群青と真紅㊺【フランシス孃の慈善活動】 | Yoっち☆楽しくグテを綴る♡

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ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

テテの供給に若干追いついていない私です😆💦💦💦
先月に続き、1ヶ月も経たないうちに日本に来てくれて嬉しい限りですよね
しかし、もう帰国❓の情報も🥺




前回の物語



物語の続きが始まります✨✨✨




【大公とフランシス孃】

食堂では大公とテヒョンが久しぶりに親子水入らずの朝食を摂っていた。
この日からはテヒョン周辺の諸々の世話などは、スミスに代わりデイビスが付くことになった。

そこに執事となったスミスがやってくる。
「お食事中に失礼致します。テヒョン様フランシス孃から封書が届いてございます。」
「おおそうか、ありがとう。」
テヒョンは封書を受け取ると中を確認した。

頷きながら書面を見ていたが、パッと大公に向いた。
「父上、先程話題にしておりました見舞いの品々の行き先が、どうやら決定したようです。」
「そうか!クリスマスには間に合いそうか?」
「実際の受け渡しについては今日の午後にフランシス孃が見えるようですので、その時に分かると思います。
父上にご予定がなければ、是非ご同席なさいませんか?」
「分かった。今日は大事な予定はないから楽しみにしていよう。」

「デイビス、シェフに今日はブランチの用意を頼んでおいてくれ。」
「かしこまりました。」

「デイビス、しっかりやっておるな。」
スミスがデイビスの仕事ぶりをずっと見ていた。
「はい。スミス様の後任として心して励んでおります。」

「スミスがデイビスをしっかり仕込んできてくれたから心配ない。」
テヒョンが太鼓判を押した。
デイビスが褒められてニコニコしながらテヒョンに頭を下げると、言い付かった事を厨房に伝える゙為に食堂を出て行った。
「スミスはテヒョンに付きっきりになれなくなって寂しいのではないか?」
大公が少々からかい気味に言った。
「はい、まことに寂しゅうございます。」
笑顔ではあっはたが、哀愁を帯びた声で応えた。
テヒョンはチラッとスミスに顔を向けて
「子離れしてもらわないと困るな〜。スミスはキム公爵家の統括責任者だからな。」
と、からかいながら言う。
「テヒョン様〜〜・・・」
スミスが恨めしそうに反応したので皆が笑った。
「私はまだ急ぎ仕事がごさいました!それでは皆様失礼致します。」
スミスは何か仕事を思い出して早々に食堂から出て行った。
「スミスは正式に執事となる前から、既に我が家の【顔】だな。」
「はい。この家ではいなくては困る存在ですし、私には父上に次ぐ頼れる身内でございます。」
テヒョンはスミスの長年に渡る、キム公爵家への尽心に感謝の念を感じずにはいられなかった。
テヒョンの話を頷きながら聞いていた大公が、急に内緒話をするように言った。
「テヒョン、スミスには執事の他に1つ褒美を取らせたいと思っている。」
「褒美でございますか?いいですね。それは何でしょうか?」
大公はにっこり笑って隣に座るように合図をする。
テヒョンが立ち上がり、テーブルを回って大公の隣に座ると、何やら真剣な面持ちで二人は話を始めた。


午後、テヒョンが執務室で仕事をしているとデイビスがやって来た。
「テヒョン様、リオンヌ伯爵令嬢がいらっしゃいました。」
「うん分かった。」
「食堂にお通し致しましたので、皆様お揃いになりましたら、ブランチをお召し上がり頂きます。
大公殿下には、オルブライト様からお伝えして頂けるように致しております。」
「よし、では参ろう。」


