Yoっち☆楽しくグテを綴る♡ -8ページ目

Yoっち☆楽しくグテを綴る♡

テテとグクの Me Myself写真集にインスピレーションを得て【群青と真紅】をブログ内で執筆中です️





前回の物語
物語の続きが始まります✨✨✨



【二人の群青と真紅】


 挙式後のバルコニーでのお披露目が終わり、アポロンの間から、玉座の間に移動をしたテヒョン達は、ここで記念撮影に臨んだ。
最初にテヒョンとジョングクの二人で撮影をし、次にベストマンのアンジェロとトーマスがそれぞれ、二人の隣に並んで撮影をした。
更に国王と一緒に撮影をすると、大公とセオドラ卿と撮った。
そして最後に、お互いの親族や友人達と並んで撮影は終わった。
 

 次に国賓や大臣、挙式に参列した招待客を招いての宮中昼餐会だ。レセプション等に利用される、宮殿の中でも最も大きく、格調高い大広間に宴席が用意された。
 皆のグラスにシャンパンが注がれると、ジョングクのベストマンを任されたアンジェロが、乾杯の音頭を取った。
「大公子殿下、ジョン、本当におめでとうございます。お二人の《相手を尊敬し、敬愛し、真摯に向き合われる》お姿を間近に見ていた者として、この日を無事に迎えられた事を我が事のように嬉しく思っています」

テヒョンとジョングクはじっとアンジェロを見つめていた。
「どうか末永くお幸せでいて下さい。それでは麗しき新郎達に!」
「「新郎達に!」」
アンジェロがグラスを上げると、続けて一斉に乾杯の声が上がった。
招待客達が祝の杯を上げる中、テヒョンとジョングクはアンジェロにグラスを向けて礼をした。


 食事の合間は、テヒョンもジョングクも国賓や大臣達と談笑が続き、予想していた通り、食事には一切手を付けることが出来なかった。なので当初から考えていた、困っている者達に早く提供させるということで、給仕に速やかに下げるよう指示を出した。
 祝宴の席はどこも和やかで、誰もが笑顔で食事を楽しんでいるようだった。
各国の国賓は、多少は外交を意識して来英していたのだろうが、テヒョン達と話をしている際には、社交辞令と感じるような言葉はなく、心から祝ってくれている気持ちが感じられた。


 祝宴のテーブルにデザートが運ばれる頃、侍従長がテヒョン達の席にやって来た。
「両殿下、そろそろお時間でございます。ご出発のお支度をなさって下さいませ」
「もうそのような時間か?」
テヒョンとジョングクが席を立つ。
「大公子、大公子公婿(こうはい)両殿下、ご退出でございます」
侍従長が二人の退出を告げると、談笑をしていた招待客達は拍手で二人を送った。

これから二人は《新婚旅行》に向かうのだ。
「私達はこれで失礼致しますが、皆様にはまだごゆっくりと、最後までご歓談下さいますように。
そして、本日は私とジョングクの記念すべき喜びの時を見守り、祝って下さってありがとうございます。私達からも皆様の末永い幸せを心からお祈り申し上げます」

また再び拍手が起こる。
ジョングクがテヒョンの隣で、右手を胸に当てて会釈をした。
 二人が大広間を出るとデイビスが控えて待っていた。その隣にはスミスとハンスもいた。
「テヒョン様とジョングク様の新婚旅行には、私も同行致します」
スミスは祝賀の席にいたのだが、早目に離席して着替えていた。すっかりキム公爵家の執事の顔に戻っていた。
「デイビスと共に、お二人の旅行中のお世話を致します」


「ジョングク様、、、」
ハンスが声を掛ける。
「ハンス、、、」
「私のお役目はここまででございます。キム公爵の・・・大公子殿下の伴侶として、どうかお幸せにお過ごしくださいませ」
ハンスの声が震えた。
「ハンス、、長い間私のそばにいてくれてありがとう、、感謝してもしきれないよ」
ジョングクはハンスを抱き締めた。
テヒョンとスミスとデイビスが、黙ったまま二人を見守った。

ハンスはそっとジョングクから身を引くと、テヒョンに笑顔でこう言った。
「ジョングク様を宜しくお願い申し上げます」
そして深々とお辞儀をした。
「うん。君達の大切な《家族》を生涯を掛けて大切にするよ」
ハンスは安堵したような笑顔になった。
「スミス様、デイビス殿、宜しくお願い致します」
今度は公爵家を守る側の二人にも頭を下げる。スミスはハンスに手を差し出すと固く握手をした。伯爵としてのジョングクを立派にサポートしてきた、ハンスの執事としての誇りに敬意を示したのだ。

「君がとても可愛がってもらっていたのが、本当によく分かるよ」
「はい。私にとってハンスは、父同様かけがえのない家族です」
「うちのスミスと同じだな。これからも、ちょくちょく会いに行ってやるといい」
「ありがとうございます。ご理解頂けて嬉しいです」
「当たり前だろう?夫の家族なら僕にとっても家族だよ・・・うわっ!」
ジョングクがテヒョンをギュッと抱き締めた。

