群青と真紅 62【領地巡りの旅行⑥】 | Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

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現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

テテの FRI(END)S 祭りで盛り上がってますね爆笑🎉🎉🎉🎉
可愛すぎる、カッコ良すぎる、妖艶すぎる✨✨✨✨テテに対しては称賛する形容詞が足りなさ過ぎて困るわ😫💦💦


さて
お待たせいたしました☺️
【群青と真紅】62でございます
テヒョン達の旅行もいよいよ終盤ですよ😄


前回の物語

物語の続きが始まります✨✨✨


【バースの温泉郷】


領地を巡る旅行も最終週を迎えた。
テヒョン達は最後の訪問地であるオールローズで盛大な歓迎を受ける。
そんな中、テヒョンとジョングクは酪農場で牛の乳搾りやチーズ作りを体験したり、放牧場では放牧した牛達を馬で追う体験をした。どれもが全て新鮮な経験だった。
農場で働く者達は、物怖じすることなくむしろ自ら進んで何でもやろうとするテヒョンに驚いた。
また、見目麗しく近寄りがたい神々しさとは違い、領民達と同じ様に屈託なく笑い、親しく近付いてきてくれる事に感激した。
テヒョンにとっては怪我への見舞いのお礼を直接する事と同時に、今回訪問した各々の領地の運営状態が、皆健全できちんと機能している事を確認出来たのが良かった。人々の健康状態も留意するべく問題が無かったので安心した。


いよいよ最後のオールローズから出発する日が来た。
スミスの指示の元、馬車に荷物が積み込まれていく。
最後の荷物を積み終え、馬車の整備などが整うとスミスはテヒョン達が待機する部屋までやってきた。
「ご準備が整いました。いつでもご出発頂けます。」
「分かった。よし、では行こうか。」
「はい。」
椅子から立ち上がると、ジョングクはテヒョンに上着を着せる。
「ありがとう。」
振り返って礼を言った。

テヒョン達が外に出てくると、沢山の領民達が見送りに集まって来ていた。
「お帰りになってしまわれるのがお名残惜しゅうございます。」
「世話になったな。また遊びに来よう。」
「是非に。お待ち申し上げております。」
テヒョンは代表の関係者達と握手を交わすと馬車に乗る前に振り返り、集まって来てくれた者達に手を振った。
『公爵様!』『殿下!』と一斉に声が上がった。

帰って行ってしまう領主であるテヒョンの姿を一目見ようと、領民達が左右に揺れて馬車に視線を向けている。
その様子を見ながら乗り込むと、シートに座るやいなや窓を開けて手を振った。
すると更に歓声が上がった。
馬車が走り出すと後を追って歓声が続いた。テヒョンはその様子が見えなくなるまで窓に張り付いていた。


馬車はロンドンに戻る前にバースに向かう。バースは古くから温泉が有名で、歴代の国王や王族、貴族達も訪れている観光地だ。
テヒョンの意向で温泉地でゆっくりしてから戻ることになっていた。
最後に訪れたオールローズからも近い場所にあったので短時間での移動で済んだ。
「温泉は本当に久しぶりです。」
「僕もだ。まだ10代の頃にスミスの家族と一緒に行ったのが最後だな。」
「ああ、そうでございましたね。懐かしゅうございます。」

テヒョンもジョングクも家督を継いでから、休みはあってもなかなかゆっくり旅行も出来ていなかった。
特にジョングクは最近ことに軍務が忙しく、気が休まることも少なかったはずだ。
テヒョンが領地巡りの最後にバース行きを入れていたのは、多忙なジョングクの為でもあったのだ。テヒョンはジョングクの肩に手を置くと、
「君は日頃大変な任務に就いている上に、旅行中も僕をサポートしてくれたのだからゆっくり疲れを癒やすといい。」
と労った。
「お気遣いありがとうございます。」
応えながら肩に乗せられた手を包み握り返した。
スミスは二人の雰囲気を察し馬車の窓に視線を向けて見ていないふりをした。


