群青と真紅㊲【お見舞いの品々を慈善へ】 | Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

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アラフィフの生活や周辺で起きたことを書いています☆
そしてときどき
終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

テテがフランス🇫🇷へ出国して、ボゴムさんも1日遅れて出国しましたよね
今、パリでは警察官の銃撃で一人の少年が亡くなった事への抗議活動から、暴動や略奪へとエスカレートして大変な騒ぎになってますね😱💦
テテの安全を願うばかり🙏🙏🙏
物語の中では、ヨーロッパ各地にみられる暴動に、フランスにいるテヒョンの父が国王から帰国命令を出されてますからね😭←私的には現実と物語がリンクしてしまいました



前回の物語



本文注記
【ボンボン菓子、ボンボニエール】

ボンボン菓子フランス宮廷に輿入れしたマリー・ド・メディシスに随伴したイタリアの菓子職人ジョヴァンニ・パスティッラが作った砂糖菓子が「ボンボン」と呼ばれるようになったのが始まりとされる

ボンボニエールボンボン菓子を入れるための容器がボンボニエール(bonbonière)である

Wikipediaより




物語の続きが始まります✨✨


【キム公爵家のボンボン菓子】

執務室に戻ると、既にテヒョンの朝食が運ばれていて、食事が始まっていた
スミスはティーポットに紅茶葉を入れながら、そっと視線をテヒョンに向ける。しかし食事をしている姿は、いつもの様子に見えた
「スミス、礼状へのサイン入れも、もうじき書き終わりそうだぞ」
「そうでございますか、では後の仕上げまでも急ぎませんといけませんね」
「うん、頑張って仕上げてくれ。それはそうと返礼品は届いているのか?」
「はい、大丈夫でございます。礼状の仕上がり待ちでございますよ」
「そうしたら、次は公爵のすべき仕事を片付けて、クリスマスの買い物へも心置きなく出掛けることが出来るな!」
テヒョンが嬉しそうに言った
無理矢理明るく振る舞っているようでもなく、スミスは少しホッとした
「では、ご予定も早速前倒して組みましょう」

テヒョンは朝食を食べ終えると、早速礼状へのサイン入れを再開させた
しばらくすると、昨日の従僕達も執務室に集まり、一気に作業が進んで行った
そして
「よし!最後の一枚が終わった。後は頼んだぞ」
と、ついにテヒョンが最後のサイン入れを終えた
スミスや従僕達が作業をする横で、テヒョンは休むことなく、机の上を空けて次に領地内から届いた書類を取り出した

始めに、書類の1つづつ丁寧に目を通す
テヒョンは没頭すると一気にそこに自分の世界を作って周りを圧倒する。いい意味で周囲に刺激を与えるのだ。従僕達がそれに気付いて、テヒョンの神々しいまでの真剣な眼差しと、姿勢に心奪われていく

従僕達の手が止まったことに気付いたスミスが顔を上げた
「こらこら、手が止まっているぞ」
「スミス様・・・殿下の素晴らしい姿をご覧下さい」
「ああ、テヒョン様のあの様な真剣なお姿を間近で見ることは、なかなか出来ないからのぅ、眼福であろう?」
スミスと従僕達はしばらくテヒョンの姿を見ていた。が、スミスが現実に引き戻す
「さあさ、続けますよ。せっかくテヒョン様が早くに仕上げられたサイン入れであるからな」
従僕達はスミスに促され、名残惜しそうにしながら作業に戻った

テヒョンは周りのざわつきも我関せず、ひたすら報告書類に目を通し、時々何かを書き込んで、書類の右上の角を折ったりしていた
そして、申請書類にも目を通すとサインを書き込んだり、または何かを書き入れて報告書類と同じように書類の右上の角を折っていった

