押し寿司工場でのバイト | 祖母、南タカ子<下杉正子

祖母、南タカ子<下杉正子

思い出と、今と、これからと。


あれは、忘れもしない19歳の私のこと。

たまたま見つけた時給のやけに高い押し寿司工場でのアルバイトを見つけた。

到着すると、全身誰が誰なのかわからない。帽子にマスクにみんな同じ白い作業着に着替えさせられた。

押された寿司飯がベルトコンベアーで流れてくる。
私の係は、桜でんぶ。パラパラとテキトーにかけていた。

エビの係の人が遅くて怒られていて、あなた!!手際が良い!エビと交換!

なぜかエビに抜擢されてしまった。

そんなに難しく考えず教えてもらうと、、、エビはボイルしてありお腹のあたりに切れ目が入っていて尻尾を下にしてひろげる!!と、教えられた。

わかりました。

押された寿司飯が流れてきた。

はじめはゆっくり流れてきたので、余裕でエビの尻尾を下にして広げてヒョイと乗せた。

あなた!なかなかいい!
じゃいつものスピードにします。

半端ない速さで押された寿司飯がベルトコンベアーから、流れてくる。

私はエビを必死で乗せていたが、乗っかっていないものも多く流れていき、エビを必死で投げたりした。

ほとんどの方がアジア系の外国人の方々だった。

「ないよ!ないよ!えぴ!えぴないねー!!!だめよ!」

と、怒っていた。

エビのビの濁点が苦手なようで、エピ!とお叱りをうけた。

それから、いろいろなバイト先でどんなバイトしてきたの?と聞かれ、あだなは、えぴになっていた私だった。

1日で辞めた。