テヒョン達を乗せた馬車はバースの街に入る。古くから栄えてきた街並みは、人の往来が多く活気があった。
しばらく走ると宿泊するホテルに到着した。そのホテルは王室御用達となっている施設で、テヒョン達が滞在中は貸し切りとなった。
「お久しぶりでございます。大公子殿下。」
「うん。しばらく世話になるよ。」
「はい。精一杯お世話をさせて頂きますので、何なりとお申し付け下さいませ。」
「ありがとう、宜しくな。」
ホテルの支配人自らテヒョンを部屋まで案内する。
「いらっしゃいませ、大公子殿下。」
廊下の両側にホテルのスタッフ達が皆揃って並びテヒョン達を迎えた。

滞在する部屋として、テヒョンは貴賓室に案内され、ジョングクとスミスはそれぞれスイートルームに通された。
荷物がそれぞれの部屋に運ばれると、ジョングクとスミスはテヒョンの部屋に集まった。
「ジョングクもスミスもありがとう。残りの日程は思う存分ゆっくりしてくれ。」
「それはテヒョン様も同じでございますよ。」
スミスが紅茶を淹れたカップをテヒョンの前に置きながら言った。
「本当に。素敵な旅行にお誘い下さり感謝致しております。」
ジョングクはそう言って、オールローズから持ってきたミートパイを皿に並べてテーブルに置いた。
このパイはオールローズで育った牛の肉で作られたミートパイだ。領地の菓子職人が是非にと持たせてくれたものだった。冷めていたので到着して直ぐにホテルの厨房で温め直され、紅茶と一緒に届けられた。

テヒョンがミートパイを一口食べる。
「う〜ん・・うちの農産物は名実ともに一流なのは間違いないな。故に職人も一流ということだ。」
テヒョンが満足気に本当に美味しそうに食べるのでジョングクとスミスは見入ってしまう。テヒョンは二人の視線に気付いた。
「どうした?二人共食べないのか?貰ってしまうぞ。」
テヒョンの言葉に二人は慌ててミートパイに手を伸ばした。
三人は黙ったままミートパイと紅茶を堪能した。テヒョンは噛みしめながら見送ってくれた者達の表情を思い出していた。
領地を守る領主の立場として自身の方針に乱れがあれば、その影響があの者達の生活に直結してしまうのだと、改めて気が引き締まる思いがした。ニールの件についても同じ思いだった。やはり領地を巡って例え一部だけであっても、領民達の生活に触れ、彼等と目を合わせて語れた事は本当に良かったと思った。


部屋でしばらく休息を取った後、テヒョン達三人はホテルに隣接する大浴場施設に向かった。更衣室で入浴用の衣服に着替える。入浴とはいえ公衆の場で他人に肌を見せる事は禁じられていた。特にテヒョンは王族である為、自身の宮殿内であっても入浴用のリネンを身に着けて入浴をしている位だ。
ここでも三人は上下リネン素材の衣服を身に着けて浴室に入った。
大浴場の床は黒御影石で出来ていて、浴槽はピンクの大理石が使われていた。
ジョングクとスミスはテヒョンが浴槽に入るのを見守った。

「二人共一緒に入って。」
離れた場所から入ろうと、移動しようとしたジョングクとスミスをテヒョンが呼び止めた。
「ご一緒しても宜しいのでしょうか、、、」
ジョングクが恐る恐る訊いた。
「最初に三人だけでいる時は、なるべく上下関係の仕来たりは無しで、と言っただろう?
「ですがここは公衆の場でございますよ。入浴自体もご一緒など恐れ多くて・・・」
ジョングクは半分本心、半分照れ隠しで応える。
「公衆の場でも貸し切りで、今は我々だけだ。」
テヒョンはジョングクの手首を掴んで引っ張った。
「あ!テヒョン様!」
そのまま浴槽に引き込まれてしまった。
スミスが一部始終を見ていて笑う。
「笑ってないでスミスも。」
「はい、大丈夫でございます。」
スミスはテヒョンに捕まる前に自ら浴槽に入った。

