昨日のグクのウィバースでの投稿に怒り心頭になった方も多いでしょう😤
群青と真紅のキム公爵やチョン伯爵のように、常時お付きの人がいるわけじゃない
ある程度は自衛をしなければならない事を考えれば、ファンや一般社会は、やっていいことと、悪いことは考えてあげなきゃね
所詮、サセンは自己中だろうから、グクに反応してもらって喜んでるだろうね💢
㉔章でジョングクが『道を開けられよ❗』と叫んだように、本当ならばハッキリ言ってやりたいとこだったろうに・・・😡
さて
今回の物語はグイッとテヒョンとジョングクの《心》に迫りますよ😉👍
前回の物語
【文中用語注釈】
マツテン
では物語が始まります✨💜💙❤️✨
【あの時のテヒョンとジョングク】
〜㉔章からの回想〜
僕は自分の両手に閉じ込めたテヒョン様の手の温もりを頬に当てて、更にもっとその温かさを確認する
テヒョン様が今、自分の目の前に生きて存在してくれていることに、感謝せずにはいられなかった
ジョングクは
陸軍近衛師団に入隊したばかりの時には、自分が今後出兵することになって、もしかしたら、、、それで万が一生きて還れなくなったとしたら・・・・
そうなったら、2度と会えなくなるということの恐怖心に襲われた
自分の命が失われることよりも、再会を果たせないことの方が怖いと思っていた
しかし、今は目の前にいるテヒョンの存在がこの世からいなくなってしまう事の方が、物凄く恐ろしいと感じて、心と身体が震え上がり、自然と涙が溢れてしまう
テヒョン様が落馬した後の事がうまく思い出せない・・・
あまりのショックで頭が混乱し、心が麻痺して感情がなくなってしまった気がする
落馬したテヒョン様がベッドで目覚めた時、僕はやっと覚醒して、思いが溢れて泣き出してしまった
今回のテヒョンの落馬はジョングクにとって、衝撃的過ぎる事故だった
それに、テヒョンのことになると、なぜいつも心がこんなにも揺さぶられるのか、、、
その事にも気持ちが囚われていた
テヒョンの事を慕っているし、憧れていて、尊敬もしている
この思いは恋かもしれない、、、
ジョングクも成人した一人の大人だ
この気持ちが《恋》に結びつくこと位、想定しないわけはなかった
だけど、果たしてこの思いを単純に《恋》だと断言出来るのか・・
そう思ってどんなに言葉を探っても、見つからないし、言い表せない・・・
多分、この気持ちはもっと崇高で、汚れのない、誰も入り込めない《想い》なのだ
更にいえば、漠然としながらなのだが
ずっと前からお互いが、お互いを知っていたような・・・出会う運命だったような、それこそ太古から何度も何度も出会いを繰り返してきた者同士のような、そんな《魂の記憶》というべきものが、ジョングクの感覚としてあった
いや、だが、なにをどう説明してみても答えにはならない
ただはっきりしているのは、テヒョンがジョングクにとって、誰よりもかけがえのない存在になってしまったということ・・・
これだけは間違いがなかった
フランシス嬢がジョンソン男爵を引っ張って部屋を出ていった
部屋はテヒョンとジョングクの二人だけになったので、テヒョンはだいぶ落ち着いてきたジョングクに訊いた
「そんなに、、僕の落馬はショックだったのか?」
「・・最初は、、テヒョン様が頭から落馬されたと思いました・・・」
言いながらまた涙を流す、、、ジョングクはあの時、最悪の状況を想像したのだ
テヒョンが慌てて止めて
「もう話さなくていい、、、すまなかった、ジョングク、、思い出させてしまって・・」
と言った
ジョングクは、涙をこらえようと必死だった。そして、しばらく黙ったままだったが、ずっと握っていたテヒョンの手の甲に静かに自分の唇をつけた
テヒョンの胸の中心に、炎の矢のような何かが刺さる
そしてジョングクは、そのまま視線をテヒョンの瞳に向ける
刺さったものが更にテヒョンの胸の奥を深く射抜いていく
ジョングクの瞳がまた赤黒く光った
唇からテヒョンの手の甲、腕を伝って熱い血液の流れに変わる
その血潮がテヒョンの体中を駆け巡る
ジョングクは唇を離して
「背中の痛みは多少薄れると思います」
と言った
ジョングクはおまじないをしたのだろうか?テヒョンは何も訊かず、何も話さなかった
