Yoっち☆楽しくグテを綴る♡ -80ページ目

Yoっち☆楽しくグテを綴る♡

テテとグクの Me Myself写真集にインスピレーションを得て【群青と真紅】をブログ内で執筆中です️

ソジンの家、日本でも始まりましたね😊
私はまだ1・2話しか観ていませんが(群青と真紅の執筆が優先💕)

皆さんは何話まで観ましたか😉❓
テテが相変わらず可愛いよ〜😘


前回の物語


本文注記

【冠水瓶(かんすいびん)】

ガラス製の水差し。寝室で夜中に水を飲む時に使用したり、日本の国会でも使われています



ここから物語のつづきが始まります✨



【落馬後の夜】

プチ・パレスも消灯になり
廊下の燭台も間引きで消されていく

テヒョンの部屋では、窓は全て二重にカーテンが閉められ、防寒に備えた

「失礼致します。寝具はこれだけで宜しいのでしょうか?」
宮廷職員の一人が、ジョングク用の寝具をテヒョンの部屋に持って来た
「ありがとうございます。それで大丈夫です」
ジョングクが受け取りに行くと
「私がお支度致しましょうか?」
と言うので、ジョングクは
「大丈夫です。自分で致します」
と言って寝具の一式を受け取った
「それでは館内で何かございましたら、お呼びつけ下さい。それでは皆様方、お休みなさいませ」
宮廷職員は挨拶をすると扉を閉めた

「チョン伯爵、本当にお一人で宜しいのですか?」
スミスが訊いた
「大丈夫ですよ。何かあればすぐにスミス殿を呼びますから」
「是非そうして下さい。私は隣の部屋におりますので。それではテヒョン様、チョン伯爵、お休みなさいませ」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
スミスが部屋を出ていった

ジョングクはソファをテヒョンのベッドに寄せると、寝具を広げ寝る場所を整え始めた
「ジョングク、本当にそこで寝るの?」
「はい」
「君だって疲れているだろう?僕の隣で寝たらいいじゃないか」
ジョングクはテヒョンの方を振り返って
「有り難いお言葉なのですが・・・大丈夫ですよ。このソファは寝る事も出来る広さがありますし。それに、お隣に寝て万一、寝返りでテヒョン様のお身体の患部に危害が及んだりしたら本末転倒ですから」
と言うと、ソファのベッドを仕上げ、次に部屋の灯りを順番に間引きをしながら落としていく
テヒョンは少し寂しげな表情でジョングクの後ろ姿を目で追った。しかしジョングクは気付いていない


ジョングクがテヒョンのベッドまで戻って来ると
「ピローやクッションの寝心地は大丈夫ですか?」
と使い心地を訊ねる。
「君の整え方が上手いから、ずっと居心地がいいよ」
テヒョンが頷きながら応えた
「そうですか、よかった。もしズレてきたりしましたら、これを引っ張って遠慮なく私を起こして下さい。繋いでおきますので」
と言って、テヒョンの手首とジョングクの手首に長いリボン状の麻布を巻いて繋いだ
そして、テヒョンのブランケットを肩まで掛け直してやる
「どうぞお休みくださいませ」
「うん、お休み」

そして、ジョングクが隣のソファに行くと、テヒョンが礼を言った
「ジョングク、ありがとう」
ジョングクはテヒョンの方を見て
「いいえ、どういたしまして」
とにこやかに応えた。
薄暗いオレンジ色の灯りの中で、テヒョンの笑顔が揺れた

疲れが出ていたせいか、テヒョンもジョングクもすぐに深い眠りに入っていった。
静まり返った部屋の中は、テヒョンとジョングクの寝息だけが、反復して聞こえるだけになった

どれ位時間が経っただろうか、眠りの中のジョングクの耳に、テヒョンの声が飛び込んでくる
その声は段々大きくなり、ジョングクはハッとして起き上がった
起きてすぐにテヒョンのベッドを見ると、テヒョンがうなされているようだった
ソファから飛び出したジョングクは、すぐにベッドのテヒョンの手を握ると
「テヒョン様、テヒョン様」
と声を掛けた。するとテヒョンは
「うわぁ!」
と叫んで起き上がろうとしたので、瞬時にジョングクが抱き止めた
「大丈夫でございますよ、ここにおります。ジョングクが側におりますよ」
怪我をしているテヒョンが、無理に身体を起こさないように、ジョングクは覆い被さるようにして、優しく声を掛けながらテヒョンを包み込んだ

テヒョンは寝汗をかき、荒い呼吸をしている
まだ眠りから覚醒していないようだったが、身体は縮こまるようにして、小刻みに震えていた
ジョングクはテヒョンの頭を抱えて、髪を撫でながら落ち着かせようとした
「大丈夫でございますよ。ジョングクがこうして側におります」
ジョングクは、ゆっくりと静かに繰り返し、繰り返し、テヒョンに声を掛け続けた
テヒョンは震える手で、しがみつくようにして、ジョングクの腕を掴んだ

