群青と真紅 58【領地巡りの旅行②】 | Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

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終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

大変お待たせ致しました🙏
【群青と真紅】58章でございます
最近更に読者の方が増えて嬉しい限りでございます✨✨✨

あらためまして♦️♦️♦️
この物語は、テテとグクそれぞれのMe Myself 写真集からの世界観をヒントに生まれたオリジナルストーリーです
19世紀のイギリスを舞台にしておりますが、史実には基づいておりません
登場人物含め全てファンタジーでございます。

実際のテテとグクには、貴重な閃きを授けてくれた事に、あらためて心から敬意を評したいと思います✨✨✨✨


前回の物語

物語の続きが始まります✨✨✨


【紡ぐ二人の《Bond》】

旅行初日の賑やかなディナーが終わり、テヒョンとジョングクとスミスは、食後にブランデーなどお酒を飲み交わし夜を楽しんでいた。
「大丈夫でございますか、ジョングク様、、、」
「ええ、大丈夫ですよ。近頃では兵士達と一緒に身体を鍛えているので軽いものです。」
ジョングクはそう言いながら眠っているテヒョンをヒョイと抱き上げた。
ディナーでも食後のお酒でも一番楽しく盛り上がっていたテヒョンが、酔ってそのまま眠ってしまった。
スミスが先に行ってテヒョンの寝室の扉を開ける。その後をジョングクがついていく。寝室に入りベッドまでテヒョンを運んでくると静かに寝かせた。
「ジョングク様、それでは後は宜しくお願い致します。」
スミスは頷きながら笑顔で言うと静かに寝室の扉を閉めた。
ジョングクは返事をする間もなく閉ざされた扉を見ていたが、視線をテヒョンに戻すとクラバットをほどいて外し、靴もソックスも脱がしてブランケットを掛けた。

ベッドカーテンを広げて眠っているテヒョンの周りを囲うと、暖炉の薪の様子を見に行った。燃えている薪が炭になりきっていたので、新しい薪を取って火に焚べた。火が点きやすいように丁寧に暖炉の中を整えていく。
「ジョングク・・・」
声がしたと思うと同時に、暖炉に集中していたジョングクの背中にテヒョンが抱きついてきた。
「テヒョン様!起きていらっしゃったのですか?」
「・・・いや、目が覚めたらベッドにいて君がいないから出てきた。・・・喉が乾いたな。」
「お水をご用意しておりますので、お持ちしましょう。」
「いや、ここが終わってからでいいよ。」
テヒョンはジョングクの首に巻き付いて、ぎゅっと抱きしめた。

「君っていつも温かいな・・・」
テヒョンの柔らかい唇が耳たぶに触れて気持ちと一緒にくすぐられた。
「お背中が寒くはございませんか?」
「ほら、これを見て。」
ジョングクは振り返りブランケットをまとっているテヒョンを見て頷いた。
「君ごと包んでいるからとても温かいよ。」
テヒョンの優しい声にふわりと癒やされていくのが分かる。
「僕は酔っているみたいだ・・・・」
「かなり飲んでいらっしゃいましたね。」
「違うよ・・・君にだよ。」
テヒョンはジョングクの頬に唇をつけた。ジョングクはふふっと笑って、
「最近はあなた様の方が歯の浮くようなことを仰られますよね。」
と照れ笑いしながら言うが嬉しそうだった。
「キザだろう?自分でも驚いてる。」
二人の笑い声が重なった。暖炉に焚べた薪が勢いよく炎を上げ始めて二人を温める。
体だけでなく気持ちまで温かいと二人は感じた。一緒にいると何もかもほぐされていくような感覚になる。

薪の支度が終わりジョングクは自分の首に巻き付いているテヒョンの腕に触れて、
「終わりましたよ。」
と声を掛けた。『うん』と言って立ち上がり離れようとしたが、くるりと向きを変えたジョングクにヒョイと持ち上げられてしまった。
「!・・おい、おい、自分で歩けるよ。」
「素足ではございませんか。」
「絨毯だから冷たくはないぞ。」
「それでも駄目ですよ。」
ジョングクは言い終わらない間にそのままベッドまで運んでいった。
テヒョンはジョングクの積極的な言動が嬉しかった。
ベッドに降ろされ二人で座る。
「君が身分の垣根を越えてきてくれる時が一番嬉しい・・」
恍惚とした視線を向けられてジョングクの鼓動が上がる。昂ぶる想いをぶつけるようにテヒョンを抱き締めるとそのまま静かに倒した。

仰向けであらわになった白く美しい首筋に唇を当てると、トクトクと命を送り込む脈を探す。ジョングクの動きにテヒョンは思わず小さい吐息を漏らした・・・。
そしてついに速まる脈をとらえた。テヒョンの血潮が迸る(ほとばしる)命の営みが、確かにそこにある事を確かめると、目の前に愛しい人が存在してくれる尊さに胸が熱くなった。思わず大きく口を開いてそこに甘噛をすると、ジョングクの背中を抱きしめているテヒョンの指先に力が入った。
脈をとらえている犬歯が切なく疼き始めた。あの崇高な《儀式》を望むもう一人の自分がテヒョンを欲している。
『よせ!それは駄目だ!』また、自分自身との戦いに悶絶した。
越えられない柵は今回もしっかりジョングクを拒んた。
それでもテヒョンへの想いは、なくならないどころか溢れんばかりだ。

