天の神様のお助け!!、三本の抜歯を逃げた | 鹿児島のイチロー85歳 最後にして最大の挑戦へ

鹿児島のイチロー85歳 最後にして最大の挑戦へ

糖尿病の為に始めたバッティングセンター人生が二十数年を越えた。
81歳で「130km/hを打って7本のホームラン」という若者達でもやれないことが出来た。その後前立腺ガンや白内障を克服したので、バッティング人生の最後の挑戦を…

 昨日は右上の奥歯を三本抜かれることになっていた。一本抜かれるだけでもビビって眠れなくなるのに、大きな奥歯を一度に三本も抜くと言うのだからたまったものじゃない。案の定一睡も出来なかった。

 

 神経痛がひどくなっていて一度に20mしか歩けない足をひきづって何度も立ち止まっては少し歩くを繰り返して、決死の覚悟を固めて行った。十分前に着いて受付に″11時半に呼ばれています″と言うと、″ハイ承知しております、少しお待ちください″と言われた。だが待てど暮らせど何時まで経っても呼ばれない。指定された時間を過ぎること40分。

 

 この間に、″三本も抜かれたら麻酔に弱いからショック死するのじゃないか″とか、″メシを食う時はどうなるのだろうか″などとビビりまくっていた。決死の覚悟が徐々に崩れて、黙って病室に帰ろうかと思うようになって来たので、これはいかんと思って″まだ掛かるようならまたいつか予約を、、、″と言いかけたら、″すみません、ちょっと手間取っておりますので明日の11時に出直して戴けませんか″、と言われた。

 

 本当なら、普通の人なら怒りまくるケースだ。だが私は″あ、天の神様のお助けだ!″と思った。そしてこの瞬間逃げる決心をした。病室に帰ったら看護婦さんが、″それは大変申し訳ありませんでした″と自分の責任ではないのに謝ってくれた。また別の看護婦さんは″ごめんなさいね、明日の約束はきちんと守るように伝えますからね″と言って下さった。なぜか、その場で″もう抜くのは止めます″と言い切れなかった。

 

 ここが最近の私の優柔不断な性格で、自分でも頭に来るところなのだ。当然のことながら看護婦さん達が明日の双方の業務予定を組まれてしまったのだ。夕方まで、どうしようかと迷いに迷った。夕食を食べても歯は痛くなかったので、ようやく申し訳ないがやはり断る決心がついた。そして夜番の看護婦さんに断って貰うように頼んだ。″もう診療時間を過ぎているので明日の朝一番に先方に連絡を入れますから今夜は安心して眠って下さいね″と言われた。

 

 ビビったということがバレていたということだ。ホント我ながら情けない抜歯騒動ではあったが、ヒーローのはずの鹿児島のイチローが病院では如何に情けない人間かということを、折角の退院直前でまた一つ印象づけてしまった。あの時約束通りにさっさと抜いてくれていたらこんな不様な事にはならなかったのだよな、アァア、、、