しばらくすると、テヒョンの身体の震えが収まってきて
「・・・ジョン、、グク・・?」
と、ジョングクの名前を口にした。やっと覚醒してきたようだ
「はい、ずっと側におりますよ、テヒョン様」
「ああ、、ごめん、、起こしてしまったな」
いつものテヒョンの口調に戻った
「そんなことは構いません。それより、どこか痛む所がございますか?」
「いや、ない、、僕は昼間の夢を見ていたんだ・・・」
「テヒョン様、今お水を持って参りますので、待っていて下さい」
ジョングクは繋いでいた手首の麻布を外して、テヒョンから離れると、まずタオルを取りに行き、そしてベッドまで戻ると、サイドテーブルに置いてある、冠水瓶の水をグラスに注いで、テヒョンの所まで持って来た
「よろしいですか、後ろに手を回しますよ」
ジョングクは怪我をした背中に直に触れないように、テヒョンが直接寄りかかるクッションの後ろに手を入れて、ゆっくり起こした
「はいどうぞ、テヒョン様」
ジョングクは水を入れたグラスをテヒョンの口に運ぶ
テヒョンは1口、2口水を飲んだ
「寝汗が凄いですね、、今拭きますね」
ジョングクはグラスをサイドテーブルに置くと、持って来たタオルでテヒョンの額の汗を拭い、顎の下から襟足、首の後ろと、何度もタオルの拭く面を裏返して替えながら、丁寧に拭いていった
最後はタオルで髪を撫でるようにして拭き上げた

テヒョンは拭いてもらいながら、ジョングクをじっと見ていた



【悪夢】


「・・落馬をする夢を・・見たのだ。僕は空高く飛ばされて、、青空が見えた瞬間、駄目かもしれないと思った。そして吸い込まれるようにして地面に叩きつけられた・・・」
テヒョンが天井の一点を凝視しながら話した
ジョングクは胸に迫るものを感じて、テヒョンの後ろ首を掴むと、自分の首元で抱きしめた
テヒョンはジョングクの肩越しで、天井を見つめたまま泣き出した

実際にテヒョンは、馬から放り投げられるようにして落馬した
馬が驚いて、後ろ脚で立ち上がった後、前脚が地面に戻って、更に後ろ脚で空を蹴り上げた瞬間に、その反動でテヒョンが空高く放り出されたのだ。そして、そのまま勢いよく地面に叩きつけられた

ジョングクは気付いた
あまりの衝撃で、ジョングク自身がテヒョンが落馬した後の事が、上手く思い出せなかったのは心が自衛したからだ
だから、テヒョンも馬から落ちてあまり記憶がないと言っていたのも、同じ理由だったはずだ
昼間、目覚めてから気丈に振る舞っていたのも、気を張らせ心でテヒョン自身を守っていたのだ
しかし、逆に事故の恐怖を無理矢理心に閉じ込めた反動で、夢の中で恐ろしかった記憶が蘇ってしまった


ジョングクは、テヒョンが隣で眠ることを勧めてきた時、素直に応じれば良かったと後悔した

普段、自分を律することで弱音を吐かないテヒョンの性格を分かっていた筈なのに・・・
それでもジョングクに対しては、少しづつ本音を垣間見せてくれるようになっていたのに・・・

何のために今夜テヒョンの介添えを買って出たのか
傷を負ったのは、身体だけじゃない
心も同じように傷を負っていたのだ
『もっと早く気付いて差し上げるべきだった』ジョングクは更に猛省した
「申し訳ありません、気付くのが遅くて・・・」
ジョングクの言葉に、テヒョンは応えなかったが、ジョングクが言いたい事は伝わっていた
テヒョンの瞳から更に次々と涙が零れ落ちる。
こうして何も言わずとも分かってもらえる事で、テヒョンの心は癒やされていった

「さぁ、またお休みになって下さい。私はこうしてずっと、お側におりますから」
そう言いながら、テヒョンの涙の跡を優しく拭いて、満面の笑みを向けた
テヒョンは安心したように笑うと、ジョングクの手を取り、その手の甲を自分の頬につけて瞳を閉じた
テヒョンのその仕草は、まるで小さい子どものようだった

なんと可愛らしく、愛らしいことをなさる方なのだろう・・・

ジョングクはなんとも言えない幸福感に包まれた。身内以外の人間では、きっと自分にしか向けられていないであろう、テヒョンからの信頼感に、父性なのか母性なのか本能がくすぐられた
こんな幸せな気持ちに浸ったのは初めてだった

気が付くとテヒョンは再び深い眠りに入っていた
ジョングクの手はまだテヒョンに握られたままだった
そして、ジョングクはテヒョンにまだ繋いだままだった麻布を外した
そうしてから、もっとずっと近くテヒョンに近付いて
『次の夢は是非楽しい夢を・・・』と願ってそのままテヒョンに添い寝した


テヒョンとジョングクが、一緒に迎える何度目かの朝 ____
今朝はジョングクが先に目覚めた
目が覚めてすぐにテヒョンの様子を確認する
まだまだずっと深い眠りの中にいるようで、穏やかな寝顔に安心した
ジョングクはそっと起き上がり、ずぅっと繋いだままだった、テヒョンの手をそっと離すと、ブランケットの中に入れた