お昼近くになり、全ての返礼の書簡が仕上がり、返礼の挨拶状が整った
最後の一箱が執務室を出て、宛名を書く部屋に運ばれて行った
スミスと残りの従僕が後片付けを始める

さて、返礼の挨拶状が仕上がると、返礼品と共に各々配達されていくのだが
キム公爵家の贈り物への返礼品は、フランスから伝わる砂糖菓子のボンボンと決まっていた。それをテヒョンの紋章が描かれたボンボニエールに入れて贈られるのが習わしになっていた
ボンボンの中にはショコラや柑橘のジュレが入っている
今回は、キム公爵家にお見舞いが届き始めたのを見て、早目に注文を入れていた為、早い段階で準備が整った

そして、テヒョンの仕事の方は、読み進めていた書類を更に精査し、承認などは黙々と処理がされていった
すると仕事の途中で突然、テヒョンは思い出してこう言った
「スミス、年明け位から領民のもとに挨拶に参ろう。仕事や公務のない時期を旅行を兼ねて回れたらいいと思うのだが」
「テヒョン様が療養中に仰っていた、農産物のお見舞いのお礼でございますね」
「うん。それと、自分が治める領地を一度きちんと見ておきたいのだ」
「ようございますな。私も体が動くうちにテヒョン様と遠出をしてみたいものでございます」
「ははは、スミスは年をいくら重ねても達者であろう?」
「テヒョン様!」
テヒョンとスミスと従僕達もみんなで笑った

「お片付けが終わりましたので、私どもは元の職務に戻らせて頂きます」
「うん、ご苦労だったな」
従僕達はテヒョンに挨拶をすると、執務室を出た
従僕達が部屋を出た後、スミスが旅行の話の続きを始めた
「テヒョン様、旅行ともなりますと色々先立って計画を立てねばなりませんな」
「最初は近いところから参ろう。寒い時期の遠出は雪に阻まれてしまうからな」
「そうでございますね」
「・・・ジョングクも行けるといいのだがな」
テヒョンがボソッと呟いた
「お誘いになってみては如何でございますか?」
スミスの言葉に、テヒョンは少し考えていたが、ぱっと笑顔になった
「うん、そうだな、そうしよう!」
『なんと、まあ、ジョングク様のことになると、テヒョン様はこんなにも無防備で、可愛らしい表情をなさる』と、スミスは思った
そして、テヒョンの心弾む想いまでもが、手に取るように感じられた
「さて、早く片付けてしまおう!」
それからのテヒョンの仕事の処理スピードが一段と速くなった


【テヒョンの想い】


報告書の確認と申請書類の処理も一通り終わり、テヒョンの仕事の方も一段落がついた
「スミス、この耳折をしている書類は、不備があるものだ。不備箇所にメモ書きをしてあるから、再考するように伝えて欲しい。それぞれの責任者に戻して、再提出させるように」
「はい、かしこまりました。ではお預かり致します」
スミスはテヒョンから渡された書類を書類ケースにしまった
「では、直ぐに各責任者に返却するよう手配して参ります」
「うん、頼んだぞ」
スミスが部屋を出ると、テヒョンも自分の部屋に戻った

部屋に戻ったテヒョンは、書き物机に向かう。そして机の一番上の引き出しから、スミスに頼んだ後、すぐに手元に届いたカードを取り出した
そして、椅子に座ると二つ折りになっているそのカードを広げ、ジョングクへのガウンコートのお礼のメッセージをしたためる
他のお見舞いに対する礼状より先に書こうと思っていたが、やはり落ち着いた時に、じっくり言葉を選んで書き留めたいと考えて、しまっておいたのだ

Dearest Jeon Jungkook

✦✦✦素敵なガウンコートを
ありがとう
朝も夜も あたたかい君の思いに
包まれています
おかげで僕は身も心も
寒くはありません✦✦✦

Yours sincerely,
Kim Taehyung

テヒョンはこのカードを次にジョングクと会った時に直接渡そうと思った
どんなシチュエーションで渡そうかと、考えるだけで心が弾む
カードを見て笑ってくれるだろうか、また、その時の自分に向けてくれるであろう、ジョングクの笑顔を思い浮かべるだけで、胸が熱くなった
テヒョンはジョングクへの想いを巡らせながら、書き上げたカードのメッセージを何度も読み返していたが、カードを閉じると封筒に入れた
封印はテヒョンのプライベート用の《KT》のイニシャルが刻印されたシーリングスタンプが押される。シーリングワックスが固まるのを待って、それを元の引き出しにしまった

