離婚後の親権を共同親権にする制度の検討が進行しているといいます。


欧米などでは共同親権が主流になりつつありますが、日本が共同親権を目指す考え方と、欧米の考え方では異なっているという指摘があります。


そのため、日本は


制度をつくる前にもっとやるべきことがあるというのです。





日本では、夫婦が結婚している間は父母の共同親権制度となっているのですが、夫婦が離婚すると、どちらか一方の親が子どもの親権をもつ単独親権制度になっています。


その趣旨は、子どもの養育に関して、子どもと一緒に暮らして監護している方の親を親権者に指定して、その判断に委ねるというものです。


子どもにとっては一緒に暮らしている親も、離れている親も同じ親なので、その2人が自分のことで対立し続けることは非常にストレスになります。

それは、子どもの成長にとって良いことではありません。




子どもを不安にさせたり混乱させたりすることがないように、一緒に暮らす親にその責任を委ねるというのが


単独親権制度

です。





親権とは

子どもの養育に関してきちんと責任をもつことです。


もともと

親権制度とは


フランス民法から取れ入れた制度です。 ところが


近年では、そのフランスをはじめ、欧米諸国で離婚後も共同親権制度を取り入れたり、取り入れる議論を行ったりしています。


その背景には


子どもは親の付属物ではなく、独立した人格であるのだから、それを監護する内容については、両親が離婚したからといって、どちらかの親が恣意的に決めるのではなく、離婚後もふたりが共同責任をとっていくものだ、という考え方が広まっていったから、ということがあげられます。





実は、日本でも


離婚する夫婦が子どもに対する責任を感じ、制度上、単独親権にはなるものの、子どもの養育について事前にしっかり話し合い、共同で責任をとっていこうというケースは多くあります。


そのような形で離婚する夫婦にとっては、親権制度は、ある意味、関係ないのです。





欧米の動きに続いて、日本でも、超党派の議員たちにより、共同親権制度の導入を働きかける動きが出ています。


しかし、その理由は、


欧米諸国のように、親権を親の責任と考えるからではなく、離婚によって母親の単独親権になり、子どもに会えなくなった父親たちの不満の声を受けてのことのようです。


私は家庭裁判所の調停委員を長くやっていました。そこで目にしたのは、


離婚協議がまとまらず家庭裁判所に持ち込まれるようなケースでは、二人の対立は激しく、高葛藤であることが多いということです。とても冷静に話し合える状態ではありません。



そこで、裁判所は、子どものより良い生活を考えて親権者を決定します。


父親の場合はフルタイムで働いていることが多いので経済力はあるものの、なんらかのサポートがなければ、子どもにとって良い生活環境は与えられないと考えがちです。


残業で帰りが遅い父親を待っている間、子どもはひとりぼっちで、食事もできないということにもなりかねないからです。


それに比べ、専業主婦であった母親は実家のサポートを受けられるケースも多く、あくまでも実家のサポートを前提とする限りでは、子どもの生活に合わせてパートタイムで働くこともできることが多いため、母親を親権者にすることが多くなってしまいます。そのため、親権者のおよそ7割が母親になっています。


親権がなくなった父親は、それでも養育費を払うことになります。子どもには、扶養請求権という形で、親権のない父親からも養育費を請求することができるのです。


すると、高葛藤状態であった母親は、父親に対して、養育費は出させても、子どもに会わせないようにしたりすることも生じてきます。


例えば、裁判所が、養育費は月6万円という決定を出したにも関わらず、8万円出さなければ子どもには会わせない、と言ったりします。子どもを、養育費をつり上げる道具にしてしまうのです


また、子どもに、父親に会いたくないと言え、と言う母親もいます。本当は父親に会いたい、という子どもの気持ちを考えてあげていないのです。


一方、男性は、子どもと接し、成長を見ることで、初めて父親の自覚が生まれるものだと思います。しかし、お金を払っているのだから会わせろ、という言い方はいかがなものでしょうか。


子どもはモノではありません。親の付属物でもないのです。



日本人は、子どもを親の付属物のように考える感覚が非常に強いといわれます。


だから、母親は、子どもを父親との駆け引きの道具のようにしたり、父親は父親で、母親への嫌がらせから、面会交流後に我が子を殺すという事件を起こしたりもしてしまうのです。



こうしたことは、共同親権という制度を導入しただけで解決するものでは決してありません。離婚後の共同親権の議論をする前に、他にやるべきことがたくさんあるのではないかと思います。





 

離婚後の元配偶者や元義実家との付き合い方は、

子どもにとって少なくても
今のところはおそらくベター

くらいの距離を

手探りするしかないように思う。


 元配偶者との面会が

子ども自身の負担になったり

害を与えたりしなさそうであるなら



大人の都合で制限をかけることではないだろうし、



養育費との交換条件にするものでもない。


 関係性は近くても遠くても目に見えるものではないし、「将来」というのは目を凝らすほどに見えなくなることもある。


 「離婚理由」は基本的には子どもの育ちにはとりたてて関係なく、



元義実家ぐるみの

執拗なストーカー行為や


 子ども同士が友人だとか

近所の人同士での

ダブル不倫みたいな 


 特殊な事例を除けば、離婚後の生活にも大きく影響はしないと思う。


 もちろん、



子どもの成長発達上好ましくない巻き込まれの懸念や子どもを困惑させるリスクが高い場合には、縁を切ることが必要と思う。

暴言、暴力、子ども相手の泣き落とし、親権者と子の関係を損なわせるような悪口やお金の無心などである。



n=1のフィールドワーク
シングル家庭で
子どもを育てる


その結論をシンプルに言えば
シングル家庭でも子どもはまともに育つ。


それは

周囲にいられる
まともな大人が力を合わせ
心を込めて関われば

子どもに備わる育つ力が
子どもを育てるということである。



結婚が
必ずしも永遠のしあわせを
意味しないのと同じで

離婚したからといって
何かから逃れられるわけでもないし
何かを取り戻せるわけでもない。