テヒョンがデイビスと共に食堂に入る。
フランシス孃が座っていた席から立ち上がり挨拶をした。
「こんにちはキム公爵。本日はお時間を頂きましてありがとうございます。」
「こちらこそありがとう。今回の事では大変世話になりましたね。」
「いいえ、とても有意義な時間を頂きました。キム公爵には感謝申し上げます。」
テヒョンとフランシス孃が話をしていると、大公がオルブライトと共に入って来た。
大公の姿に気づいたフランシス孃が、素早く向きを変えると、とびきりエレガントなカーテシーで迎えた。
「これは、これは!なんと美しい立ち居振る舞いだ。
あなたがリオンヌ伯爵のお嬢さんかな?」
「はい、初めてお目にかかります大公殿下。フランシス・ルイーズ・ド・リオンヌでございます。
「私はテヒョンの父、キム・フィリップです。テヒョンが大変お世話になっているそうですね。私からも礼を言います。ありがとう。」
大公が優しい目を向けて挨拶を返した。たいそう感心をしたように頷きながら
「・・・なるほど、あなたがリオンヌ伯爵の・・・」
と言った。
「大公殿下は父をご存知でいらっしゃいますか?」
「勿論よく知っておりますよ。宮廷の侍従の中でリオンヌ伯爵は要になる方ですからね。それに私がフランスに渡る際にはとてもお世話になりました。」
と、にこやかに応えた
「さようでございましたか。父同様に娘の私もキム公爵家のお役に立てて、大変光栄でございます。」
「そういえば、ご結婚が近いと伺いましたよ。おめでとう。」
「ありがとうございます。」
フランシス孃はちょっとはにかみながら礼を言った。
「しかしあなたに結婚の話がなければ、是非うちのテヒョンの花嫁に迎えたいところですよ。」
「ち・ち・う・え!」
テヒョンが横目で見なから制した。
大公は息子の注意にニヤリとしながら舌を出した。
親子のやり取りを見ていたフランシス孃が笑い出してしまう。
「申し訳ありません・・・。大公殿下がとてもチャーミングな事をなさるものですから、つい・・・。でも、私が大公殿下のお眼鏡にかないましたのなら、こんなに光栄な事はございませんわ。」
「フランシス孃、あなたもまともに応じなくてよいのですよ。」
テヒョンが今度はフランシス孃を制した。
「おや?テヒョン様もまんざらでもないご様子ですが。」
そこにオルブライトが悪ノリして入ってきた。
「オルブライトまで!まったく結婚を控えた方を前に、冗談とはいえ失礼というものですよ。ここに居るのは皆大人なのですから。」
テヒョンはムキになっていた。
「やれやれ、真面目過ぎるのも時には困ったものだな。」
大公がからかうような笑みを含めて言った。
「本当に父上にかないませんよ・・・」
最後まで戯ける大公に、ムキになっていた自分がおかしくなって笑い出した。 
「キム公爵。こちらの公爵家の皆様は、とても明るくて楽しい方々ばかりでございますね。」
フランシス孃は気にする様子もなく楽しそうだった。


「さあ皆様、そろそろブランチのご用意を致しますのでどうぞご着席を」
食堂がわいわいと賑やかになっている所にスミスがやって来ると、それに続いて給仕係が食事を持って食堂に入ってきた。
テーブルはあっという間に数々の皿で飾られた。
「では頂きましょう。」
テヒョンの掛け声で食事が始まった。


食後のお茶の時には大公とフランシス孃が、初対面とは思えないくらい話が盛り上がっていた。テヒョンは二人のおしゃべりを楽しそうに聞いていた。

大公自身も物怖じしないフランシス孃の朗らかな人柄を好ましく思った。
また、彼女の話は当たり障りのない世間話などではなく、ライフワークになっている慈善活動の中で起きた楽しいエピソードを身振り手振りで話すのですっかり引き込まれてしまっていた。



