こだま | 祖母、南タカ子<下杉正子

祖母、南タカ子<下杉正子

思い出と、今と、これからと。




「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。

「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。

「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。

そうして、あとでさみしくなって、

「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう

こだまでしょうか
いいえ誰でも

金子みすゞ


心は鏡のように、父を、見ていて感じる日々。

母だけに介護を任せるときもあるが、一人でみていると、母は余裕が持てなくなり、イライラしてしまう様子。

私が一人で見ていたらきっと同じだと思った。

幼い頃は父から叩かれて育ち、私は大人が嫌いになった。

私は大人になると、父とケンカばかりしていた時期がある。

どうして叩いたの?!

頭を力いっぱい叩かれて、脳が揺れるという感覚や当時の部屋のカーテンの柄などを鮮明に思い出した。

そんな家庭は、もめごとがたえず、私の生活は荒れた。

でも、今は父が弱っていく様子を、見つめて過ごしている。
私はこんな生活をしてる場合ではないと思った。

父になるべく話しかけ、無口な父を笑わせるようになった。

昔はすれ違いの家族だった。

でも今は違う。

誰がいなくても成り立たない家族をやり直させていただいている。

そうするために父は病になったのかなあ。