「お二人共、じゃれ合っている場合ではございませんよ。急ぎませんと」
「違う!家族愛の話をしていたのだ」
テヒョンがムキになって反論したので、ハンスが笑った。
「もう存分に仲がよろしい所を見せて頂きました。それではこれで私はセオドラ様の所へ戻ります」
「父上を頼む」
「はい。両殿下、お気を付けていってらっしゃいませ」
ハンスは再度深々と頭を下げた。


 テヒョンとジョングクは、それぞれの部屋で着替えをした。
ジョングクは王室の一員になって、改めて王宮に自室を与えられた。チョン伯爵家として設けられていた部屋は、セオドラ卿の侯爵家の部屋に改められた。
 
 デイビスがテヒョンの着替えを手伝い、スミスがジョングクの着替えを手伝う。この時ジョングク専属の従僕が、スミスに付いて仕えた。
「ジョングク様、この者がこれからキム公爵家での、あなた様のお世話をさせて頂きます」
「殿下、初めてお目に掛かりますネルソン・ランバートと申します。今日からしっかりとお仕えさせて頂きます。今回のご旅行にも同行させて頂きます」

「うん。宜しく」
そう言って、ジョングクは手を出した。
王族である主人の立場から、握手を求められたことで一瞬驚く。しかし、すぐに応じて頭を下げた。
 ネルソンという従僕は、ネルソン子爵という貴族の長男で、代々王室に仕えている家柄の出身だった。ジョングクの婿入りが決まってから、国王からの推薦でずっとキム公爵家で研修を受けていた。
しかし、いくら自分が貴族の出だとしても、従僕に対して握手を求めるなど、絶対に有り得ないことだった。
 
その研修中ネルソンは、スミスからキム公爵家の人々は、身分の違いで人間性を測ることは絶対しないと聞かされていた。だから、しばしば王侯貴族のしきたりとは違う対応をされる事があるが、臆せず応えるようにとも併せて言われていた。
だけれどこんなに早く、遭遇するとは思ってもいなかった。ましてやキム公爵家に婿入りしたばかりのジョングクからだ。
ネルソンは、ジョングクも人間味が溢れる人柄であると感じた。
だからこそテヒョンとジョングクが、よくある政略的な結婚ではないことを悟った。


 国王専用の馬車寄せに、長距離用の馬車が停まっていて、テヒョンとジョングクを待っていた。
二人の荷物は数日前に既に滞在先へ送られており、出発日のこの日は新婚の二人と、お付の者だけが馬車で目的地に行くだけだった。
勿論、馬車の周りには近衛騎兵連隊がしっかり護衛する事になる。
 旅行用の衣装に着替えた二人が、馬車寄せにやってきた。
デイビスとネルソンが馬車の扉を開けて、二人の乗車を手伝った。

 テヒョンとジョングクが馬車に乗り込んだ後、スミスとデイビスとネルソンはすぐ後ろの馬車に乗った。全て支度が整った所で出発する。
「君と馬車で旅行をするのは、領地巡りの旅行以来だな」
「そうですね。あの時同行させて頂けてとても嬉しかったです」
「ふふ・・・僕は君を独り占め出来て幸せだった」
二人のくすぐったいような笑い声が、馬車の中を甘い雰囲気にする。

柔らかくもたれ掛かるテヒョンの肩をジョングクは優しく包んだ。そして、視線が絡み合うと自然に唇が重なった。
「今日は伴侶同士、僕達は家族として行けるのだな」
「そうですね、、、とても嬉しいです」
二人の馬車は、終始誰も入り込むことが出来ない、そんな空気に包まれていた。
二人が一つの家族になる事をずっと夢見て、願って来た事がようやく叶ったのだ。

「スミス様、お二人のお馬車に、従者が一人も同車しなくて宜しかったのでしょうか」
ネルソンが心配をして訊いてきた。
「お二人共新婚でいらっしゃる。気を利かせて差し上げたのだ」
「なるほど、そういうことでございましたか」

「・・・まぁ、もし同車していたとしても、乗らなければよかったと、必ず後悔するであろうがな」
スミスの言葉にデイビスが少し吹いて笑った。キョトンとするネルソンに、
「その内に《洗礼》を受けることになりますよ」
とデイビスが付け加えた。ネルソンは余計にわけが分からなくなった。
「あのお二人は、幾重の困難を乗り越えて結ばれた、尊い絆をお持ちなのだ。王侯貴族の中でも珍しい結びつきでいらっしゃる。そう心得ていれば宜しい」
「はい」

ネルソンは、スミスのその言葉には納得出来た。テヒョンとジョングクには、特別な何かを感じさせるものがある。
テヒョンの崇高さやジョングクの功績を知ってはいるが、それだけではない。誰が見ても心揺さぶられるのは、二人の人柄に他ならない。国民の熱狂ぶりを見れば分かる。