テヒョンを真ん中にして三人は並んで寝湯の形で温泉に浸かった。
しばらくすると施設の係の者が、蜜蝋にフランキンセンスとラベンダーの精油を含ませたキャンドルを持ってやってきた。炎が点いたキャンドルは、テヒョン達が入浴を楽しんでいる浴槽の近くに、少し間を空けて3箇所に置かれた。
香りが徐々に広がってくると、穏やかに脳内がほぐされていく。
テヒョンとジョングクは湯船の中でお互いの手が触れると、そのまま絡ませて繋いだ。香りとスキンシップの両方で身も心もリラックスして満たされていく。

三人とも一様に温泉浴を満喫して湯船から上がった。すかさずジョングクがテヒョンにミネラルウォーターを持ってきて渡す。『ありがとう。』と受け取る顔は、うっすら汗ばんで頬がピンク色に火照っていた。いつもより妖艶な表情に引き込まれそうになる。
「あ、、、少しお待ち下さい。」
動揺を隠すようにその場を離れてタオルを取りに行った。
スミスはそんなジョングクの後を追った。

「ジョングク様、後はテヒョン様をお任せしても宜しいでしょうか?」
「え?はい、いいですよ。」
「ではお先にホテルに戻らせて頂きます。テヒョン様を宜しくお願い致します。」
スミスは含みを込めた笑みでジョングクにテヒョンを託した。
「ではテヒョン様、私は先に部屋へ戻らせて頂きます。夕食までジョングク様とごゆっくりなさって下さいませ。」
「うん。また後でな。」
スミスはお辞儀をして浴室から出て行った。

スミスはなるべくテヒョンとジョングクが二人で居られる時間を持てるよう、旅行中はずっと可能な限り席を外すようにしていた。
二人が特別な絆を繋いでいる事は分かっているし、それが運命に導かれているからである事も感じていた。
それに二人の関係は今までの概念を超える価値観で生まれ、誰もが介入出来ない尊い結びつきがあるとスミスは思っていた。
お互いが生まれながらに背負う《宿命》に今後翻弄されることになっても、しっかり見守って行きたいと考えているのだ。


「テヒョン様、これを、、、」
ジョングクはタオルを肩から掛けてやった。
「うん、、ありがとう。」
礼を言い終えないうちに腰に両腕を巻き付けて『座って、、、』と目で訴える。
ジョングクは隣の椅子に座った。
テヒョンは近づいた肩に頭を乗せると、
「二人きりだ、、、」
と囁いた。その声を聞いたジョングクが肩を抱く。
更にテヒョンの膝の後ろに腕を通すと、横抱きをしてヒョイと自分の上に乗せた。
「ちょっと、、ジョングク、、」
テヒョンが躊躇した声を出す。
「誰もおりませんよ。」
その言葉に目を合わせ、瞳で会話をするように見つめ合う。
「この時間が長く続けばいいのにな、、、」
テヒョンはジョングクの入浴着の襟の紐を弄びながら言った。

そんなテヒョンの額にキスをする。
「今だけ、、一緒に居られる今だけを感じて下さいテヒョン様、、」
残り少ない旅行の日々を惜しむ気持ちは、テヒョンもジョングクも同じ思いだった。だけど寂しがる顔を見ると、きっと離れたくない気持ちだけが最後まで残るだろう。それではせっかく一緒に居る時間が切ないものになってしまう。
二人で時間を共有出来る幸せを一緒に感じたい。ジョングクはそう思っていた。
「うん、そうだね。君と過ごす幸せな時間だ。」
テヒョンは抱かれていた脚の上から降りると手を取って湯船に誘った。
二人はその後、空腹に呼び戻されるまで存分に入浴を楽しんだ。