ジョングクは、名残惜しそうにテヒョンの寝顔を見ていたが、思い切ってベッドから出ると、窓辺に向かいカーテンを開けた
明るい朝の陽の光に一瞬目を細めながら窓を開ける
もう朝はすっかり冬の空気になっていて、ジョングクの吐く息が真っ白になった
そして次に暖炉に向かうと、既に小さくなっていた暖炉の火に、新しいい薪を焚べた
ここまでやってベッドの方を見たが、テヒョンはまだ眠っているようだった
テヒョンが目覚める前に、部屋を整える準備が出来た

ジョングクは空気の入れ替えを終わらせ、窓を閉めて部屋を暖める
次に冠水瓶の水を取り替えようと、サイドテーブルからトレーごと取ると、ここでノックをする音がした

扉を開けると、スミスが冠水瓶を持って立っていた
「おはようございます、チョン伯爵」
「おはようございます、スミス殿。ちょうどよかったみたいですね」
ジョングクがそう言うと、スミスがお互いの冠水瓶を見て笑った
「どうぞ中へ、テヒョン様はまだお休みです」
ジョングクがスミスを中へ入れた
「チョン伯爵、そちらの冠水瓶は朝食が運ばれて来た時に、一緒に持って行ってもらいましょう」
「分かりました」
ジョングクは扉の近くにある棚の上に冠水瓶を置いた

「テヒョン様はよくお眠りになられていますね。安心致しました」
「あ、、でもスミス殿・・・」
「はい」
ジョングクが、なんだか話しづらそうにしているのを見て、スミスは
「チョン伯爵、ではお手伝いをお願いしても宜しいでしょうか?どうぞ隣のクローゼットのお部屋へ」
と、言って場所を移してくれた

ジョングクとスミスは、クローゼットの部屋の扉を開けてそこに入った。そしてスミスがジョングクに話を促す
「いかが致しました?」
「実は、昨夜テヒョン様がご就寝中にうなされて、、、」
「・・・そうでいらっしゃいましたか・・」
「私が自ら介添えを申し出ていながら、申し訳なくて・・・」
「いいえ、チョン伯爵が謝られることではございませんよ」
「しかし、、昼間は毅然とされていましたが、それは恐怖心を我慢なさっていただけだと、すぐに気付いて差し上げるべきでした。私はテヒョン様の事故のショックに動揺するばかりで、気付くのが遅すぎました」
スミスは黙って聞いていたが、笑い出して言った
「・・・笑ったりなどして失礼致しました。いや、流石でございますな、チョン伯爵。よくテヒョン様を見て下さっていらっしゃる」
「・・・え?私がですか?」
「そうでございますよ。お二人が親交を始めてまだ日が浅い中、なかなかそこまで気付かれるというのは、本来なら難しいと思います。・・・実はテヒョン様は、今までにもよくうなされる事がございました」
「そうなのですね・・・」
「チョン伯爵もそうでいらっしゃいますが、テヒョン様も若くして家督を継がれました。その為人一倍責任感を持たれますし、あまり感情を出されません。そうでなくても早く大人になられてしまいましたので、どなたかに頼るということもなさいませんでした」
「全てお一人で抱えてしまわれるのですね」
「はい。私などテヒョン様から、お子様らしいわがままも言われたことがありませんから、寂しく思ったりも致しました」
ジョングクとスミスは笑った

「ですが、チョン伯爵が昨夜ご覧になったように、気を張り詰めていらっしゃる分、その反動が無意識の時に出てしまわれるようなのです・・・」
「スミス殿・・私はテヒョン様に《側近》にまでして頂いているのに、、ここぞという時にお力になれていない気がします」
「チョン伯爵、それは違いますよ。貴方様と親交をもたれるようになってからのテヒョン様は、よくお笑いになりますし、以前より沢山お召し上がりにもなり、最近はぐっすりお眠りにもなって、これが本来のテヒョン様なのだと、我々お仕えする者達は感じています」
スミスはにこやかに話す
「チョン伯爵には感謝しかございません。貴方様とご一緒の時のテヒョン様は、とてもはつらつとして、年相応の青年としての輝きがございます。・・・貴方様も今まで、随分ご自身を抑えてこられたのではありませんか?」
「スミス殿・・・」
「この間、宮殿でハンス殿にお会いした時に、仰っていましたよ。『殿下とご一緒の時のジョングク様は、重圧から開放された元々のジョングク様になられる』と。テヒョン様に可愛がって頂けてとても有り難いとも仰ってましたね・・・」
「ハンスがそんな事をスミス殿に?」
「はい。私やハンス殿から拝見致しますと、テヒョン様もチョン伯爵もお互いに補い合い、支え合い、更にご成長されていらっしゃるように見えますよ」
「本当に?そう見えていますか?」
スミスは微笑みながら大きく頷いた
「ですからチョン伯爵、テヒョン様とは自然体で大丈夫でございます」
「ありがとうございます。・・・そうしたら、スミス殿も私の事は、自然体で今後は名前で呼んでもらえますか」
「え!よろしいのでございますか?実は、、ずっと許可を頂けるのを待っておりました」
「早く言ってくだされば・・」
「そういう訳には参りませんよ。貴方様は当主の大事なご友人である上に、私の身分より格上のお方ですからね」
「スミス殿はそういう所は、きっちりされていますよね」
「王族のご家庭に仕えておりますれば、でございますよ、はい」
「なるほど」
ジョングクの反応を見て、スミスは笑っていたが、急に深々とお辞儀をすると
「それでは、遠慮なく貴方様をジョングク様とお呼び致したいと存じます」
と言った
ジョングクは笑いながら頷いた
「さ、そろそろお部屋に戻りましょう。テヒョン様がお目覚めになる頃です」
と言って、スミスがテヒョンの着替えを揃えて持ち、ジョングクはタオルを持ってクローゼットを出た