 王宮では、テヒョンとジョングクの結婚式に関わる行事が全て終わり、国王と大公とセオドラ卿が国王の私室でワインを飲んでいる。
「素晴らしい結婚式でしたね」
「はい。無事に終わり安堵しましたら、一気に疲れました。私も歳ですな」
「私も大公殿下と同じでございます」
「あの二人は本当に色々な事がありましたからね。二人並んだ晴れ姿を見た時は涙が出そうでした」
「陛下には沢山ご心労お掛け致しました。ありがとうございます」
「私からも御礼申し上げます」
大公とセオドラ卿が揃って頭を下げだ。

「いや、私にとっても特にテヒョンは弟と変わりませんし、ジョングクも親しい友人ですからね。公人としてより身内として進めて来たようなもの。いささか公私混同していないかと、苦言が出るのではないかと思っていましたよ」
「親の立場からしたら、誠に有難いことでございます」
「叔父上もセオドラ卿も、これで一安心ですね」

「既に成人になってはおりますが、結婚して独立をする事で、初めて親の手から離れるという感覚ですな」
「誠に大公殿下の仰る通り。私は更に何か空虚な感じも致します」
「なるほど・・・では、セオドラ卿にも何か公務を与えて、寂しさを紛らわしてあげなければ」
「おっと、陛下の前では、あまり余計な事は申し上げない方がよいですな」
三人は笑った。

「しかし今回の新婚旅行は、どうしても《あの場所》がよいと言うので聞き入れはしたが、公務の延長のようで、本当に良かったのか、、、」
国王はテヒョン達が、遠慮をしたのではないかと思っていた。
「よほど思い入れがあるのでしょう」
「そうですね、、、きっかけはあの場所だということらしいですから」
大公とセオドラ卿は、その選択がテヒョンとジョングクらしいと、二人を微笑ましく思った。

「今頃は最初の宿泊地に着いた頃だな」
国王達三人は夕暮れを迎え、仄かに着き始めた外の灯りを窓越しに見て、二人の旅路に思いを馳せた。
 朝から尊い二人の貴公子の婚礼で、とても賑やかだったロンドンの街も、日暮れと共に静かな時を迎えた。
 テヒョンとジョングクは目的地に着くまで、夜には途中で宿泊を重ねながら、ゆったりと旅を楽しんだ。


 そして_______
ようやく懐かしいあの場所に到着した。


 馬車を降りた二人は、所々、吹雪いて出来たと見られる雪化粧の建物に迎えられた。
「秋の日のエジンバラの離宮とは、また違った美しい景色ですね」
「そうだな、この地域の冬はとても厳しいから、なかなか訪れる事はないのだが、建物といい、庭園といい白銀の世界がとても素晴らしい」
二人の会話で舞い上がる呼気が、いかにも寒そうな真っ白さだった。

 テヒョンとジョングクが選んだ新婚旅行先は、二人の出会いの場所となった、あのエジンバラの離宮だった。

 真冬のエジンバラは、雪と氷でかなり厳しい寒さの中にあった。しかしその極寒の厳しさを忘れてしまう位、白く覆われた景色は幻想的でとても美しかった。
「さあさあお二人共、中へお入り下さい。そのような軽装では身体が冷えて、お風邪を召してしまいますよ」

スミスは、到着してからずっと景色を眺めているテヒョンとジョングクを促した。
「テヒョン、手を貸してみて」
ジョングクはさり気なく言って、中へ入りながらパッとテヒョンの手を取ると、自分の頬に当てた。
「すっかり冷たくなっていますね」

テヒョンは、不意に名前だけで呼ばれた事に胸が弾んだ。
ジョングクはその様子に気付いて、腰に手を回しながら、
「名前だけで呼ぶのは、これからはベッドの中だけではありませんよ」
と耳元で囁いた。
「・・・!!??」

寒さで紅くなっていたテヒョンの頬と耳が、更に紅くなったような気がした。
「この離宮に着いたら、あなたの夫として名前を呼ばせて頂こうと決めていました」
「うん・・・」
テヒョンは嬉しそうに、ジョングクの肩に頭を預けた。二人は寄り添いながら部屋に向かった。

 テヒョンの部屋は、何も変わらずあの時のままだった。
宮廷職員が扉を開けると、ふんわりとテヒョンの好きなサンダルウッドの香りに迎えられた。テヒョン達の到着に合わせて、室内を担当している職員が焚いてくれていた。
「なんだか本当に懐かしいですね。調度品も香りもあの時のままです」
「模様替えはしないように頼んだのだ」

王族が離宮を訪ねてくる時には、公私どの来訪でも、それぞれの私室の模様替えを季節に合わせて行うのが恒例だった。
しかしテヒョンは思い出の為に、そのままにしておいて欲しいと申し入れをしていた。
 また本来であれば、結婚をした事で王室から二人の為に、新たに部屋を与えられる予定だった。しかしそれを辞退し、寝室だけを二人で使えるように、改装依頼をしただけだったのだ。


