スイングパワーも落としてはならなかったのだ | 85歳・人生最大の逆転劇 → “引退” が “君臨”へ 

85歳・人生最大の逆転劇 → “引退” が “君臨”へ 

糖尿病の為に始めたバッティングセンター人生が二十数年を越えた。
81歳で「130km/hを打って7本のホームラン」という若者達でもやれないことが出来た。その後前立腺ガンや白内障を克服したので、バッティング人生の最後の挑戦を…

 今回の入院に際して先の二つと同様に大切だったのが、″スイングパワーの維持だった。前回の入院中に落としてしまったのを、退院後にこれを取り戻すというのは並大抵の努力では済まなかったからなのだ。だから今回は、これも落とさないように全力をかけて取り組んだ。

 

 前回の入院でも結構やったつもりだったが、結果的には足らなかった。半端な鍛練の時間では通用しないのだ、長い時間を掛けてやり続けなければダメなのだ。それで昼間はもちろんのこと、夜中も汗をふきふきたっぶり時間を掛けてやりきった。ただスクワットと違って、十八番の重量バットを使うことが出来ないので、実戦力がついたか、どうかはメテオドームで実際のボールを打ってみるまでは白紙の状態だ。

 

 トレーニングの方法としては前回の入院時にも使った、握力訓練用具の先端部分に幅二センチで厚さ二ミリの長いゴムヒモを、大きなワッカ状に結び付けたモノを用意していった。これをベッドの支柱に引っかけて、色々と条件を想定してスイングの形で引っ張るのだ。立って行ったり、ベッドに腰掛けてやったり、座ったままでやった。右打ち、左打ちを同じような回数をこなした。これも結構汗をかいたので、血糖値下ろしにも貢献したことは間違いない。

 

 スクワットと違って、これはある程度楽しんでやれるので楽だったが、それだけに気の弛みが出てしまうのが要注意だった。内角高めを想定してスイングしているのに、いつの間にかただやりやすい高さをスイングしてしまったりするのだ。テーマを厳しく守り、気を抜かずにやり通さねば、折角の鍛練が実戦では役に立たないのだ。ということでスクワットは耐えるだけで済んだが、スイングパワー維持のトレーニングは、精神的には結構気を使った。

 

 せがれにグリップバットを作って貰ってからは、これにゴムヒモを取り付けて同じやり方でやったのだが、さらに実戦を想定したトレーニングが出来るようになったのは大助かりだった。各コースや高め、低めなどへバットヘッドを持って行く為のグリップの振り出し方なども研究しつつ、同時にパワーも養えるわけで、実戦力を高めるのに大いに貢献してくれた。

 

 やはり久しぶりに握る実際のグリップの感覚は、なんとも言えない恍惚感があった。あとは常用している1200gバットの実際の重さをどう体が感じ、如何に自由自在に振り回すことが出来るかが大きな楽しみだ。