吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』 | 信州読書会

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吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を読んだ。

 

中学生向けの読み物なので、すぐに読める。

 

 

 

 

現在漫画化されてベストセラーになっている。

 

 

 

 

15歳の多感な少年 コペル君と友だちとの群像劇

 

そして、叔父さんのこころの交流が描かれている。

 

学問とは何か? 人間とは何か? が問われている話だった。

 

 

 

私は大人になってから読んだので、叔父さんの立場に感情移入して

 

読んでしまった。

 

 

「どう生きるか?」は個人の問題だ。

 

問いかけることはできても、答えは出してあげられない。

 

 

世の中の矛盾に気がついて悩むコペル君にたいして

 

叔父さんが、丁寧に考えるための材料を提供してあげて

 

(その材料が魅力的である)

 

語りかけていたのが印象的だった。

 

 

私は、思春期の頃、ドロップ・アウトしたような作家の作品ばかり読んで、

 

結局、人とは違ったかたちで生きていく道を選んでしまったので、

 

誰かに「君はどう生きるか」と問われても、「なにをいまさら…」と思ってしまう。

 

 

15歳になれば、世の中の矛盾に対して、やるせなさと、

 

怒りを感じるものだ。

 

 

コペル君も、世の中の矛盾に対して、怒りはじめているのだ。

 

そうやって、矛盾のためにたたかって、戦後70年。

 

あれから70年。朝日・岩波文化のリベラルの70年。

 

大人が読み直して反省すべき本だよなあ。

 

 

「どう生きるか」という問題を設定して、自分で解決していく能力

 

これが、今の若者に、求められている能力だという。

 

 

 

だが、敷かれたレールで、答えのある問題だけ解いて

 

それなりの人生をおくれる時代のほうが、楽に決まっている。

 

 

多くの人は、答えのある問題を解くだけの人生を求めてきた。

 

答えの出ない問題なんて、取り組んできた大人が

 

戦後70年、いったい何人いたのだろう。

 

どっかで妥協して、黙っているのではないか?

 

この20年余りの格差の拡大は、答えの出ない問題だろう。

 

 

 

しかし、矛盾から目をそらす態度は

 

良心がとがめるので、やがて口先だけもっともらしいことを言って

 

屁の役にも立たない偽善的な小市民となる。

 

 

「アブラゲ」とあだ名されて、いじめられる浦川くんのエピソードがある。

 

大人の社会の矛盾が、子どものなかに現れる話だ。

 

いまの、クラスにも浦川くんはゴロゴロいるだろう。

 

北見くんは、あんまりいないだろうが。

 

 

この作品を読んで、夏目漱石の『坊っちゃん』のことをふと思った。

 

コペルくんは、坊っちゃんのようになるのだろうか?

 

ならないだろうなあ。

 

 

大学に進学して、『三四郎』の広田先生みたいな人にあって

 

「露悪と偽善」を教えられるんだろうなあ。

 

美禰子みたいな女性に恋して「ストレイシープ!」とかいわれちゃって。

 

 

そして、やがて、比較的安定したかたちで生きていくんだろうなあ。

 

一生、もやもやを抱えて生きていくだろうなあ。

 

 

いやだなあ、そんな人生。

 

でも、人生しがらみだらけだしなあ。

 

 

『(卑怯や臆病を抱えて)君はどう生きるのか』

 

( )の部分が、隠れたテーマだと思った。

 

 

リベラル万歳! 本物の自由を今こそ我等の手に! やけくそだ!

 

(おわり)

 

 

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