鹽竈神社境内にある国の天然記念物「鹽竈神社のシオガマザクラ」はちょっと面白い桜です。
シオガマザクラは花弁が30~50枚にもなるサトザクラ系の八重桜で、中央のめしべ2、3本が緑色の小葉に変化するという不思議な特徴を持っています。
神社の家紋はこの桜が図案化されています。
平安時代から都にまで名前の知られた桜で、1940年(昭和15)に国の天然記念物に指定されました。しかし、老木で枯死してしまったことから1959年(昭和34)に解除されています。しかし、枯死直前に鹽竈神社の庭師が接ぎ木によってシオガマザクラの苗木を残し、境内に植えたことから、「鹽竈神社のシオガマザクラ」として1987年(昭和62)再指定されるという珍しい歴史を持っています。
また、シオガマザクラを接ぐ際に台木としてアオハダとヤマザクラが使われましたが、天然記念物とされたのはなぜかアオハダに接いだ桜であり、あわせて鹽竈神社境内にあることが天然記念物の要件なのです。つまり、別の台木に接いで、神社の外に持ち出したらそれは天然記念物ではないということになります。
シオガマザクラの開花期はソメイヨシノの開花からおよそ10日後です。神社境内には60本ほどのシオガマザクラがあるそうですが、天然記念物は30本弱だそうです。4月の花見は鹽竈神社で天然記念物のシオガマザクラを愛でてみませんか?
(境内のシオガマザクラ)
(執筆:斗田浜 仁)