 しばらくすると夕食の時間になり、やはりあの時と同じように、部屋のサロンに食事が運ばれてきた。
「初めてここで一緒に食事をした時、陛下主催の会食と同じコースメニューだったな。何を食べたか覚えているか?」
「いいえ。あの時はもう色々舞い上がっていて、何を食べたのかなど覚えていませんよ」
「そうか?そのようには見えなかったけどな」
「舞い上がりながらも、お話がとても楽しかったのは覚えています」
「僕も凄く楽しかった。それに二人ともよく食べたよな」
「本当に・・・」

思い出話に花が咲く。そして懐かしいエピソードが、あの日のように食を進ませた。
 デザートに差し掛かった頃、ノックがしてデイビスが応対する。
「両殿下、料理長がご挨拶に参りました」
「失礼致します」
「あ、あなたはプチ・パレスにいた時の!」
「はい。覚えていて下さいましたか」
「勿論ですよ!」
挨拶に来た料理長は、テヒョンが落馬をして、プチ・パレスで療養中に食事を担当してくれたシェフであった。

「両殿下が新婚旅行でエジンバラにいらっしゃると伺いまして、真っ先にご滞在中の厨房を任せて頂けるよう、宮廷に願い出ました」
「そうですか。あの時の約束を果たしたかったのですが、公務ではないので、私から依頼するわけにもいかなかったのですが、料理長自ら申し出て下さったのですね。ありがとう」

「テヒョン様、宮廷職員含め、今回この離宮でのクルーは皆、あのプチ・パレスで、療養中のあなた様のお世話をしておりました者達でございます」
スミスが新しい紅茶を出しながら言った。
「スミス様が仰る通り、皆再び、それも新婚旅行中のお世話をさせて頂ける事、とても喜んでおります」

「私達もとても嬉しいよ。料理長から皆に宜しくと伝えて下さい」
「はい。かしこまりました。
両殿下、改めましてご結婚誠におめでとうございます。今夜の料理も全て召し上がって下さり、とても料理人冥利に尽きます。ご滞在中なんなりとご要望を仰せ付け下さい」
「ありがとう。楽しみにしていますよ」

料理長はよほど嬉しかったらしく、にこやかにお辞儀をすると部屋を後にした。
 テヒョンとジョングクは、お互いに幸せな充実感を味わっていた。
ロンドンを出発してから、途中の駅や泊まった宿泊先で、居合わせた国民達からお祝いの言葉を沢山掛けられた。
エジンバラに到着してからも、土地の人々から大歓迎を受けたのだ。

「僕達の幸せを皆で祝ってくれることが、感動を覚えるほど嬉しいなんて・・・」
「自分の事のように喜んでくれているのが、ひしひしと伝わってきます。有難いことですね」
「お二人の幸せが、国民皆の幸せなのでございますよ。さぁ!只今デイビスとネルソンが入浴の支度をしております。もうじきお迎えに参りますでしょう」

 スミスは、食器類を下げるためにやってきた職員達を部屋へ入れた。
次々とテーブルの上が片付けられて行く中、デイビスとネルソンも部屋に入ってきた。
「ご入浴の支度が整いました」
「では行こうか、ジョングク」

 テヒョンにはデイビス、ジョングクにはネルソンが付いて浴室まで移動する。
その間、スミスは宮廷職員達に、二人の寝室を温めて、準備を整えるよう指示を出した。
真冬の離宮はかなり冷える。入浴後は尚更湯冷めしやすい為、部屋の温めだけではなく、ベッドの中にベッドウォーマーを入れて、アイロンのようにシーツの上を滑らせて温めたり、湯たんぽを幾つか置いたりした。


 入浴後、二人はそれぞれのドレッサールームでナイトウェアを着ると、その上に指定しで持参していた《二人の大切なガウン》を羽織った。
デイビスとネルソンは、各々仕えるテヒョンとジョングクの支度を始めた。
髪を念入りにとかし、肌もローズウォーターで整え、いつもの入浴後のお手入れに比べ、より大袈裟なくらい入念に手入れに専念した。

 全て恭しく進めているのは、結婚の儀式の最後である《初夜》を離宮の初日の夜に迎える為であった。
普段は形式張った儀式等を苦手としている二人だったが、今回の結婚に関わる儀式は厳粛に受け止めていた。
そして、テヒョンとジョングクは、二人が出会った思い出のこの地を聖地として捉えていた。



 宮殿内は灯りが淡暗く落とされ、静かだった。デイビスは燭台を持って廊下に出ると、テヒョンを先導する。
別の廊下ではネルソンがジョングクを先導した。
二人の部屋には先にテヒョンが入る。
部屋の中は既に灯りが落とされていた。
唯一の明かりは、居間のテーブルの上に置かれた、カンデラブラの蝋燭だけだった。

 デイビスは寝室の扉を開けて、テヒョンを中に通した。
「わたくしはここまでで失礼致します。どうぞよい夜を」
初夜のベッドルームには、新婚の二人以外は入室出来ないしきたりだ。
寝室の明かりも淡い灯りだけになっていた。
 ベッドは既にベッドカーテンが引いてあり、中が見えないようになっている。
テヒョンはベッドカーテンをめくり、中へ入った。