【長旅を終えて】

バースの街はテヒョンとジョングク二人のお忍びを尊重してくれているかのようだった。街中を散策したり店を見て回っても誰も過剰な接触はしてこない。
容姿がかなり目を引く二人だが、普段から近寄る事が出来る身分が限られているので、二人の事が分からない可能性もある。
それに街全体が多種多様なお客の往来に慣れているせいもあっただろう。

おかげでバースのどこに居ても、二人の周囲は静かだった。
最後の最後まで可能な限り肩を寄せ合い、指を絡ませて手を繋ぎ、お互いの話の中で世界観を共有し合った。
「こういうのが真の幸せというのだな・・」
「私と一緒にいて幸せを感じて下さっているのですか?」
「勿論だ。君はどうなの?」
テヒョンの問いに、繋いでいる手を強く握りしめて、
「勿論、この上ない幸せを感じております。」
と答えた。テヒョンも手を強く握り返すとその腕に寄り掛かかった。
腕に掛かる重みに愛情と全幅の信頼を感じて、ジョングクは深い歓びに心震えた。


出会ってしばらくの頃は、心を開いて天真爛漫に接してくるテヒョンに、どんどん惹かれて想いが大きくなってしまう事が怖かった。
でももう今では《一番大切な人》が、この手から離れていってしまう事の方が命を削られるくらい恐ろしく思えた。
ジョングクは自分というものがすっかり変わった事を実感した。テヒョンの為ならば何でも出来る気がした。
「君って、時々心がどこかに行ってしまうようだな。」
ホテルの部屋のソファで二人はくつろいでいる。隣で物思いにふけるジョングクをからかうように訊ねた。
「いいえ、あなた様のここに入り込んでおりました。お感じになりませんでしたか?」
ジョングクがテヒョンの胸の真ん中に触れた。意表を突く答えに思わずクスッとして、
「君が無断で侵入して来てからはずっと僕の中に居るみたいだぞ。」
と胸にあるジョングクの手に手を重ねる。
「あなた様の方がずっと前から無断で侵入してきておりますよ。」
テヒョンの手を取ると自分の胸に当てた。ジョングクの鼓動が手の平いっぱいに跳ね返ってくる。
「ずいぶん暴れているな・・・」
「あなた様が沢山暴れ回っております。もう、私にはどうすることも出来ません。」
ジョングクが神妙な表情に変わったのでテヒョンの胸が飛び跳ねた。

お互いの体温を感じ、呼吸する息遣いを聞いて、優しい声が心に響く。
これ以上近付けない程そばにいるのに、それでもまだ近付きたいと思うもどかしさは何なのだろう。
視線を向ければ慈しみがこもった笑みを返してくれる。手に触れれば包み込むように握ってくれた。体を寄せたらこぼれないように抱き締めてくれる。
テヒョンもジョングクもお互いは一心同体なのだと感じ、二人の理解が深まれば深まるほど悩ましく更に想いが溢れるばかりだった。
今回の旅行で心のより深い所まで近付いたと感じた。



いよいよロンドンへ帰る日となった。
馬車は東南に向けて走り出す。バースからロンドンまでの距離は155km、約1日掛けての帰路となる。
夜には馬車の中で眠った。そして途中の駅で休憩を取り馬変えをする。
最後の駅ではテヒョンの宮殿へ向かう馬車とジョングクの伯爵邸に向かう馬車と分かれてそれぞれ帰る事になっていた。
馬車が駅に到着すると、ジョングクが乗り換える馬車が待っていた。
テヒョンとジョングクとスミスは馬車の中で食事を摂り休憩を取った。その間にジョングクの荷物が待っていた馬車の方へ積み替えられていく。

「もうじきここでお別れだな。軍務にはいつ戻るのだ?」
「明後日には復帰致します。」
「そうか、、、」
テヒョンの声は名残惜しそうに小さかった。そのままふっと馬車の窓の外へ視線を向ける。しかしすぐに話題を変えた。
「ニールの計画書がどうなったのか、戻ってからの僕の仕事はそれが最初だな。」
テヒョンの表情がいつの間にか仕事モードに変わっている。
「そうでございましたね。」
ジョングクは気持ちの切り替えの速さに感心したのと同時に少し寂しさも感じた。