そして、まだ握られたままの二人の手を自分の方へ引き寄せると、今度はテヒョンから、ジョングクの手の甲に唇をつけた
テヒョンは唇をつけたままジョングクを見つめた
ジョングクはテヒョンを見つめ返すと、ゆっくり近づいていって、もう一度テヒョンの手の甲に唇をつける・・・
その瞬間、二人は目を閉じた
お互いの握りしめた手を介して唇が重なった
不思議な時間だった。自分達の心臓の鼓動だけが時を刻む代わりになった
どちらからともなく、二人は離れたが何も話さなかった、というよりも言葉がなくても心の中で通じ合った
ただ、あろうことか、お互いに同じタイミングでお腹が鳴った
二人は笑い出した
笑ってもテヒョンの背中には響かなかった
ジョングクの言う通り、痛みが幾分和らいでいる感じだ
「お腹が空いたな」
「はい」
ちょうどその時、扉が開いてフランシス嬢の声がした
「お食事が参りましたよ」
「「待ってました」」
テヒョンとジョングクは、またタイミングよく二人で応えた
【テヒョンの部屋にて】
いい大人が、みんなの前で食べさせてもらっている状況が、なんとも気恥ずかしいテヒョンだったが、食べさせてくれているのがジョングクだったので、内心は嬉しかった
気心が知れた人からの優しさは、心に癒やしをくれる
それを感じられてテヒョンは幸せだった
「ジョングク、君も食べて」
「テヒョン様のお食事が、まだまだありますよ」
「僕は一緒に食べたいんだよ。みんな嬉しそうに食べているだろう?君も一緒に楽しまなければ意味がないよ」
「はい。分かりました、ありがとうございます」
ジョングクはそう応えて、ようやく自分の食事に手を付ける
「あー・・凄く美味しい!これはどちらの御宅の料理ですか?」
「テヒョン様のシェフの料理ですよ」
スミスが得意げに答えた
ジョングクはテヒョンに振り返り
「テヒョン様のシェフに1番に当たりましたよ!」
と、にこにこしながら言った
すると
「チョン伯爵、うちの料理も食べてみて下さい!」
ジョンソン男爵が自身のシェフの料理を推してきて、ジョングクもそれに乗る
「お、どれどれ」
子どものようにはしゃぎながら、食事を楽しむジョングクをテヒョンは慈しむように見ていた
テヒョンが落馬したことに、泣いてまで心配してくれるジョングクが、改めて愛おしいと思えた日だった
友人でもあり、弟のようでもあり、同士のような関係性もある
貴族の中でも王族であり、身分が高いテヒョンに対して、恩恵を賜ろうと野心を隠すことなく、近づいて来る人は沢山いるが、ジョングクのように慎み深い貴族は本当に初めてだった
落馬した後、ジョングクが自分を抱えて運んでくれていることは、ジョングクのあの体温と、付けているフレグランスで分かったし、途中、大きな叫び声を上げた事で本人だと確認出来た
不思議なことに、ジョングクの叫び声を聞いて安心した。多分それから気を失ったのだろう。
僕は、、ジョングクに恋をしている
多分、これは《恋》なのだろう
それは認めなくてはならないとテヒョンは思った
ジョングクの笑顔が、言葉の一つ一つが、泣き顔が、困った顔や驚いた顔が、みんなみんなテヒョンの琴線に触れた
そして
今まで感じたことがない、心の奥にしっかり根付いた、取り除く事なんか出来ない、とても大きな《想い》になっている
ジョングクといると心の居心地がいい
美味しそうに、また食欲旺盛に食事を楽しんでいるジョングクをテヒョンはベッドの中で見つめていた
ジョングクがテヒョンの視線に気付いて振り向いた
テヒョンは、こんな時ですら胸がときめいてしまう
「すみません、あまりにもみんな美味しくて私ばかり食べていました」
ジョングクが慌ててテヒョンの皿を取る
「いいんだ。どんどん食べて、食べて」
テヒョンが笑って応える
「いいえ、一緒に食べましょう。テヒョン様がそう仰ったのですから」
ジョングクがフォークに料理を乗せて、テヒョンの口元に運ぶ
「あ〜、これも美味しいじゃないか」
テヒョンがそう言うと、ジョングクがにっこりと笑って
「我が家のシェフの料理です」
と答えた
「おお!そうか。では是非ジョングクの屋敷に行って、コース料理を馳走にならねばな」
「是非いらして下さい。シェフもですが、家の者達はみんな喜びます」
