エリクソンが唱えた
成人初期の心理社会的発達課題は
「親密性対孤立」である。
ドイツ帝国のフランクフルトに生まれる。母のカーラ・アブラハムセン(Karla Abrahamsen)はユダヤ系デンマーク人で、生後3年間はカーラと共にフランクフルトで過ごす。
父親は定かではない。
1905年にカーラが再婚し、家族はフランクフルトからカールスルーエに引っ越す。
ミドルネームのホーンブルガー(Homburger)は母の再婚相手の苗字である。
エリクソンは混血であり、その北欧系の風貌からユダヤ系社会やユダヤ教の教会で(逆)差別を受け、またドイツ人コミュニティからはユダヤ人であるという理由で差別を受け、二重の差別を受けて育った。
その出自や生育歴がその後の理論・思想形成に大きな影響を及ぼしている。
親密性の獲得とは、社会の中で信頼できる人に受け入れられ、仲を深めることである。
エリクソンの発達段階説によると、親密性が獲得されるのは「成人初期(20~30歳)」とされ
親密性の獲得において
課題となるのは、
『孤立』である。
エリクソンの発達課題は常に「○○VS××」という形で表現されています。これは、向き合わなければならない課題とそれを失敗してしまったときに生じる危機との間に生じる葛藤を表現しています。
葛藤のせめぎ合いにより、危機を迎えます。この危機とは、基本的信頼と不信のどちらに傾くかということではなく、どちらも存在する矛盾し葛藤した状況を受け入れられるかどうかの分岐点だとしています。
そして、この危機を克服できなければ、葛藤は解消されず無意識へと抑圧され、自我から防衛されるもしくは後の不適応の原因になると考えたのです。
アイデンティティ論から
ライフサイクル論へ
エリクソンの人生
父親を捜し求めながら「自分とは何者か」を問わざるを得なかったエリクソンは、その人生を通じてライトやフロイトらによる精神分析をもとに、『生涯発達理論』を説いた。
その理論によれば
青年期の段階で、アイデンティティ確立における大きな危機がもたらされる。
その段階で自らのアイデンティティを確立できた者たちは、互いのアイデンティティを脅かし合うことなく、仕事や友情、あるいは異性関係の場面で開放的に接近した緊密な関係を形成し(ギブアンドテイク、お互いの思い、気持ちを知っている)その関係を持続させていくことができる。
エリクソンは、青年期から成人期に移行する時期をモラトリアムと定義しており、その期間にアイデンティティを確立し、社会的責任を担う準備をするものとしているが
エリクソン自身は、20歳から27歳まで、「心理社会的モラトリアム」の時期にあったという。
こういう青年は、「自分で自分の中に見出す自己イメージと、他者から審査され期待されている自己イメージとの間に、何らかの共通性を見出さなければならない」のだそうだ。
すなわち、自己を自己として確立するにあたっては、他者からの期待と他者との融合が必要であるということである。
青年期から成人初期に移行し、異性との関係において親密性が形成されたとき、その延長線に結婚の問題が生じてくる。
エリクソンは32歳のときにアメリカに移住し、37歳でアメリカの市民権を得て、
それに伴い、名前をエリク・ホンブルガー・エリクソンと改名した。
北欧では父親の名前にSon(息子)とつける風習がある。
父親が分からないエリクソンは第2の人生を歩むために、エリク(自身の名前)の息子としての名前(エリクソン)を自分に付けて、自分の人生を再び歩むことにした。
成人初期以降壮年期になると、職業上の知識や技術、子育ての知識や技術を次の世代に伝達する期間がおとずれ、エリクソンはこれを『世代性』と称した。
この頃エリクソン夫妻にはダウン症のニールが誕生しており、子どもを産み育てる苦悩が、成人期の生殖性を問うことに影響したと考えられている。
「世代性」とは
次の世代を支えていくもの(子どもや、新しいアイデア、技術といった後世に貢献できるようなことを指します)を生み育み、その将来に積極的に関心を持つということです。
※この「世代性」は「Generativity」と言いますが、辞書にはなくエリクソンの新語です。
特に12歳から18歳までの青年期は、アイデンティティーを確立するために大切な時期。家族や社会からの要求と自分の欲求をうまくすり合わせ、アイデンティティーを統合するのは大変な作業です。
クリニックを訪れる子どもの多くも、
言葉の壁や人種格差、宗教や価値観、性的指向の違いなどによってアイデンティティーの危機に直面し、
深刻な劣等感や罪悪感に悩んでいます。
この時期にアイデンティティーの確立がうまくいかないと、
役割の混乱が生じて、「自分がどんな人間で、何をしたいのかわからない」というアイデンティティーの危機に陥ります。
エリクソン氏によると、こうした状態は、対人不安、無気力、回避行動、問題行動につながり、社会思想や宗教に全く無関心か、その逆に狂信者を生み出すこともある。
アイデンティティーとは切っても切れない関係にあるのが、言葉です。
複数の言語環境で育つ子どもが陥りやすいのが、いずれの言語も年齢レベルに達しない「セミリンガル」。
特に思春期以降は、認知学術的言語能力(CALP)と呼ばれる抽象的、論理的思考に見合う言語能力が発達するが、セミリンガルの子どもたちはCALPが未発達になりがちである。
学習面だけではなく精神面でも自分の考えや感情を的確に表現することができず、アイデンティティーの危機を招きやすくなります。
コップに水が半分入っているときに、水に注目するか空っぽの部分に注目するかで意味合いが変わるように、自分は日本人でもありアメリカ人でもあり、複数の文化や価値観を持つことは逆に素晴らしいことだと子どもに伝えていくことが必要でしょう。親が先回りをし過ぎることなく、子どもが何をしたいかを尊重しながら多様な文化や価値観を包み込む姿勢を持ちたいですね。
男性は結婚したり子どもを持つことにより、搾取される側に成り下がるという彼なりの見解があって
結婚や子どもをもつことには全く意義を感じないという話をしばらく私に聞かせた挙げ句、
「自立した女性と結婚したい」と言った。
大好きなことに
情熱のすべてを注ぎなさい
~ジムロジャース~
人は、
自分を愛せる量だけしか
他の人を愛せません。
そして、
自分を愛せる量だけしか
他の人からも愛されません。
〜F・フロム-ライヒマン〜
あなた方のやり方は
だいたい似とるんじゃけ。
あなたの腹のレントゲンを撮ったら
真っ黒かもわからん。