 中のベッドは、マットレスの下からぐるりと、紫色のシルクリボンが掛けられていて、羽毛の掛け布団と厚手の毛布ごと、中央で美しく結んで装飾がされていた。
テヒョンは、ベッドに腰を下ろしてジョングクを待った。
 しばらくすると部屋のドアが開いて、寝室に人が入ってくる気配がした。サラサラと衣擦れの音がベッドまで近付いてきて、テヒョンとは反対側のベッドカーテンが開いた。

座ったまま振り返ると、常夜灯の明かりにジョングクの引き締まった表情が見えた。テヒョンと目が合うと柔和な笑顔に変わる。
テヒョンが立ち上がり、二人はベッドを挟んで向かい合って立つ。
結ばれたリボンの端をそれぞれ掴むと、同時に引いて結び目を解いた。
掛け布団と毛布をめくり、テヒョンとジョングクはベッドに上がる。

ジョングクがテヒョンの顔を両手で包み、そっと唇を合わせた。それがスイッチになったかのように、テヒョンがジョングクのガウンを剥いだ。
「ダメダメ、私の挨拶がまだですよ」
「ん〜〜、ならなぜ口づけたの?」
テヒョンは制止されて拗ねるように言う。ジョングクはゆっくりと上目遣いで、
「・・・・我慢出来なくて」
と言った。
「こら、なんで君だけ許されるんだよ」
可笑しくなって二人で笑う。

ジョングクは真顔になると、テヒョンの両手を取って自分の胸に寄せた。そして丁寧に伝える。
「 Forever and  always 」
ハンサムな言い方に、テヒョンはときめきを覚える。
「うん、いついつまでもね」
テヒョンは甘えるように応えて、今度は自分からジョングクの唇を塞いだ。

二人が着ていたものは、次々に剥がされていく・・・。
肌と肌が密着して合わさると、共に身体の芯に情熱の火が灯された。二人は全身で愛を誓い、お互いを捧げようとしている。
テヒョンとジョングクは、大切なエジンバラの聖地で、名実ともにお互いの夫としての契りを結ぶ。

狂おしい程の愛しさと、抑えきれない激情が相まって、互いの身体へぶつけていく。
「テヒョン・・・テヒョン・・・」
魘されているみたいな声で求められて、テヒョンの身体が煽られる。ジョングクの腰にスラリと伸びた脚が絡みついた。
気だるさを帯びた心地よい波が、テヒョンの心髄を何度も去来する。そしてジョングクの下で、ついに甘美な声を漏らして堕ちていく___。

悦びの息づかいの中で、テヒョンの視界に天蓋の刺繍が見えた。
《アポロンとヒュアキントス》の神話を表すその刺繍は、群青のベルベットの生地に、金糸の太陽(アポロン)と、ルビーが真紅の糸で編み込まれ描かれている。

アポロンの光芒の先から滴り落ちる、ヒュアキントスの鮮血を表した、花びらのようなルビーの先には、沢山の紫色の百合が描かれ、豪華な天蓋を彩っている。
ベッドカーテンの隙間から、微かに入ってくる蝋燭の明かりだけで、まどろむテヒョンにもその素晴らしさはよく分かった。
ジョングクの命を救う為に、覚醒させた自らの血を捧血した時の事が脳裏に蘇った。

 テヒョンの顔の上に、ジョングクの顔が重なった。上気した彼の表情が艶を帯びてテヒョンを見下ろしていた。
「可愛い・・・あなたが本当に可愛くて仕方ありません」
ジョングクが潤んだ瞳でそう言った。
「君も、とても素敵だった・・・」
テヒョンは恍惚とした視線を向けて言った。そしてジョングクの髪を指で梳きながら、
「・・・もう一度・・・」
と求めた。



つづく__________



【本文注釈】

(※)カンデラブラ(Candelabra)
画像はお借りしました
特徴: 1本の支柱から枝のようにアーム(腕)が分かれ、3灯、5灯、7灯など複数の蝋燭を立てられる大型の燭台