※ 画像お借りしました



物語も㉖まで参りました😆いつも皆様には感謝で一杯です✨🙏✨


前回の物語



素敵なテテとグクの動画を紹介して下さってる方がいらっしゃいました💖❤️💙

群青と真紅のイメージにも合うので、ご存知の方も多いと思われますが、知らない方の為に、紹介の許可を頂いたので載せますね✨✨✨✨


 

では、物語が始まります❤️💙❤️💙

落馬の怪我でベッドに眠るテヒョンの
イメージ


【テヒョンの怪我】


夕方、ほとんど人影が見えなくなり、プチ・パレスはテヒョンとスミス(一緒に来た従僕達は先に屋敷へ返した)とジョングク、宮廷の主治医(以降 宮廷医)だけになった
そしてパレスに残る怪我をしたテヒョンとその関係者の為に、宮廷から職員数名が派遣された

夕食の支度が始まる頃
宮廷医がテヒョンの診察の為に、部屋にやってきた

「殿下、失礼致します。お背中の状態を診察させて頂きに参りました、湿布もお取り替えさせて頂きます」
「ありがとうございますドクター。お願いします」
テヒョンが応えた
「ではドクター、私がお手伝い致します」
そう言ってジョングクがテヒョンのベッドに上がる
「テヒョン様、両手を上げられますか?」
「うん大丈夫、、いけるよ」
「では、どうぞ私の首に手を回してお掴まり下さい」
ジョングクはそう言いながら、首をテヒョンの前に差し出した
テヒョンは両手をジョングクの首に回し、手を組んだ
「それでは殿下、身体を動かしますよ。そのままチョン伯爵にしっかりお掴まりになっていて下さいませ。はい、ゆっくりいきますよ」
宮廷医がテヒョンの腰に手を添えて、背中を少しづつ宮廷医側に向けていく
「はい、これでよろしいでしょう。痛くはありませんか?」
「大丈夫です」
「それではチョン伯爵、殿下のお召し物を脱がせて頂けますか」
「分かりました」

ジョングクは普通に『分かりました』とは言ったものの、着ているものを脱がすことに気恥ずかしさを感じた
相手がテヒョンであれば尚更だった
テヒョン自身もドキドキしていた
しかし、とにかく二人共ここは何も考えないことにした。

「では失礼致します、テヒョン様」
「・・・うん」
ジョングクがテヒョンのシャツのボタンを外し、静かに脱がしていくと、白く艷やかな肩があらわになる
しかし、テヒョンの身体には包帯が巻かれていて、それが痛々しく見えた
「チョン伯爵、脱がして頂いたシャツをこちらへ。新しいシャツとお取替え致しますので」
スミスがテヒョンの替えのシャツを持ってきて言った
ジョングクはテヒョンのシャツをスミスへ渡すと、宮廷医が包帯を外すのを待って、ブランケットをテヒョンの肩から胸元に充ててやる。少しでも寒くないようにとのジョングクの配慮だ

「ありがとう」
テヒョンは目の前でブランケットを充ててくれているジョングクに笑顔を向けた
「寒くはありませんか?」
「大丈夫。充分暖かいよ」

「これは・・・!?」
包帯を外して湿布を捲った宮廷医が、テヒョンの背中を目にした瞬間、怪訝な声を出した
「ドクター、どうかしたのですか?」
テヒョンが訊ねた
「いえ、、、殿下が落馬をされた直後に私は診察を致しましたが、その時は内出血斑がかなり広範囲にごさいまして、だいぶ腫れておられたのです」
宮廷医はそう言った後、まじまじとテヒョンの背中を診直して、更に言う
「しかし、、今、もうその内出血斑が薄くなっておられるのです」
宮廷医は唖然としているようだった
「普通はどの位で治っていくものなのですか?」
テヒョンが再び訊ねた
「殿下のあの症状でございましたら、内出血斑が薄くなるまでに、早くても3週間は要します」
宮廷医の言葉に、スミスがテヒョンの背中側に回って覗いてみる
「本当でございますね。私もドクターとご一緒にテヒョン様のお背中を拝見致しましたが、痛々しい程赤紫色になっておいででした、、、」
「いや、、、本来なら有り得ません、あり得ませんが、、、これは驚きました、、物凄い回復力でございます」
宮廷医は驚きを隠せないでいた

