表紙の笑顔がウソくさくて素敵なチャンス大城さんの「僕の心臓は右にある」を読んだ。本作が「チャンス大城」ではなく「大城文章」の名義(本名)なのは、芸人としてではなく、ありのままの自分をさらけ出して自身の半生を綴ったという意思の表れだろう。知らんけど。
さておき本作は、心臓手術を受け、大変な状況から生還するまでを綴った感動のノンフィクションかと思ったのだが、全く違った。ネットで調べてみると、心臓が右にあっても問題はないという。ちなみに心臓が右にある人は5000人に1人で結構レアな人種である。
キャラの濃い両親のもと、尼崎で生まれ育ったチャンスさんが綴るのは、貧富の差が激しく治安の悪かったといわれるこの街ならでは(?)の話。たとえば学生時代に受けたいじめの話やクセの強いクラスメイトの話、あと上京した頃の話など。チャンスさん自身も面白いし、チャンスさんが出会った面々も突飛で面白かった。
以前、バラエティ番組で披露した話が多く収録されているけれど、文章として読んでもやっぱり笑える。また面白エピソードがたまったら、もう一冊出して欲しい。