たまたま映画館で見つけた、映画チラシ

「君と僕の5分」

テテとユンギの出身地
大邱が舞台ですって😋

2001年の韓国は、まだ J カルチャーがタブー視されていた頃
大邱は韓国でも最も保守的な地域だったらしいよ😅

それでも J カルチャーが好きな男子二人が
JPOPを介して友情以上の心を通わす物語✨✨


古家正亨さんが紹介この映画🎥の紹介をしてくれていますよ爆笑



公式はこちら



この映画、かなり当時の大邱を細かい所まで再現しているそうです

セリフも大邱の方言がバリバリ入っているらしいよ爆笑


挿入歌にglobe
DEPARTURES」と「FACES PLACES」が
流れます🎵

2001年ということは、テテが満6歳の年だね🤭

観に行ってみようかな〜って思っています




前回の物語
前回のサムネイル画像です

テヒョンとジョングクの結婚式が行われた
大聖堂の様子をイメージしました✨✨✨
ChatGPT コーデリア作画





物語の続きが始まります✨✨✨


【バルコニーへのお出まし】

 馬車は王宮前の大広場に差し掛かる。
ここにも既に沢山の人々が詰めかけていて、挙式後のテヒョンとジョングクを一目見ようと待っていた。
そこに近衛騎兵連隊の列が姿を見せると、人々は歓声を上げた。その後に、結婚式を挙げたばかりの、ロイヤルカップルを乗せた馬車が見えて一気に大歓声に変わる。
それに二人は手を振って応える。テヒョン達を乗せた馬車は、そのまま大広場を抜けて通り過ぎた。
それに続き、パレードの馬車が次々と続いた。
 
 馬車は王宮の門を潜り中へ進む。
宮殿までの道のりを一定の間隔で配置された近衛兵達が、敬礼をしながら見送った。
テヒョンとジョングクの馬車は、国王専用の馬車寄せに向かう。続く国王と大公の馬車もそこへ向かうが、他の馬車は宮殿正面の前に停められることになる。
 馬車寄せに着くと、先回りして到着していたハンスとデイビスが待っていた。
フットマンが馬車の扉を開ける。

「お疲れ様でございました」
「ハンス!父上の所でなくていいのか?」
ハンスに迎えられて、ジョングクは驚いた。
「セオドラ様にお許しを頂きました」
「そうだったのか」
ジョングクは嬉しそうに笑った。
 ジョングクが下車した後、デイビスがテヒョンの下車を手伝う為に、ロイヤルマントの裾を持ち上げた。
テヒョンが立ち上がると、ジョングクが手を出して支える。その手を借りてゆっくり馬車から降りた。

「「両殿下、ご結婚おめでとうございます!」」
ハンスとデイビスは二人で祝の言葉を述べるとお辞儀をした。
「ありがとう二人とも。今日は長丁場だからね、まだまだ頼むぞ」
「はい。心得ております」
「ハンスは心置きなく、ジョングクの世話をしてやってくれ」
「はい!存分にお仕え致します」
嬉しそうに応えるハンスに、テヒョンは笑いながら、こちらも嬉しそうなジョングクを見た。

 二人は待機していた侍従の先導で、宮殿の二階にあるアポロンの間に案内された。この部屋は宮殿の一番大きなバルコニーに接した部屋だ。
新しいロイヤルカップルを国民に改めてお披露目する為に、この部屋で待機をする。

 バルコニーが見える宮殿前に広がる広場には、沢山の人々が詰めかけていた。ここに入る事が出来たのは、前もって予約の申請をして許可がされた者だけになっている。
何か良くないことが起きた時、身元の確認が出来る者に限定したのだ。
 バルコニーの石造りの柵の上には、金色の縁取りやタッセルが着いた、豪華な赤いベルベットの布が掛けられていた。
格調高い演出に民衆は、期待が膨らんでいるようだった。
 
 テヒョン達が控えている、アポロンの間のバルコニー側のフレンチドアは、まだ閉まっていた。それでも民衆の歓声は聞こえる位の大きさだった。
「殿下、今のうちに水分をお摂り下さい」
デイビスがレモンウォーターが入ったグラスをトレーで差し出した。
「ああ、ありがとう。喉が渇いていたのだ」
ジョングクもハンスから同じ物を貰った。
二人はゴクゴクと飲み干した。

「今日ほど水が美味しいと思った事はないな」
「ええ、本当に」
美味しそうに水を飲む二人をその場に居た者が皆微笑ましく見ていた。
「こちらもお召し上がりになって下さい。これからご予定の祝賀会でも、お食事はままなりませんから」
給仕係が小さくカットされたサンドウィッチを持って来た。
「有難い。ジョングクも食べておいた方がいい」
「はい」

「その前に、こちらで御手を清められて下さいませ」
ハンスがトレーに乗せたベイスン(※)を持って、先にテヒョンの前に差し出した。
テヒョンは両手を出すと、デイビスがユーア(※2)で水を流した。それで手を洗うと、宮廷職員がタオルで両手の水気を拭う。
ジョングクも、同じようにして手を洗い清めた。

 テヒョンとジョングクは、ようやくサンドウィッチを食べる事が出来た。
二つ三つ摘んで食べていると、国王と大公がアポロンの間に到着した。
「お前達は食事中か?ああ、挨拶などよい。主役はなかなか食べられないからな」
国王はそう言って『よく食べておけよ』と目で合図すると、用意された紅茶を一口飲んだ。

「二人とも衣装を汚すなよ」
大公は紅茶を受け取りながら、新郎の二人が無心に食べている姿を見て言った。
「はい。気を付けます」
テヒョンが応えた。
ハンスとデイビスが、二人の為にティーカップを用意して紅茶を淹れた。するとジョングクが、間髪入れずにぱっとカップを取るとゴクゴクと飲み干した。
「ふぅ~息が詰まるかと思った」
と言いながら胸を叩いた。
「気を付けろよ」
テヒョンは笑って、ジョングクの背中を叩いてやった。