宮廷医やスミスの驚いている声を聞いて、テヒョンはチラリとジョングクを見た
ジョングクはテヒョンと目が合うが、意味ありげに、にこりと笑っただけですぐに視線を外した
テヒョンはそのままジョングクを見ていた
宮廷医が更に細かくテヒョンの背中の状態を診ながら
「内出血斑や腫れが引いていらっしゃるので、これ以上の治療はもはや必要がなくなりましたが、念の為湿布だけは貼らせて頂きます」
と言うと、薬草にオリーブオイルを混ぜた塗布薬をゴムのパップに塗り込み、テヒョンの背中に貼った
その上から包帯を巻くと、ジョングクが新しいシャツを着せる
そして、ピローやクッションを整えて、テヒョンをゆっくり、静かにその上に寝かせた
「殿下、背中の痛みの方はいかがですか?」
宮廷医が手洗い桶で両手を洗いながら訊く
「完全には消えておりませんが、耐えられない痛みではありません」
「なるほど、、そうでございますか。背中への強打でしたので、当初は大変心配致しましたが、背骨に骨折がございますと、こうしてお話することも出来なかったでしょうから、そちらの心配はないと思われます。」
「そうですか、一安心致しました」
テヒョンが安堵して深く息をした
「ただし、大事を取られてしばらくは安静にして頂きとうございます。3日経って何もないようでしたら、少しだけベッドに寝られたまま、筋肉を解す運動をなさって下さいませ」
「分かりました」
「7日経過して、お座りになれるようでしたら、10日後には馬車に乗られてもようございます。お付きの方の介助はお願い致します」
「承知いたしました。ドクターの仰る通りに、テヒョン様にはご養生して頂きます」
スミスが宮廷医に手拭きを渡しながら言った
「今回のお怪我の記録は全て、殿下の主治医へご報告致します。・・・お帰りになりましたら、主治医の診察を受けて下さいませ。では、診察は終わりましたので失礼致します」
「ありがとうございました。宜しくお願い致します」
スミスが宮廷医を扉まで見送った


【テヒョンとジョングクとスミス】


宮廷医の診察が終わり、テヒョン、ジョングクとスミスで夕食が取られた
テヒョンは、ベッドテーブルに食事を用意してもらい、再度ジョングクに手伝ってもらう

「しかし、テヒョン様の回復力の速さは、神がかっておりますね」
スミスはなぜかジョングクの方を見ながらそう言った
ジョングクは特に気にするでもなく
「そうですね」
とだけ応える
「テヒョン様、しかしながらドクターが仰るように、ゆっくり養生して頂きますよ」
スミスは今度は本人のテヒョンに向いて言った
「分かっているよ」
テヒョンはそう答えながら、違和感を感じていた
スミスがジョングクにテヒョンの《回復力》について話している様子は、スミスが何かを知っているような感じに見えたのだ

それにテヒョンは、以前にジョングクがワインオープナーで怪我をした時に、自身で出血を即座に止めた時の事を思い出していた
それと今回のテヒョンの身体の内出血斑の回復に、何か関連があるのではないか・・・

しかしテヒョンはこの時点では、それを掘り下げて探ろうとは思わなかった
簡単に訊いたとしても、答えが1つだけでは済まないかもしれないと思っていた
そしてなぜだか、いずれその理由が分かる日が来るだろうという確信があったのだ
漠然とした確信だったが、テヒョンはそう感じた

食事が終わり、スミスが食器を片付け始めた
ジョングクがテヒョンのベッドの上のベッドテーブルだけ残して食器を下げた
「何もかも世話をかけてすまない、ジョングク」
「いいえ。楽しくやらせて頂いてますよ。その代わりスミス殿のお仕事を横取りしていますけど」
「おかげさまで、チョン伯爵には楽をさせて頂いてますよ」
3人は笑った。そしてスミスが
「さて、片付けが済みましたら、食後のお飲み物をご用意致しましょう」
と言うと
「あ!スミス殿、飲み物の準備は今しばらく待っていて下さい」
ジョングクが思い立ったように、そう言って部屋を出ていった
「なんだ?ジョングクはどうしたのだ」
「さぁ、、何でございましょうか」

スミスはとりあえず片付けを続け、食器を全てワゴンに乗せるとそれを部屋の外に出した
そして一段落着いて、テヒョンのベッドまで来る
「テヒョン様、ピローやクッションの居心地は大丈夫でございますか?」
「ああ、楽だよ。ジョングクはうまい具合にセットするな」
「軍隊では看護は必須でしょうから、チョン伯爵も士官学生時代に習われたのではないでしょうか」
「そうか・・・万一戦場に赴くともなれば、負傷するかもしれない危険はつきものだからな・・」
テヒョンは自分でそう言いながら、複雑な気持ちになった
そしてまた、スミスがジョングクが士官学生だった事を知っている、ということにも、先程感じた《違和感》を再び感じた・・・・

しばらくすると、ジョングクがポットとカップのセットを持って戻ってきた
「お待たせ致しました。ココアを淹れて持って参りました」
ジョングクはそう言って、テーブルに乗せた。そして1つづつカップにココアを注いでいくと、甘い香りが部屋を漂う
「ココアを用意してくれていたのか。うー・・ん、いい香りだ。今日もジョングクのココアが飲めるとは、嬉しいな」
「今日のランチの後で皆様にお出しするつもりだったのです。さ、スミス殿どうぞ」
ジョングクはそう話しながら、ひとつをスミスに勧めた
「ありがとうございます。チョン伯爵の淹れて下さったココアでございますか。楽しみですなぁ」
スミスは嬉しそうにテーブルに着いた

