表が相次いで行われます。東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスのページを見ると、8月8日には決算以外の開示情報も含め、911件の発表があったことがわかります。この日は金曜日でしたが、この週で最も発表件数が多い日であると同時に、この日がいわゆる「決算発表の集中日」であったことが伺えます。

 東証では以前から発表タイミングを早めたり、重ならないように配慮するよう企業に求めていますが、依然として分散化はあまり進んでいないようです。集中日に発表する理由はわからなくもありません。「寄らば大樹の陰」というわけでもないでしょうが、特に業績が芳しくない場合、集中日に発表しておけばマスコミや投資家からの注目度を相対的に下げることができるためです。
 
 朝日新聞の「金融情報」面に「第一線で活躍している経済人などの社外執筆者による「経済気象台」という匿名コラムがありますが8月19日の紙面に「決算説明会は午前に」という記事があり、興味深く読みました。この記事によると「四半期ごとの決算発表は午後3時以降。そんな企業が日本では8割を占める。続いて開かれるアナリストや投資家を集めた決算説明会は、午後もかなり遅くなるのが普通だ」と述べています。

 この記事で特に注目したいのは、ニューヨーク大学教授らによる決算説明会の開催時間に関する研究結果です。これによると「決算説明会の場の雰囲気は、意外にも開催時間に左右される。(中略)1日の遅い時間に始める決算説明会は、早い時間に始まるものに比べて、いらだたしく論争的で、ネガティブな雰囲気になり、株価にも影響する」のだそうです。調査結果を踏まえて「株主や株価に及ぼす効果を考慮するなら朝こそ最も『美しい時間』である」とも述べています。

 ところで、決算発表が近くなると、日本経済新聞による業績予想の記事がよく掲載されますが、ブルームバーグの8月7日の*記事によると「日経平均株価採用の225社について調べたところ、国内経済紙の日本経済新聞が営業利益を中心に業績観測記事を報じたのが45社。このうち、82%に当たる37社で示された数値・レンジが正しいか、あるいは会社側公表の実績値に対する乖離(かいり)が10%以内に収まっている」のだそうです。

 記者と企業の間でどのようなやり取りがあるのかは当事者にしかわかりませんが、個人的な印象では、予想確度はもっと高いと思っていました。なぜなら業績予想の記事は、証券部の記者が決算発表の時期を見越して、担当企業の財務担当役員や経理部長への取材を申し込み、取材を受けた企業によって暗に示された数字をヒントに予想することが多いはずだからです。

取材を受けた時点で数字が固まっていないとしても、取材を受けた以上、ミスリードするような数字は答えるはずがありません。ブルームバーグの記事によると「業績予想記事が常に正しい数値とは限らない」としてかい離があったケースを紹介していますが、「感覚的に20回のうち1回程度しか外れていない」というファンドマネージャーのコメントが実態に即しているように感じます。

「朝こそ最も『美しい時間』」というのはうなずける面もありますが、意図されずに業績予想記事が日経に出てしまうと広報担当者にとって憂鬱な時間になってしまうことでしょう。

「日本株の風物詩、日経業績予想記事に飛び付く-正解率を信頼」

橋本拓志
広報コンサルタント
Twitter ID:@yhkHashimoto
https://twitter.com/yhkHashimoto

クリックをお願いします!