「泣いているの・・・?」
小刻みに震えているのが伝わって、テヒョンが両手でジョングクの顔を掴み自分に向けさせた。
笑顔の両目からは雫が落ちてテヒョンの顔を濡らした。
「笑っているのになぜ泣くの?」
「幸せ過ぎて・・・」
テヒョンはジョングクの葛藤する気持ちは痛い程分かっていた。でも幸せ過ぎると言ってくれた事は真意だろう。
テヒョン自身も心が震えるほどの幸せを感じているのだから。
だけどこうして二人きりで愛情を示し合い、至福の時を過ごす度に何度《宿命》を突きつけられたことだろう。
その度に涙を流して慰め合ってきた。

でもテヒョンは悲観的ではなかった。いつの日か《宿命》を打開する時が来る事を信じていたからだ。だから今、二人の間に濃密な営みが持てなくても不安になったりはしない。クリスマス・イブの夜にジョングクが《待っていて欲しい》と言った言葉もある。
もしかすると日常を離れて旅行に出ているため、昂揚する気持ちが前向きにさせているのかもしれない。
しかし、一緒に過ごす度に絆は強く結ばれ愛情は溢れ出てくる。
二人は運命によって導かれた。それはもう間違いのない事実だった。

 君が僕を愛するように
僕は君を愛する
夕べにも そして朝にも
君と僕が お互いの苦しみを
分かち合わない日があるなど
1日たりともあり得ない
だからこそ その苦しみは
君と僕にとって容易く
耐えられるものとなる
君は僕の悲しみを慰めてくれて
僕は君の悲しみに涙を流すのだ
神様の祝福が君にありますように
君よ 僕の人生の喜びよ
神様が君を守って下さることを
さらに僕のために
君を支えて下さることを
僕達二人を守り 支えて下さる事を願う

以前一緒に歌ったヴェートーベンの歌が二人の脳裏で呼応した。
今また改めて歌の言葉の意味を噛み締める。

「テヒョン様、お水をどうぞ。」
ジョングクが水を持って来てくれた。
「ありがとう。」
「明日の朝はこの街の散策ですね。」
「君と知らない街を見て回れるのがとても楽しみだよ。」
テヒョンは半分だけ水を飲むとグラスをジョングクの口元に持っていく。
テヒョンの手ごとグラスを持って、残りの水をゴクゴクと飲み干した。
水一杯でも分かち合う喜びを二人は感じた。
旅行の初日、テヒョンとジョングクは二人だけの夜を慈しみ、そのまま一緒に深い眠りに落ちていった。


【領地訪問〜辛辣なお出迎え〜】

早朝、靄がかかる街の中をテヒョンとジョングクは散策を楽しんでいた。
そこここに遺る古い歴史の痕跡を発見しながら、二人で調べた資料を捲り照らし合わせたりする。
時折農業用の荷馬車が二人の横を通り過ぎた。荷台には沢山のミルクボトルが積み込まれていたり、敷き藁を沢山積み上げていてガタゴトと車輪を鳴らしながら運んで行く。
荷馬車を操る農夫が見慣れない二人とすれ違う時、帽子を上げて挨拶をした。
テヒョンとジョングクも『おはよう。』と言って応えた。
「どれも絵になる光景だな。」
あちらこちらで朝の準備が始まっていた。そんな活気がある雰囲気がテヒョンは好きだった。
特に火が燃やされ湯が湧き、蒸気がモウモウと吹き上がる様は命の息吹のように感じられ、見ているだけで力が漲る気持ちになった。

「街や村の人々は活気的だな。貴族の生活とは覇気が違う。」
「はい。仰ることがよく分かります。身体のつくりも全く違います。無駄な脂肪がなく、筋肉のつき方が均等で仕事の動きが機敏です。」
人夫達は寒い朝の空気の中でも、袖をまくり日焼けをした太い腕をむき出しにして作業をしていた。重そうな袋もヒョイと持ち上げサッサッと歩いていく。次々にそれをこなしていく姿には無駄な動きがなかった。
「私の領地の民達の作業を見るのも楽しみだな。」
「あ、テヒョン様・・・・パンが焼ける香りがしてきませんか?」
穏やかな風に乗って朝食用のパンを焼く香りが二人の鼻をくすぐった。
「本当だ・・・なんだかお腹が空いてきたな。僕達もそろそろ戻るとするか。」