 その後、セオドラ卿にソレンティーノ伯爵とアンジェロの兄に、スミスや他の王族達がアポロンの間に続々と集まった。皆、用意された紅茶で一息つく。
 ソレンティーノ伯爵は、合間を見て長男のルチアーノをテヒョンに紹介した。
ルチアーノは、テヒョンが従弟に当たることを光栄だと示し、またジョングクを蘇らせた偉業に敬意を静かに示した。
テヒョンは軍師として活躍したルチアーノを賞賛した。更にアンジェロとは反対に、冷静沈着に見える事を言うと、ルチアーノはソレンティーノ伯爵と共に笑った。


 スミスは今回は伯爵として、正式に招待されていたのだが、アポロンの間に入ってすぐ、執事の顔になり、テヒョンの身の回りの世話を気に掛けた。しかし、デイビスがきちんと職務を果たしている事を見て安堵する。
それに気付いた大公が、
「相変わらず仕事の鬼だな。今日は招待客だぞ」
と言って笑う。

「いや、、、これは、気付いておいででございましたか」
スミスが恥ずかしそうに言った。
「当然だ。私達は長い付き合いではないか。それに、テヒョンが結婚登録簿に署名をする時も、ついつい手を貸していただろう」
「あ・・・」
スミスは、言われて気付いたようだった。

「デイビスは、いつものことで気にはしていなかっただろうが、教会の者が招待を受けている《参列者》であるスミスが、新郎の世話に手を出したので戸惑っておったぞ」
「無意識でございました」
大公は、何ともいえない表情のスミスの肩に手を置いて、
「今日は執事ではなく、育ての親としてテヒョンの晴れ姿を見てやればよい」
と言うと、スミスは嬉しそうな顔をした。


 テヒョンもジョングクも一息ついた頃、アンジェロとトーマスがそれぞれのパートナーを伴って二人の元にやってきた。
「テヒョン様もジョングク様も、ご結婚おめでとうございます。とても厳粛で美しいお式でした」
フランシスが、カーテシーをしながら祝いの言葉を述べた。
「ありがとう」

「ようやく名実ともに、お二人は結ばれたのですね」
フランシスは感極待って涙目になる。
「フランシスの支えにはとても感謝しているよ。本当にありがとう」
テヒョンは彼女の肩に手を置くと、優しく擦って感謝を伝えた。
「今日アンディはどうしているの?」
フランシスは涙を拭いながら、
「お家でお留守番ですわ。アンディの小さなお友達が遊びに来てくれておりますの」
と答えた。

「そうか、アンディにはもう友達がいるのだな。なら一緒で嬉しいだろうな」
フランシスが笑顔で頷いた。
 挨拶を終えてフランシスが一歩横に移ると、アンジェロがいて、その後ろには、ブロンドの髪の美しい女性が静かに控えていた。
「テヒョン様、私の婚約者のフィオリーナ・マリア・ディ・バルベリーニでございます。
本日は私の婚約者としてのご招待、ありがとうございます」
フィオリーナというその女性は、青い大きな瞳で笑顔を見せると、カーテシーで挨拶をした。
「大公子殿下には初めてお目に掛かります。フィオリーナと申します。本日はご結婚おめでとうございます」

「初めまして。あなたがアンジェの大切な方ですね。よくいらしてくれました」
テヒョンが彼女の手を取って挨拶を返す。
「アンジェ兄さんが、私のベストマンをしてくれていた間、心細くはなかった?」
ジョングクは、既に顔合わせをしていたので、気さくに声を掛けた。
「いいえ、ソレンティーノ伯爵もアンジェロのお兄様もいて下さいましたし、何よりフランシス様がお声を掛けて下さったので、安心でございました」
「そうか、フランシスありがとう」
「いいえ、私もトーマスの代わりに、フィオリーナ様がお話の相手になって下さって楽しかったですわ」

フランシスとフィオリーナは、すぐに打ち解けたようで、仲良く顔を見合って笑っていた。
「ジョンソン夫人、ありがとう」
アンジェロは、彼女が不慣れな海外での儀式だっただけに、フランシスがいてくれて有難いと思った。フランシスは返事の代わりに、
「お二人共、とてもお似合いですね」
と言ったので、トーマスも乗って言う。
「中佐は、フィオリーナ嬢の前ではとても紳士的なのですね」
「お、これは聞き捨てならん。俺はいつも紳士的だろう?」
フィオリーナが吹き出した。

「君が笑ったらだめだろう」
アンジェロは、彼女をやんわり窘めたのだが顔がにやけていた。
「アンジェは、フィオリーナ嬢の前では、牙を抜かれたライオンのよう・・・が、一番表現として合っているのではないか?トーマス」
テヒョンの一言でその場がワッと盛り上がった。アンジェロが顔を赤くして照れ笑いをすると首を振った。
「想い人がアンジェの弱みか」
テヒョンが更にからかう。