【フランシス孃の仕事ぶり】


ブランチを終えてお茶で一息ついた頃、テヒョンとフランシス孃と大公は絵画の間に移動した。
部屋に入ると、片隅に寄せられたテーブルに3人が座る。
フランシス孃は持ってきた鞄の中から、封筒を取り出してテヒョンに渡した。
受け取った封筒から書類を取り出すと早速目を通す。
「大切なお見舞いのお品物でございますから、吟味に吟味を重ねてお譲り先を決めさせて頂きリストにして参りました。」
フランシス孃の言葉を受け、1つ1つの譲り先について丁寧に見ていった。
彼女がまとめてきたリストには、どの品物をどこの団体に譲るのかのみならず、責任者の名前、どういった団体で、現在置かれている状況はどうなのかなど詳しく記されていた。
「父上もご覧になって下さい」
一通り目を通すと大公にリストを渡した。
「随分と丁寧に記して下さったのですね。」
「はい。お見舞いのお品物ですから、贈られた皆様のお気持ちが生きておりますでしょう?ですからそれに相応しい所、本当に困っている所を選びました。」
「選ぶ作業も心苦しかったのではありませんか?選ぶとはいえ選別することになりますからね。」
テヒョンが思いやって言った。
「はい。仰る通りでございます。」
少し伏し目がちになりながら応える。
「大変な思いまでさせてしまったかな・・・」
顔を覗いながら訊いた。
しかし、彼女は顔をスッと上げてきっぱりと言う。
「いいえ、この先も何かにつけ慈善活動をしていれば、選択をするということは避けられないと思っております。」
言いながら大公とテヒョンを交互に見ると、フッと笑顔に変わって続けた。
「ですが、何かの重圧に負けたり、忖度をすることなく適材適所に力添えしていく気持ちの鍛錬になりました。」
「フランシス孃、あなたは人だけでなく、施設の中を細かくよく見ていますね。施設の状態から日頃の様子を推察するその洞察力は素晴らしい」
リストを見ていた大公が感嘆して言った。
「ありがとうございます大公殿下。身に余るほどのお褒めの言葉を頂けて、私のこれからの活動への励みになりましょう。」
「あなたが上げてくれたこのリストにある施設、団体にあの品々を有効に使って頂きますよ。」
テヒョンが大公からリストを受け取ると、封筒に戻してフランシス孃に渡した。
「リストのお控えは宜しいのですか?」
「十分見せて頂きましたよ。後は全てあなたにお任せするのですから、もうこのリストは私には必要ありません。」
「分かりました。早速それぞれの施設、団体に連絡を致しまして、明日以降から受け取りに来てもらうように致します。」
「こちらから届けますよ。」
「いえ、代表者自らの足で引き取りに来てもらいます。ですのでキム公爵には恐れ入りますが、馬車のお手配だけお願いしても宜しいでしょうか?」
「ええ、勿論ですよ。」
「ありがとうございます。数日の間はこちらの宮殿に、それぞれの施設の者が出入りすることになりますが・・」
「担当の従僕を待機させますので問題ありませんよ。」
「何から何までご厚意をありがとうございます。」
「とんでもない。お願いをしたのは私の方ですから当たり前のことですよ。」
テヒョンの言葉にフランシス孃が安堵の表情を浮かべた。

「段取りが決まりましたので、早速お品物を仕分ける作業を始めたいと思います。」
フランシス孃が立ち上がりながら言う。
「それでは何人かお手伝いする者を呼びましょう。」
「ありがとうございます。」
テヒョンはデイビスに言って、フランシス孃の作業を手伝える従僕を手配させた。
しばらくすると手伝いの為に従僕が数人、絵画の間にやってきた。
早速フランシス孃は作業を始めた。
テヒョンと大公はその様子を一緒に見ていた。

「テヒョン見たか?引取先毎に必要な物とその数量を素早く見分けて、仕分けがされていくぞ。」
真剣な表情で従僕に仕分けの指示を出していき、分かりやすく品物と品物の間にスペースを作っていく。
あっという間に見舞いの品々は仕分けがされ引取先別に札が貼られた

「お見事!」
一部始終の作業を見ていたテヒョンと大公は思わず拍手をした。
真剣な面持ちだったフランシス孃の表情が笑顔に変わる。
するとくるりと振り返り、手伝ってくれた従僕達に
「お手伝いありがとうございます。」
と、丁寧に礼を言った。


すっかり陽が落ちて夕刻になっていた。
デイビスが絵画の間に来て、食事の支度が出来ていることを告げた。
「フランシス孃、あなたも夕食を食べていきなさい。」
と、大公が夕食に誘った。
テヒョンも頷いて
「沢山働いたのだからそうしていって下さい。」
と手招きをする。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。」

