《トリビアNo.104》唐船番所とは?-仙台藩の外国船の監視所- | いっきゅう会がゆく~宮城マスター検定1級合格者のブログ~

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 1646年(正保3)、仙台藩は三陸沖を航行する外国船を見張るため、藩内の海岸部5ヵ所に「唐船番所(からふねばんしょ)」を設けました。
 設置場所は南から磯浜(現山元町磯浜)、大浜(現東松島市宮戸)、鮎川浜(現石巻市鮎川浜黒崎)、泊浜(現南三陸町歌津泊浜)、八ヶ森(現岩手県大船渡市三陸町綾里(りょうり)石浜)でした。ただ、他所にも設置したようで、1698年(元禄11)の「気仙本吉郡絵図」や翌年の「仙台藩領国絵図」には大船渡市三陸町吉浜千歳に唐船番所が記載されています。今回は県内にある4か所を紹介します。
 山元町にある磯崎は磯浜漁港の西側にある高さ13mほどの小高い丘で、今は「磯崎山公園」として整備され遠くは牡鹿半島までは見渡せます。番所跡の記念碑や晩年山元町に居住した志賀潔の頌徳碑があるほか、伊達政宗公が初めて海を見た場所との話が伝わっています。

  (磯浜唐船番所跡碑)

 東松島市宮戸島大浜にある番所跡は嵯峨渓の北側にあります。遊歩道を進み標高76mの高台に記念碑が建てられています。周りを樹木が覆っているため、視界はやや狭まっていますが、牡鹿半島や周辺の島々が見渡せます。宮城オルレの奥松島コースからはちょっとだけ外れますが、寄り道程度の時間で行けます。

  (大浜唐船番所跡碑)

  (牡鹿半島越しに見える金華山)

 鮎川の番所跡は「おしか御番所公園」として整備され、駐車場もあり車で行くことができます。標高188mの頂上近くには展望台や歩道橋などが設置され、太平洋や牡鹿半島の島々、遠く松島や蔵王連峰が見渡せる大きな公園です。展望台から少し歩くと監視所を再現した施設があります。

  (鮎川浜番所跡碑と監視所)

  (番所跡から見える金華山)

 南三陸町歌津の泊浜にある番所跡は歌津埼灯台のそばにあります。灯台の灯高が50mで灯台の高さが11mですので、標高は40m弱と言うことになります。気仙沼沖を監視していた番所ですが、今では周りを木々に覆われているため広く見渡すことが難しい場所です。

  (泊浜番所跡碑と歌津埼灯台)
 「要説 宮城の郷土誌(続)」(1983)によると唐船番所は海岸部の最高所に方丈(丈=10尺≒3m)の土壇を置き監視所を設けたそうで、見張は5人の足軽が2人1組となって短くて5日交代、長いところでは1か月交代で監視していたとされています。外国船を発見すると、狼煙や火光信号、早船、早馬などで急報するとともに村の半鐘や寺の鐘、太鼓などで伝達する手はずになっていたそうです。この監視は明治初期に廃止されるまで220年にわたり続けられました。

 

(執筆:斗田浜 仁)