第2317回【判例】暴力団事務所のビルを壊した犯人の裁判の判決について。
2023年2月5日 日曜日の投稿です。
【※転載、コピー自由です。】
暴力団事務所のあるビルに車で突入し、玄関や窓を破壊した
犯人に対する裁判の判決の判例の紹介です。
◎事件番号 非公表
◎裁判所名 岡山地方裁判所
◎裁判長 吉田 真紀 裁判官
◎被告 A男
◎判決日 令和5年【2023年】1月30日 月曜日
◎求刑 懲役3年6ヶ月
◎判決 懲役3年
1 事件の背景。
被告A男が所属する暴力団の組織は,被害者の暴力団
B組の組織とは同じ広域暴力団に所属する同じ若中の関係
であった。
7年程前に、過剰な上納金を要求する組長らに反発して、
広域暴力団が分裂し、被告A男の所属する暴力団組織は、
そのまま本家側に残り、被害者Bの暴力団組織は、分裂
側に入り、その後、対立関係となっていった。
被告A男の所属する暴力団組織は、形を示す必要性から、
対立するB組の暴力団事務所に対して玄関を破壊して、
周囲に知らしめる為に犯行を計画するに及んだ。
2 検察側申立の事件の経緯。
被告A男は、2022年5月3日の連休中、被害者
B組の暴力団の事務所のあるビルの入り口玄関に
向かって、車で後に全速で後進し、故意に突っ込み、
玄関を壊し、その後、車内から金属バットを取りだして、
建物の窓ガラスなどを叩きわり、その後、岡山県警に
自ら名乗り自首をした。
3 弁護側の申し立て。
検察側の申立を全面的に認め、争わず、その上で情状酌量
の減刑を求め要望した。
4 当裁判所の判断。
事前に、現場を下見し、計画性を持って犯行に及び、
突入した車の後部に、コンクリートブロックをわざと
搭載し、車の後部の重さを調整するなど行っており、
危険で粗暴極まりない犯行で、近隣住民に大きな不安を
与えたことや、社会に与えた影響は大きい。
一方で、犯行後、自ら自首し、酌むべき事情は考慮した。
5 法律の検討。
裁判所では、下記の刑法に違反したと検討したようです。
◎刑法 第二百六十条【建物損壊及び同致死傷】
他人の建造物又は艦船を損壊した物は、五年以下の
懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、
重い刑により処断する。
◎刑法 第二百六十一条【器物損壊等】
他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は、
三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
6 結語。
この事件は、5月の連休中の玄関番の組員がいない日を
選び、人に危害を与えず、物を1部分壊すだけという、初め
から短期間の懲役を想定し、計画性をもって行われたようです。
相手側の人が死傷したら、長期間の服役が予想される為に
それを避け、短期間の懲役で済むこの事件を計画したようです。
そして、刑期を短くする為に、犯行後、すぐに警察署に自首
したようです。
被害者の暴力団B組に対する、嫌がらせ、殺人、傷害事件が
繰り返し、暴力団A組の所属する広域暴力団から一方的に
加えられていて、暴力団B組は受け身で、反撃も行わず、
動かざる事と山の如し、静かなること林の如しの様子です。
既に射殺事件なども発生していて、みなさんで、対立解消
と、今後の暴力行為防止について、考えて見る必要があると
思っています。
そうしないと、同じような事件が今後も続いて行くと
考えます。
【次回に続く。】【転載、コピー自由です。】