フランシス孃は大公とテヒョンと一緒に食堂に移動して夕食も共にした。
食後のデザートを楽しみながら、談笑していたが大公が途中で
「さ、私は先に失礼するよ。明日は早くから宮廷に行かねばならないからな。」
と言って席を立った。
「フランシス孃今日はありがとう。次回は婚約者のジョンソン男爵と一緒に遊びに来なさい。」
「はい。一緒にお邪魔させて頂きます。おやすみなさいませ。」
スッと立ち上がるとカーテシーでお辞儀をした。
「ではテヒョン先に休むぞ。」
「おやすみなさいませ父上。」
大公はオルブライトと共に食堂を後にした。

「すっかり夜になってしまいましたわ。長らくお邪魔してしまって・・」
「うちは大丈夫。今日は遊びではありませんから遅くなってもご両親は心配されないでしょう。」
テヒョンは笑って言った。
「ええ。家の者もこちらで待機してくれてますので、9時頃までなら大丈夫でございます。」

テヒョンとフランシス孃は慈善活動の話をはじめ、ジョンソン男爵との結婚の話など、お茶を飲みながら談笑を続けていた。
話が一瞬途切れた時、急にニコニコしながらフランシス孃がテヒョンの顔を見つめはじめた。
テヒョンがそれに気づくと彼女が話し出した。
「キム公爵は以前にも増してとてもお幸せそうですね。」
「ん?そのように見えますか?」
「はい。お父上の大公殿下がお帰りになったことも勿論でございますが・・・」
含みを持たせると
「お心を寄せられている方と、想いが通じ合われたのでございますね。」
と言い切った。

テヒョンは不意を突かれてドキッとしたが笑い出した。
「あなたには、、、本当に敵いませんね。」
彼女はフフっと笑う。
「お幸せそうなお顔が、とても素敵でいらっしゃいます。」
テヒョンはジッと彼女の目の奥を覗いて
「仰る通り私は今とても幸せです。」
とだけ答える。
テヒョンを幸せな表情にさせる相手が、誰であるのかは気付いているはずだった。
しかし何も訊かず、詮索することもなく、ただ幸せであることを分かってくれている態度に、テヒョンは安心と信頼を寄せた。

「キム公爵。貴方様をその様に素敵な表情にさせる事が出来るそのお方は、もっと幸せを感じていらっしゃるでしょうね。」
彼女の言葉にパッとジョングクの顔が脳裏に浮かぶ。
彼は本当に幸せを感じてくれているだろうか、、、。
想っただけでテヒョンの胸の奥が熱く疼いた。
気持ちはすでに『会いたい』で溢れている。
恍惚と誰かを想う隠しきれないテヒョンの姿をフランシス孃はジッと見守っていた。


「失礼致します。」
フランシス孃の侍女が食堂にやってきた。
「お嬢様、そろそろお帰りの時刻にごさいます。」
時計が10時を指していた。
「まぁすっかりおしゃべりに夢中になっておりました。」
「私も気付きませんでした。申し訳ない。」
テヒョンが慌てて立ち上がる。
「いいえ、キム公爵が謝られることではございませんわ。」

侍女がコートをフランシス孃の肩に掛けて帰りの支度を整える。
宮殿の廊下はすっかり冷えていた。
「キム公爵はこちらにいらして下さいませ。お風邪を召したら大変でございます。」
「大丈夫ですよ。玄関までは送らせてもらいますよ。」
テヒョンはデイビスを伴って玄関口までフランシス孃を送った。

「次回はあなたの結婚式でお会いすることになりますね。」
「はい、そうでございますね。」
「それでは良いクリスマスと新年を迎えて下さい。ジョンソン男爵にも宜しくお伝え下さい。」
「かしこまりました。キム公爵も良いクリスマスと新年をお迎え下さいませ。」
カーテシーでお辞儀をして、フランシス孃は侍女と共に馬車に乗り込み家路にと帰って行った。



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