そばで聞いていたスミスが書類を取り出して話に加わった。
「テヒョン様、ゲインズからの最終報告書によりますと、ニールは既に計画書を書き上げて先に宮廷に提出したそうで、それと同時に謁見も申し出たそうでございます。それもテヒョン様がお帰りになる日に一番近い《敬剣の日》を希望したようですな。」
「また随分と人が多く集まる日を選んだものだな。国中の軍人や貴族達が集まるだろうに。」
「なんでもニール本人のたっての希望だったそうです。」
「何か企みがあるのでしょうか。」
ジョングクとスミスが顔を見合わせてテヒョンに訊いた。
テヒョンは少し考えていたが、
「・・・いや、悪巧みではなかろう。最終的な処罰が下るまではニールは容疑者扱いだ。私の指示で監視が付いておるから下手な事は出来まい。」
と、至って冷静だった。
続けてジョングクが訊いた。
「テヒョン様はどんな処罰をつけるおつもりですか?」
「ニールが提出した計画書を陛下がどう扱われるのか、、それ次第だな。」
テヒョンはそう言ってニヤリと笑った。

「ジョングク、君も証人だ。出られるよな?」
「その日は軍にも関わる敬剣の日ですので、元々宮廷に参内する予定になっております。」
「そうか。ならば最初から側近として隣にいてくれ。」
「はい。分かりました。」
「今年の敬剣の日はいつも以上に緊張致します。」
スミスが呟くように言った。
「ニールの件に関わる誰もが緊張を禁じ得ないであろうな。人一人の今後の人生に関わるのだから。」
他人事のように流して言っているような感じだったが、一番緊張しているのは罰を下すテヒョン本人だった。
ジョングクもスミスもテヒョンの重責をよく理解していた。
貴族として生まれ、また王族であり王位継承権を持つ身として、一般とは違う責任がついて回る。その一挙手一投足は国民や世界が常に見ているのだ。
「当日も晴れるといいな。」
テンションが馬車から降りて空を眺めた。

ジョングクの荷物が全て積み終わった。
いよいよ出発の頃合いだ。
「ではテヒョン様ここで失礼致します。」
「うん。道中気を付けてな。」
「宮殿までお見送り出来ずに申し訳ありません。」
「いや、気にするな。僕がそう手配を頼んだのだ。」
二人は握手をした。なかなか手を離すことが出来ずに、お互いに両手で包み込み別れを惜しんでいるようだった。
ようやくテヒョンから手を離した。そのタイミングでスミスが挨拶をする。
「ジョングク様、大変お疲れ様でございました。楽しい旅でございました。また敬剣の日に。」
「こちらこそ。公爵家のご領地に同行させて頂き、また楽しい旅をご一緒させて貰いました。」
「早く乗って。なかなか出発出来なくなる。」
テヒョンが馬車へ促す。

ジョングクが馬車に乗り込むと、テヒョンが自ら扉を閉めた。座席に座ってすぐ窓を開けて顔を出す。
「楽しい思い出をありがとうございました。テヒョン様もお気をつけて。」
両手で二人はまた手を繋ぐ。スミスが少し離れたのを見て、ジョングクはテヒョンの手にキスをした。そして二人は手を離した。
テヒョンが御者に合図をするとジョングクを乗せた馬車が動き出した。
テヒョンは馬車が見えなくなるまで見送った。ジョングクを見送って、楽しかった旅行が終わったと感じた。
「長かったようであっという間であったな。」
テヒョンが馬車が見えなくなった道の先を遠く眺めながらボソリと言った。
「さ、テヒョン様我々も参りましょう。」
スミスがテヒョンを馬車に乗せて、後に続いて乗ると扉が閉められた。
警護の馬が馬車の両脇に就くと、馬車はゆっくりと出発し最後の駅を後にした。


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