次にジョングクは2つカップを持って、ひとつをテヒョンのベッドテーブルの上に置き、もうひとつはベッドのサイドテーブルに置いた
ジョングクはテヒョンのベッドに腰を掛け、ベッドテーブルのカップを取ると、テヒョンの口元に運んだ
「まだお熱うございますので、、、」
テヒョンはふぅふぅと息を吹きかけて冷ましながら一口すする
そして味わいながら飲み込むと
「うん!美味しい」
と笑顔で言った
「では私もいただきます」
スミスはテヒョンが飲んだことを確認して一口飲んだ
「おお!これは、テヒョン様のお好みの甘さではございませんか」
スミスから驚きの声が上がる
「そうだろう?私も初めて飲んだ時に驚いたのだ。甘さの調整無しで飲めたからな」
「味覚は人それぞれ、好みは微妙に違うものですからね、、、いや、感動致しました。流石でございますな、チョン伯爵」
「やめて下さい、そんなに褒めて頂いては、流石に恥ずかしいです」
テヒョンとスミスが恥ずかしがるジョングクを見て笑った
「私は幸せ者です。こうしてチョン伯爵のココアをご馳走になりながら、テヒョン様のご交友の和に、ご一緒にさせて頂けて、、、」
スミスがしみじみと、嬉しさを込めて言った
「スミス殿、私はテヒョン様から教えられたのですよ『大事な友人の家の者だろ。大事にするのは当たり前ではないか?』と。私もテヒョン様から家の者を手厚く扱って頂いた時は涙が出ました」
「やめろ、ジョングク、、今度は僕が恥ずかしいではないか」
ジョングクがスミスと顔を見合わせると二人は笑い出した
「こらこら、こちらの身動きが取りづらいのをいい事に、なんで二人して笑っているのだ」
「ああ、テヒョン様、騒いだりなさったら御身体に障りますよ。ドクターが仰ってましたでしょう、安静にと」
スミスが笑いながら窘める
「そうですよ、テヒョン様」
ジョングクがスミスに便乗して言った
「二人とも〜〜!」

テヒョンは嬉しかった。例え《違和感》を感じる部分があったとしても、気を許せる人達と、和める時を持てる事が出来て幸せだと思った
こんな事を言ったら咎められるのだろうが、自分が落馬で怪我をしたおかげだとそう思った



※ 画像お借りしました






昨日のグクのウィバースでの投稿に怒り心頭になった方も多いでしょう😤
群青と真紅のキム公爵やチョン伯爵のように、常時お付きの人がいるわけじゃない
ある程度は自衛をしなければならない事を考えれば、ファンや一般社会は、やっていいことと、悪いことは考えてあげなきゃね
所詮、サセンは自己中だろうから、グクに反応してもらって喜んでるだろうね💢
㉔章でジョングクが『道を開けられよ❗』と叫んだように、本当ならばハッキリ言ってやりたいとこだったろうに・・・😡


さて
今回の物語はグイッとテヒョンとジョングクの《心》に迫りますよ😉👍

前回の物語


【文中用語注釈】

マツテン
イタチ科テン属の肉食類
19世紀末には絶滅危惧種になってしまったそうです
テヒョンの落馬の原因となった、飛び出してきた動物

では物語が始まります✨💜💙❤️✨


【あの時のテヒョンとジョングク】
〜㉔章からの回想〜

僕は自分の両手に閉じ込めたテヒョン様の手の温もりを頬に当てて、更にもっとその温かさを確認する
テヒョン様が今、自分の目の前に生きて存在してくれていることに、感謝せずにはいられなかった

ジョングクは
陸軍近衛師団に入隊したばかりの時には、自分が今後出兵することになって、もしかしたら、、、それで万が一生きて還れなくなったとしたら・・・・

そうなったら、2度と会えなくなるということの恐怖心に襲われた
自分の命が失われることよりも、再会を果たせないことの方が怖いと思っていた

しかし、今は目の前にいるテヒョンの存在がこの世からいなくなってしまう事の方が、物凄く恐ろしいと感じて、心と身体が震え上がり、自然と涙が溢れてしまう

テヒョン様が落馬した後の事がうまく思い出せない・・・
あまりのショックで頭が混乱し、心が麻痺して感情がなくなってしまった気がする
落馬したテヒョン様がベッドで目覚めた時、僕はやっと覚醒して、思いが溢れて泣き出してしまった


今回のテヒョンの落馬はジョングクにとって、衝撃的過ぎる事故だった
それに、テヒョンのことになると、なぜいつも心がこんなにも揺さぶられるのか、、、
その事にも気持ちが囚われていた
テヒョンの事を慕っているし、憧れていて、尊敬もしている

この思いは恋かもしれない、、、

ジョングクも成人した一人の大人だ
この気持ちが《恋》に結びつくこと位、想定しないわけはなかった

だけど、果たしてこの思いを単純に《恋》だと断言出来るのか・・

そう思ってどんなに言葉を探っても、見つからないし、言い表せない・・・
多分、この気持ちはもっと崇高で、汚れのない、誰も入り込めない《想い》なのだ

更にいえば、漠然としながらなのだが
ずっと前からお互いが、お互いを知っていたような・・・出会う運命だったような、それこそ太古から何度も何度も出会いを繰り返してきた者同士のような、そんな《魂の記憶》というべきものが、ジョングクの感覚としてあった