それを聞いていたジョンソン男爵が
「チョン伯爵、私もご馳走に与りたいです」
と言ってきた
「おー!歓迎しますよ。ジョンソン男爵とは、ポロチームだけでなく、同じ近衛兵同士でもありますからね」
「ありがたき幸せ!」
ジョンソン男爵の、おどけたような言い方にみんな笑った
そこへ主催者としての仕事を終えた国王が、テヒョンの部屋に戻って来た
全員立ち上がったが
「ああ、そのままでよい。食事を続けられよ。私はテヒョンを見に戻ったのだ」
「わざわざありがとうございます、陛下」
そして、国王の後から『失礼致します』と言ってポロのチャリティー競技会の執行責任者も入って来た
「キム公爵、お加減はいかがでございますか」
執行責任者が不安げな面持ちで訊ねた
「だいぶ楽になりましたよ。ご心配おかけしましたね。こうして食事も出来ています」
「食欲があるのだな。大事なくてよかった」
国王が安心したように言った
執行責任者が事故の原因について話し始める
「今回のポロポニーを驚かせたものの正体は、マツテンだったそうで、獲物を追いかけてきて、競技場の牧草地に迷い込んで来たものと思われます。捕獲が出来ませんでしたので、確実な事ではございませんが」
「そうですか。いや、でも捕獲して処分されなくてよかった。彼らも生きるのに必死だったということですからね」
自分が落馬をしても、原因になったと思われる小動物の心配をするのは、テヒョンの優しさだ
「怪我をしてもそれが言えるとは、なんともお前らしいな」
国王が笑った
「いやしかし、いくらご無事だったとはいえ、キム公爵は王位継承を担う大事な方のお一人でいらっしゃいますから、わたくしは今もまだ震えが止まりません」
執行責任者はそう言って自分の体を擦った
「何にせよテヒョンの身体は動かせないのだろうから、宮廷の主治医も残ってもらうことにした。ゆっくり休んでから帰るのだぞ」
国王がそう言った後にジョングクが
「私もこちらに残り、テヒョン様のお側におります」
と申し出た
「うん、お前はテヒョンの側近だからな。そうするがよい。私は公務が残っているので、宮廷に戻らねばならぬ。今日はここで皆ともお別れだ」
部屋にいたテヒョン以外の者がみんな立ち上がり、国王に一礼をする
「おお!最後に、皆よいシェフを持っておるな、大変美味しく頂いた。相手チームにも大好評であったぞ!私は大変満足している。そしてフランシス嬢のお菓子は絶品であった!またいつでも持って参れ」
国王は最後、笑いながらもそれぞれを労った
「ありがたき幸せにございます」
みんなが国王にお礼を言った
「それではわたくしも失礼致します。キム公爵、どうぞお大事になさって下さいませ」
執行責任者もそう言って、深々と頭を下げると、国王の後を付いて部屋を出た
「ジョングク、残って大丈夫なのか?明日は任務だろう?」
テヒョンはジョングクが無理をして、残ろうとしているのではないか、と心配して訊いた
「大丈夫でございますよ。明日はまだ時間がございますので」
「そうか、、ならいいのだ。ありがとうジョングク」
「はい」
ジョングクはにっこり笑った
「そろそろ陛下も大絶賛だった、フランシス嬢のお菓子を頂こうかな」
テヒョンは、スミスが紅茶を煎れ始めたのを見て言った
「はい!是非召し上がって下さいませ」
フランシス嬢が張り切って言う
ジョングクがフランシス嬢の焼き菓子をお皿に取ると、一口取ってテヒョンに食べさせた
「うん!美味しい。お腹が満たされていても、入ってしまうな」
「そうですよね、キム公爵!私もこれが大好きなんです」
ジョンソン男爵が力強く同調する
「みんなすまない、私がこうでなければ、これだけ美味しい食事が、景色のいい外の空気の中で食べられたのに」
「いいえ、負傷されているキム公爵には申し訳ありませんが、十分に楽しませて頂いてますので、どうぞお気になさらずに」
フランシス嬢が本当に楽しそうに言った
「キム公爵と、このように家庭的な雰囲気で食事が出来るなんて、光栄でございますよ」
ジョンソン男爵も乗ってくる
ジョングクとスミスはにこにこしながら頷いた
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