「いやしかし、殿下もジョンも良いお式でしたね」
アンジェロがこれ以上冷やかされないよう、式の話に変えた。
「テヒョン様の威厳に満ちた美しさ、大佐の凛々しいお姿に感動がひとしおでした」
アンジェロとトーマスから嬉しい言葉を貰い、二人は寄り添って柔らかい表情になる。
「相変わらず、人前でも仲睦まじいカップルだ」
アンジェロが言うと、皆が頷いた。

「わたくしは、このように心震わせて下さるロイヤルカップルは初めてでございます」
フィオリーナの言葉に、
「そうなの。テヒョン様とジョングク様は、堂々と仲のよろしいお姿を見せて下さいますのよ」
と、フランシスが輪を掛けて宣伝する。
「パレードの最中でもこの二人は、あの大観衆に見せつけて沸かせておったわ」
国王が、ヒョイとアンジェロとトーマスの間に顔を覗かせて言ったので、二人は驚いて振り返った。

フランシスとフィオリーナは、慌ててカーテシーで国王にお辞儀をした。
「挨拶などよいよい」
「陛下!私達は見せつけてなどおりませんよ」
「あの公衆の面前で、ぴったり顔をくっつけておきながら、何を言っておる」
ムキになるテヒョンに、国王は無表情で目を細めて言い返した。
アンジェロとフィオリーナの話から、一気にテヒョン達に矛先が変わった。


フィオリーナが、このやり取りを驚きの表情で見ていた。
「素敵な方々でしょう?」
フランシスが、目をパチクリさせている彼女の耳元で言う。
「なんて素敵な方々なのかしら」
「ついついこの国に長居してしまう理由が分かるだろう?」
アンジェロが感嘆する婚約者に言った。

大公が我慢出来ずに笑い出すと、周りの者達も釣られて笑った。
 厳格な規律に従って行動がなされる王族の中で、このテヒョンとジョングクが一緒だと、なんとも微笑ましく《癒し》になる事を王族の誰もが感じていた。
本来であれば、宮内庁官府の宮内庁官の厳しい目が光る所なのだが、ジョングクの功績等があり、かなり大公子カップルは優遇されていた。

「ジョングク、これからはお互いの振る舞いには気を付けないとな」
そう言われたジョングクは、テヒョンの手を取ると言った。
「私には無理でございます」
「!なっ・・」
きっぱり否定したのだ。
「テヒョン、お前もそう言った所で無理であろう?」
「父上!」
テヒョンは父の顔を見て、もう一度ジョングクに視線を移すと、じっと慈しみを込めた視線で夫から見られていることに、ほろっと表情をほころばせた。

「ほらみろ!既に絆されているではないか」
テヒョンは観念して反論はしなかった。
ジョングクの愛しい眼差しに、もう何度も心奪われてしまうのは本当の事だ。
テヒョンとジョングクの取り繕うことのない、愛に満ち溢れる視線の交わし方に、そこに居た誰もが《眼福》だと感じていた。



「皆様方に申し上げます」
侍従長が案内を触れた。
「只今から皆様方にはバルコニーへお出で頂きます。大公子殿下ご親族様とバーランド公爵(ジョングク)のご親族様からお願い致します。国王陛下と大公殿下が続いてお出まし頂きましたら、最後に新郎方のお出ましでございます」
ハンスとデイビスが、急いでテヒョンとジョングクの身繕いを整える。

 フレンチドアが開け放たれると、集まっている民衆の歓声が、大きくアポロンの間に響き渡る。
外では近衛騎兵連隊がバルコニーの下に就き、バルコニーにも近衛兵が護衛の為に並ぶ。
王族やジョングクの親族が、バルコニーに出ると歓声が上がった。国王と大公が続いて出て行くと更に歓声は上がる。
「さあ両殿下、国民がお待ちかねでございます」

侍従長に促されると、ジョングクが右腕を差し出した。テヒョンは、ジョングクをじっと見つめると左手をその腕に預けた。
二人は頷くとバルコニーへ出て行く。
誕生したばかりのロイヤルカップルが、姿を表すと大歓声に包まれた。
テヒョンとジョングクは、その歓声に応えて二人でにこやかに手を振った。
すると歓声は大きなうねりになって、『大公子殿下万歳!!ジョングク殿下万歳!!』という歓呼に変わった。

初めてバルコニーに並び立った、アンジェロやトーマス、フランシスとフィオリーナは、テヒョンとジョングクに対する、群衆の熱烈な歓迎ぶりに圧倒された。
テヒョンとジョングクへの、その圧倒的な愛と支持の前で、臆することなくまた傲慢さもなく、ただにこやかに手を振って応える姿が驚異だった。


つづく________


【本文注釈】
(※)ベイスン (Basin): 水を受けるための幅広で浅いボウル
(※2)ユーア (Ewer): 水(または香り付きのぬるま湯)を入れるための、取っ手と注ぎ口がついた水差し。
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