いや、だが、なにをどう説明してみても答えにはならない
ただはっきりしているのは、テヒョンがジョングクにとって、誰よりもかけがえのない存在になってしまったということ・・・
これだけは間違いがなかった


フランシス嬢がジョンソン男爵を引っ張って部屋を出ていった
部屋はテヒョンとジョングクの二人だけになったので、テヒョンはだいぶ落ち着いてきたジョングクに訊いた
「そんなに、、僕の落馬はショックだったのか?」
「・・最初は、、テヒョン様が頭から落馬されたと思いました・・・」
言いながらまた涙を流す、、、ジョングクはあの時、最悪の状況を想像したのだ

テヒョンが慌てて止めて
「もう話さなくていい、、、すまなかった、ジョングク、、思い出させてしまって・・」
と言った
ジョングクは、涙をこらえようと必死だった。そして、しばらく黙ったままだったが、ずっと握っていたテヒョンの手の甲に静かに自分の唇をつけた

テヒョンの胸の中心に、炎の矢のような何かが刺さる

そしてジョングクは、そのまま視線をテヒョンの瞳に向ける

刺さったものが更にテヒョンの胸の奥を深く射抜いていく

ジョングクの瞳がまた赤黒く光った
唇からテヒョンの手の甲、腕を伝って熱い血液の流れに変わる
その血潮がテヒョンの体中を駆け巡る
ジョングクは唇を離して
「背中の痛みは多少薄れると思います」
と言った

ジョングクはおまじないをしたのだろうか?テヒョンは何も訊かず、何も話さなかった
そして、まだ握られたままの二人の手を自分の方へ引き寄せると、今度はテヒョンから、ジョングクの手の甲に唇をつけた

テヒョンは唇をつけたままジョングクを見つめた
ジョングクはテヒョンを見つめ返すと、ゆっくり近づいていって、もう一度テヒョンの手の甲に唇をつける・・・
その瞬間、二人は目を閉じた
お互いの握りしめた手を介して唇が重なった

不思議な時間だった。自分達の心臓の鼓動だけが時を刻む代わりになった
どちらからともなく、二人は離れたが何も話さなかった、というよりも言葉がなくても心の中で通じ合った

ただ、あろうことか、お互いに同じタイミングでお腹が鳴った
二人は笑い出した
笑ってもテヒョンの背中には響かなかった
ジョングクの言う通り、痛みが幾分和らいでいる感じだ
「お腹が空いたな」
「はい」

ちょうどその時、扉が開いてフランシス嬢の声がした
「お食事が参りましたよ」
「「待ってました」」
テヒョンとジョングクは、またタイミングよく二人で応えた



【テヒョンの部屋にて】


いい大人が、みんなの前で食べさせてもらっている状況が、なんとも気恥ずかしいテヒョンだったが、食べさせてくれているのがジョングクだったので、内心は嬉しかった
気心が知れた人からの優しさは、心に癒やしをくれる
それを感じられてテヒョンは幸せだった

「ジョングク、君も食べて」
「テヒョン様のお食事が、まだまだありますよ」
「僕は一緒に食べたいんだよ。みんな嬉しそうに食べているだろう?君も一緒に楽しまなければ意味がないよ」
「はい。分かりました、ありがとうございます」
ジョングクはそう応えて、ようやく自分の食事に手を付ける
「あー・・凄く美味しい!これはどちらの御宅の料理ですか?」
「テヒョン様のシェフの料理ですよ」
スミスが得意げに答えた
ジョングクはテヒョンに振り返り
「テヒョン様のシェフに1番に当たりましたよ!」
と、にこにこしながら言った
すると
「チョン伯爵、うちの料理も食べてみて下さい!」
ジョンソン男爵が自身のシェフの料理を推してきて、ジョングクもそれに乗る
「お、どれどれ」
子どものようにはしゃぎながら、食事を楽しむジョングクをテヒョンは慈しむように見ていた

テヒョンが落馬したことに、泣いてまで心配してくれるジョングクが、改めて愛おしいと思えた日だった
友人でもあり、弟のようでもあり、同士のような関係性もある
貴族の中でも王族であり、身分が高いテヒョンに対して、恩恵を賜ろうと野心を隠すことなく、近づいて来る人は沢山いるが、ジョングクのように慎み深い貴族は本当に初めてだった

落馬した後、ジョングクが自分を抱えて運んでくれていることは、ジョングクのあの体温と、付けているフレグランスで分かったし、途中、大きな叫び声を上げた事で本人だと確認出来た
不思議なことに、ジョングクの叫び声を聞いて安心した。多分それから気を失ったのだろう。

僕は、、ジョングクに恋をしている

多分、これは《恋》なのだろう
それは認めなくてはならないとテヒョンは思った
ジョングクの笑顔が、言葉の一つ一つが、泣き顔が、困った顔や驚いた顔が、みんなみんなテヒョンの琴線に触れた
そして
今まで感じたことがない、心の奥にしっかり根付いた、取り除く事なんか出来ない、とても大きな《想い》になっている

