ここ数日、モデルで俳優の栗原類さんの子ども時代のことについて、ネットの記事で目にする機会が数回ありました。
当時通っていたNYの公立小学校で発達障害の可能性を指摘された栗原さんは、小学校1年生の終わり頃に、専門医の診察のほかIQテストや行動観察を受けることになりました。
その数か月後には、NY市教育委員会のもと、担任の先生や精神科医や児童心理学者らによる審査会が開かれ、「ADD(注意欠陥障害)」との結論が下されたのだそうです。
私にとって衝撃だったのは、記事の中にあったお母さまの発言でした。
"もともと短期記憶に問題があったため、勉強はまったくと言っていいほど頭に残らない子でした。"
「ADDの子はそうなの? だったら娘にも当てはまるのでは? だからいくら勉強しても成績が上がらないのかも・・・」
――少し落ち着いて整理してみたいと思います。
ADDとは、日本語では「注意欠陥障害(Attentin Deficit Disorder with and without Hyperactivity)」と訳され、ADHDのかつての診断名だそうです。
現在の 『DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)』 の診断基準にあてはめると、ADHDの「不注意優勢型」に相当するそうです。
「ADD」という診断名は、アメリカ精神医学会の国際的な診断基準である 『DSM-Ⅲ』 が出版された1980年から、『DSM-Ⅲ-R』 に改訂された1987年までの間のみ用いられていました。
ただ、もう1つの代表的な診断基準である 『ICD - 8(疾病及び関連保険問題の国際統計分類第8版)』 では、1990年の改訂まで「ADD」という診断名が採用されていました。
そのため、診断名が「ADD」から「ADHD」に完全に移行したのは、1990年以降のことだそうです。
(*1994年12月生まれの栗原類さんが診断を受けたのは2001~2年頃と思われますので、その頃でもまだ「ADD」という名称が使われていたってことですね)
*『DSM』や『ICD』がどんなものかにつきましては、2020/1/6の記事でもちょこっと触れさせていただいてます。
現在用いられている診断基準は、『DSM-5』 と 『ICD-10』 です。
※2019年5月にWHOの総会で『国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)』が承認され、
2022年1月に正式に発効する予定だとか。(*てことはもう発効されてる?)
日本では厚生労働省が国内への導入作業を進めている最中だそうです。
この『DSM-5』においては、ADHDは 「混合型」「不注意優勢型」「多動-衝動優勢型」 という3つの型に分類されており、本人の様子や周囲の話から得た情報を診断基準に照らし合わせていずれかに振り分けられるのだとか。
ここで、娘はどのタイプだったのだろう・・・と思い、検査結果を久しぶりに見返してみました。
すると、すっかり忘れておりましたが・・・
娘はかなりのハイスコアで、「不注意優勢型のADHD」と診断されていたのでした
(*ちなみに「多動性」と「衝動性」についてはまったくの正常でした)
*その時の記事がこちらになります↓
つまり娘は栗原さんと同じで、以前の診断名ですと「ADD」に相当する状況のようです。
そうか、だからいくら勉強しても覚えられなくて成績が上がらないのでしょうか
今までは「怠け者で勉強しない(できない)から成績が悪い」のだと思い込んでおりましたが、実は 「いくら勉強しても無理」 なのでしょうか・・・
ただ、一緒に受けましたWAIS-Ⅲという検査では、短期記憶をあらわす「作動記憶(ワーキングメモリー;WM)」のIQは140で、問題ありませんでした。
また、これまでも何度か書かせていただきましたように、一夜漬けに近い勉強で対応できていた大学中学年の頃までは、成績優秀者として表彰されるほどの結果を修めておりました。
*WAIS-Ⅲの結果はこちらになります↓
これらを総合的に考えますと、娘は
「いったんは覚えられるけれど、その記憶を保持できない」
あるいは
「整理して系統立てて覚えられないので、試験の時に知識を適切にアウトプットできない」
という可能性があるのでは・・・
以前のことですが、コメント欄からもそのようなことを教えていただいたことがあります。
(*その節はどうもありがとうございました)
おそらくWM(ワーキングメモリー、作動記憶)では評価することのできない中期~長期の記憶障害で困っておられる方は、他にもたくさんおられるのかもしれません。
つまり娘の場合、まるっきり覚えられないわけではないから、たとえば8割覚えれば試験本番では何とか6-7割くらい残っている(アウトプットできる)としたら、9割覚えればギリギリ合格ラインの7割にたどりつくことは可能なのでしょうか・・・?
いやいや、現実はそんなに甘くない・・・?
今年が、これまでで一番点数が良かったのは、確かだと思います。
個別指導の先生も「今年は絶対合格できる」とおっしゃって下さっていたと、娘は申しておりました。
(*そのため先生の方がショックを受けておられるらしく・・・申し訳ないです)
だからこそ来年、もし今年より成績が下がるようであれば、その時には私も娘もようやく
「ここまでが限界」
と受けとめられるようになれそうだな・・・という心境になりました。
これは進歩です。
着々と挫折に向かっての心の準備が整いつつあるという意味で
ま、人生とはこんなもんですね