『ジョングクに会えるのはいつだろう』

テヒョンは椅子から立ち上がり、窓辺に立つと、広大な庭園の彼方先に見える雲を目で追いながら、ジョングクに会える日に思いを馳せた



『絵画の間』では、ついにテヒョンの元に届けられたお見舞いの贈り物が仕分けを終えて、全て集められた
「ご苦労だった、デイビス。種類別に分かりやすく並べてあるので、これは確認がしやすい。見事だな。あれだけの物をここまでに仕上げるのは大変であっただろう」
「ありがとうございます」
デイビスはテヒョンから直々に仕事を褒められ、更に労をねぎらわれ誇らしかった
スミスもデイビスを見て頷いた

「スミス、そろそろフランシス嬢に使いを出してくれるか?」
「かしこまりました。すぐに手配を致します」
テヒョンの指示でスミスがフランシス嬢の屋敷に使いを出した
そして、2日後にはフランシス嬢がテヒョンの宮殿にやって来てくれた
フランシス嬢の両親は、キム公爵家から直々に娘に使いが来た時には、何事かと驚いたようだ。だが、事情を知って、大いに公爵のお役に立つようにと激励されて送り出された

この日は特に寒い日だった
広い宮殿内も寒かったので、フランシス嬢を迎えたスミスがお部屋までは、そのまま入るように勧めた。しかし、フランシス嬢は宮殿の入口でコートを脱いで、手袋も外した
スミスは驕らない彼女の礼儀正しさに感服した

デイビスがテヒョンの部屋に、フランシス嬢の到着を知らせに来た
「殿下、フランシス・ルイーズ・ド・リオンヌ様がご到着でございます」
「そうか、ではスミスに『絵画の間』に直接通して差し上げるよう伝えてくれ。私は先に行っている」
「かしこまりました」

テヒョンは先に『絵画の間』に向かった
テヒョンがデイビスの仕事を絶賛したように、部屋の中には種類別に、沢山のお見舞いの品々が並べてある
それらを改めてゆっくり見回っていると、スミスがフランシス嬢を案内しながら、『絵画の間』へやって来た

「テヒョン様、フランシス嬢をお連れ致しました」
スミスの言葉を受けて、フランシス嬢が部屋の入口でカーテシーをしながらお辞儀をした
「よくいらしゃいました、フランシス嬢」
テヒョンが声を掛けながら近づいていく
「ご機嫌麗しゅう。キム公爵」
フランシス嬢が挨拶をすると、テヒョンは中に入るよう手で促した

「本日はお呼び下さり、ありがとうございます。御身体のお加減はもう宜しいのですか?」
「ええ、もう普通に仕事も始めておりますよ」
「まぁ、それはようございました。私の周りでも殿下を心配なさった方々がいらっしゃって、沢山私に尋ねられましたの。これで安心して、これ以上の心配は御無用ですと、伝える事が出来ますわ」
「そうお伝え下さると、私も助かります」
テヒョンとフランシス嬢は笑った