ジョングクといると心の居心地がいい

美味しそうに、また食欲旺盛に食事を楽しんでいるジョングクをテヒョンはベッドの中で見つめていた
ジョングクがテヒョンの視線に気付いて振り向いた

テヒョンは、こんな時ですら胸がときめいてしまう
「すみません、あまりにもみんな美味しくて私ばかり食べていました」
ジョングクが慌ててテヒョンの皿を取る

「いいんだ。どんどん食べて、食べて」
テヒョンが笑って応える
「いいえ、一緒に食べましょう。テヒョン様がそう仰ったのですから」
ジョングクがフォークに料理を乗せて、テヒョンの口元に運ぶ

「あ〜、これも美味しいじゃないか」
テヒョンがそう言うと、ジョングクがにっこりと笑って
「我が家のシェフの料理です」
と答えた
「おお!そうか。では是非ジョングクの屋敷に行って、コース料理を馳走にならねばな」
「是非いらして下さい。シェフもですが、家の者達はみんな喜びます」
それを聞いていたジョンソン男爵が
「チョン伯爵、私もご馳走に与りたいです」
と言ってきた
「おー!歓迎しますよ。ジョンソン男爵とは、ポロチームだけでなく、同じ近衛兵同士でもありますからね」
「ありがたき幸せ!」
ジョンソン男爵の、おどけたような言い方にみんな笑った

そこへ主催者としての仕事を終えた国王が、テヒョンの部屋に戻って来た
全員立ち上がったが
「ああ、そのままでよい。食事を続けられよ。私はテヒョンを見に戻ったのだ」
「わざわざありがとうございます、陛下」
そして、国王の後から『失礼致します』と言ってポロのチャリティー競技会の執行責任者も入って来た
「キム公爵、お加減はいかがでございますか」
執行責任者が不安げな面持ちで訊ねた
「だいぶ楽になりましたよ。ご心配おかけしましたね。こうして食事も出来ています」
「食欲があるのだな。大事なくてよかった」
国王が安心したように言った

執行責任者が事故の原因について話し始める
「今回のポロポニーを驚かせたものの正体は、マツテンだったそうで、獲物を追いかけてきて、競技場の牧草地に迷い込んで来たものと思われます。捕獲が出来ませんでしたので、確実な事ではございませんが」
「そうですか。いや、でも捕獲して処分されなくてよかった。彼らも生きるのに必死だったということですからね」
自分が落馬をしても、原因になったと思われる小動物の心配をするのは、テヒョンの優しさだ
「怪我をしてもそれが言えるとは、なんともお前らしいな」
国王が笑った
「いやしかし、いくらご無事だったとはいえ、キム公爵は王位継承を担う大事な方のお一人でいらっしゃいますから、わたくしは今もまだ震えが止まりません」
執行責任者はそう言って自分の体を擦った

「何にせよテヒョンの身体は動かせないのだろうから、宮廷の主治医も残ってもらうことにした。ゆっくり休んでから帰るのだぞ」
国王がそう言った後にジョングクが
「私もこちらに残り、テヒョン様のお側におります」
と申し出た
「うん、お前はテヒョンの側近だからな。そうするがよい。私は公務が残っているので、宮廷に戻らねばならぬ。今日はここで皆ともお別れだ」
部屋にいたテヒョン以外の者がみんな立ち上がり、国王に一礼をする
「おお!最後に、皆よいシェフを持っておるな、大変美味しく頂いた。相手チームにも大好評であったぞ!私は大変満足している。そしてフランシス嬢のお菓子は絶品であった!またいつでも持って参れ」
国王は最後、笑いながらもそれぞれを労った
「ありがたき幸せにございます」
みんなが国王にお礼を言った

「それではわたくしも失礼致します。キム公爵、どうぞお大事になさって下さいませ」
執行責任者もそう言って、深々と頭を下げると、国王の後を付いて部屋を出た

「ジョングク、残って大丈夫なのか?明日は任務だろう?」
テヒョンはジョングクが無理をして、残ろうとしているのではないか、と心配して訊いた
「大丈夫でございますよ。明日はまだ時間がございますので」
「そうか、、ならいいのだ。ありがとうジョングク」
「はい」
ジョングクはにっこり笑った

「そろそろ陛下も大絶賛だった、フランシス嬢のお菓子を頂こうかな」
テヒョンは、スミスが紅茶を煎れ始めたのを見て言った
「はい!是非召し上がって下さいませ」
フランシス嬢が張り切って言う
ジョングクがフランシス嬢の焼き菓子をお皿に取ると、一口取ってテヒョンに食べさせた
「うん!美味しい。お腹が満たされていても、入ってしまうな」
「そうですよね、キム公爵!私もこれが大好きなんです」
ジョンソン男爵が力強く同調する

「みんなすまない、私がこうでなければ、これだけ美味しい食事が、景色のいい外の空気の中で食べられたのに」
「いいえ、負傷されているキム公爵には申し訳ありませんが、十分に楽しませて頂いてますので、どうぞお気になさらずに」
フランシス嬢が本当に楽しそうに言った
「キム公爵と、このように家庭的な雰囲気で食事が出来るなんて、光栄でございますよ」
ジョンソン男爵も乗ってくる
ジョングクとスミスはにこにこしながら頷いた



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