二人はもと来た道へ帰る。
ジョングクがパッとテヒョンの手を引いた。その手にはテヒョンからクリスマスプレゼントで貰った二人のイニシャル入りの手袋がはめてある。
ミトンの手袋をしているテヒョンがその手を掴んだ。
「手を繋いで街中を歩くなんて今までなかったよな。」
「はい。だから今日はこのままホテルに戻りますよ。手繋ぎとは言ってもお互いミトンと手袋ごしではございますが。」
ジョングクがきゅっと繋いでいる手に力を入れた。
「僕達は大人同士だけど、手を繋いで恥ずかしくはない?」
「いいえ、少しも。でもテヒョン様が恥ずかしいと仰るなら離しましょう。」
「駄目だよ!!」
テヒョンが両手で繋いでいる手を掴んだ。ジョングクは後ろを振り返ると、
「ずっとあなた様を掴まえておきたいです・・・」
と言って優しく笑った。そして前に向き直ると更に強く繋いだ手を掴む。テヒョンは下唇を噛んで黙ったまま後ろ姿に視線を送った。

新しい一日の始まりが徐々に慌ただしく動いていく。そんな街中を歩く二人の背中はとても楽しそうで幸せに満ちていた。
ホテルの前まで戻ると入口にはスミスと支配人が立っていた。
「おはようございます。テヒョン様、散策は楽しまれましたか?」
「おはよう。充分に楽しませてもらった。街の中でパンを焼く匂いがしてな、お腹が空いて戻ってきた。」
スミスと支配人は笑った。
「殿下、朝食の準備が整っておりますので、どうぞ貴賓室にお戻り下さいませ。」
「それは有り難い。本当にペコペコだ、早速頂くことにしよう。」
テヒョンは誰よりも先にホテルの中へ入って行く。ジョングクも後をついて行った。

朝食を終えて暫く休んでから、出発の準備を始める。
これから旅の目的である領地訪問が本格的に始まる。
野菜の産出が盛んなプロスペクトニー、養鶏の産地ピュートサルマンそして牛の繁殖牛舎、育成牛舎、肥育牛舎、酪農場と大きな畜産が盛んなオールローズを回る。
約3週間をかけて回るのだが、これもロンドンから近い方の領地のほんの一部だ。
今回は特に見舞いを届けてくれた領地の民達に会いに行くことになっている。
ホテルの前に馬車が停められた。支配人と数名のスタッフが見送りに並んでいる。テヒョン達がホテルの中から出てきた。
「世話になった、エヴァンス。」
「は、恐れ多いことでございます。」
テヒョンから名前で呼ばれて、支配人は嬉しさと相まって恐れおののいた。
「また是非お立ち寄りくださいませ、殿下。」
「うん、そうさせてもらうよ。この街が気に入った。」
「有り難いお言葉でございます。」

テヒョン達を乗せた馬車が、最初の訪問地プロスペクトニーに向かって西北に進みだした。
土壌が肥よくで農作物の品質が高評価を受けているプロスペクトニー地域。
テヒョンへの見舞いの農作物は厨房を任されていたシェフを喜ばせた。
馬車を走らせること半日。
途中の駅で休憩を取り夕方まで走ってホテルで一泊する。次の日は朝早く出発をして昼過ぎに目的の領地に到着した。

領地管理責任者のゲインズの邸宅前に馬車が停まった。
馬車の到着と共に中からゲインズとその妻が出てきて、テヒョン達を出迎えた。
「お待ち申し上げておりました、大公子殿下。」
「元気でいたか?ゲインズ。」
「ありがとうございます。この通り元気でやっております。殿下もお怪我の方はもう宜しいのでしょうか。」
「うん。この通り元気だ。」
「安心致しました。お姿を拝見するまでは心配でございました。」
「あなた、ここでは冷えますから中にお入りいただいて下さい。」
「おお、そうだな。殿下大変失礼致しました。どうぞ中へお入り下さいませ。」
ゲインズは妻に促され慌ててテヒョンを中へ案内した。
「ゲインズ夫人、久しぶりですね。」
「はい。殿下のお元気なお姿を拝見出来て嬉しゅうございます。さ、お早く中へ。皆様もどうぞお入り下さいませ。」
テヒョンとジョングク、スミスはゲインズ邸の中に入っていった。

中に入るとゲインズの家族と領地の関係者がテヒョン達を出迎えた。
テヒョンは一人づつ挨拶を受けた。
ここにいる農地を管理監督をする責任者達は、公爵家での会議や打ち合わせで顔を合わせていたので見知っていた。しかし、最後に並ぶ者は初めて見る顔だった。
「殿下、この者は当御領地の土木全般を管理するニール・アンダーソンと申します。」
「初めて見る顔だな。」
テヒョンはなんとなくこの者からは歓迎されていない雰囲気を感じた。
するといきなり、
「キム公爵様には物味遊山でのお越しのご様子。まことにおめでたいことでございますなぁ!」
と、睨み笑いでテヒョンに言い放った。
「お前!誰に向かってものを言っている、無礼であろう!」
ジョングクが厳しく咎めると、スミスと共にテヒョンの前を護りに出た。
「ニール!!大公子殿下への冒涜は許さん!」
ゲインズが慌ててニールという男の腕を掴んで下がらせようとした。
「まぁ待て。面白い奴がおるではないか、ゲインズ放せ。」
ジョングクとスミスを後ろに引いて、ゲインズを止めた。
テヒョンはニヤリと笑みを浮かべてニールという男を真っ直ぐ見据えた。

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