「キム公爵、、、もしかして、こちらにあるお品物は、全て仰っていらしたお見舞いの品々でございますか?」
「はい、そうですよ」
フランシス嬢がくるりと部屋の中を見回した
「さすがでございますわ、、殿下の普段のお人柄の現れでごさいますね」
「自分では、なんとも言いようがありませんが、あなたかそう仰るのであれば、そのように受け止めておきましょう」
「本当に全て御寄附に回されて宜しいのですか?」
「ええ。ここに置いてある物は全て」
「少し見て回らせて頂いても宜しいでしょうか」
「どうぞ、ゆっくりご覧になって下さい」
「では、失礼致します」
フランシス嬢は並べられた贈り物に近付いて行くと、一つ一つゆっくり見て回った
「触れてみても宜しいでしょうか?」
「いいですよ」
フランシス嬢は布製品などは実際に手に触れてみたりした
じっくりと、またしっかり見て回り、テヒョンの所へ戻ってきた
「いかがですか?慈善に回せる物はありますか?」
「はい。コットンリネンなどは孤児院などの赤ちゃんに使える上質なものばかり。ツイードのお仕立て用の生地は、貧しく防寒着が持てない大人や子供の上着に仕立てて使えますし、紅茶や珈琲の茶葉や豆は無料で提供されるお食事会の時に、一緒に出す事ができますわ」
「お役に立てそうですか?」
「勿論でございます。普段身に着けることや、口にすることが出来ない高級品に触れて、幸せを感じて、生きることに希望を持ってくれたらと思っております。ただの施しは、貧しい者には心傷付くものですから、キム公爵の『頂いた物を役に立てる』というご厚意は、彼らに自信を持ってもらうという希望に繫がりますし、何より下さった方々のお品物が、人助けに生まれ変われる・・
私はキム公爵がそこまでお見越していらっしゃる事に気が付き、心が震えました」
「分かって頂けたようで、私も嬉しい」
「あの・・・それで、1つご相談がございます」
「ん?何でしょう」
「調度品などの贈り物ですが、、、お金に替える事になっても宜しいでしょうか?」
フランシス嬢は恐縮しながらテヒョンに訊いた
「なるほど、ではあなたのお考えを伺いましょう」
「はい。あのような素晴らしい彫金が施された置き物や、蒔絵の漆器などは最初は目の保養にはなるとは思うのですが、貧しい暮らしの中では、いずれ持て余してしまうでしょう。それに彼らの暮らす場所は、どこも治安があまり良くはないので、それを盗みに来る者も出て来る恐れもございます。命が脅かされる事にも繋がってしまいます
そこで、彼らの手で『商売』として自分で売買をして、収入に替える学びをして欲しいと考えております」
テヒョンは大きく頷きながら、フランシス嬢に応えた
「やはりフランシス嬢に相談をしてよかった。私もただ差し上げるのではなく、次の希望に繋がればよいなと、思っていたのです。実は私はお見舞いに対しての礼状を書いた時に、下さった方々のお品物を尊い行いに回すことへの承諾の願いも書き添えました」
「まぁ、そうでございますか。皆様ご納得されましょうか」
「贈った物が私への見舞いになり、更に活かされる使われ方をすると分かれば、納得して下さるでしょう」
「そうでございますね。・・・でも本当に驚きましたわ・・・これだけのお見舞いの贈り物は見たことがありませんもの」
「有り難いことには変わりないのですが、私にとっては正直驚異であり、恐怖でもございますよ」
テヒョンとフランシス嬢は贈り物の品々を今一度見回した

「早速ではございますが、いくつか相応しい慈善団体にお話を持っていこうと思っております。はっきりと行き先が決まりますまで、こちらに置いて下さいますか?」
「当然です。是非良い所に繋げて頂きたい」
「かしこまりました。ご厚意に添えるよう尽力致します」

「テヒョン様お茶のご用意が出来ております。お隣の応接の間にお越し下さいませ」
スミスが二人の話が一段落ついたのを見計らって声を掛けた
「ではフランシス嬢参りましょうか」
「キム公爵、私、今朝お菓子を焼いて持って参りましたの。先程スミスさんにお渡ししてますので、お召し上がり下さいませね」
フランシス嬢の言葉に、スミスがテヒョンにウィンクをして期待を煽った
「それは楽しみだ!早く参ろう」
「スミスさんもご一緒に召し上がって下さいませね」
「はい、これだけは遠慮は致しません」
3人は笑いながら、隣の応接の間に急いだ


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