私が好きなNHKの番組に「グレートレース」シリーズがあります。
内容はというと、過酷な超長距離レースのドキュメンタリーになっており、南米からヨーロッパまでいろんなレース、ランナーの紹介をしている番組です。
今回の放送はハワイでの山岳250kmレース
天国の島で地獄の6日間という内容でした。
コースはこんな感じ、火山地帯も通ります。
単純に250kmを6で割ってもフルマラソンを超える距離です。
フルマラソンを6日連続、しかも山道。
それをランナー達は可能な限り文字通り「走破」していくのです。
順位にかかわらず、どのランナーも超人にしか見えません。
これだけの過酷なレースなのに賞金はゼロ。
それぞれのランナーはそれぞれの目標を持ち、その達成感を賞品として走るのです。
今まで何回も放送されているのですが、この番組スタッフは本当に構成がうまく、毎回レースごとにドラマを入れてきます。
今回のレースは
①13戦11勝のガルシア選手と対山岳得意の新星フロリアン選手のトップ争い
②3位入賞を目指す日本人の若岡選手とイタリアのルイージ選手のデッドヒート
③白血病にも負けずサンダルで完走を目指すイギリスのジュリアン選手
にスポットをあてています。
競技的には①を追いかけていますが、番組的に力が入っていたのは②の方で、今回3位入賞を目標としている若岡選手は、かつて別のレースで3位に入れるポジションにいたにもかかわらず、最終日に失速しわずか数十秒差で4位に落ちてしまったことに対し、今回は絶対に3位以内に入るという強い意気込みでレースに臨んでいます。
ですが4日目を終えた時点で、若岡選手と同じく「3位」という順位を明確に目標にしているルイージ選手の差はわずか17秒。
このシリーズを見ているとわかるのですが、順位争いをしている選手同士は互いに極限状態にあるため心理戦まで繰り広げながら「少しでも相手を出し抜こう」というシーンはザラにあるのですが、この2人は見ていて本当に気持ちがいい闘いを続けていきます。
5日目のスタート前にルイージ選手が若岡選手にかけた言葉
「君が勝っても文句ないし、僕が勝てたらハッピーだ、今日も頑張ろう。」
これで燃えないわけがありません。
若岡選手もレースの途中で
「一人じゃゴールできなかった」
「ルイージがいてくれて良かった」
と返します。
結局この二人は最終日の6日まで文字通り抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていきます。
闘いの中で友情が芽生える、というのは漫画では良くありますが、実際のスポーツだと互いの健闘を称えあうというのはぶっちゃけ社交辞令が多かろうと思います。
ですがこの二人の間には、ルイージ選手のコメント
「お互い全力で戦っているから仲間になったような気分だ」
の気持ちがあることがよく伝わってきました。
本当にカッコ良かったです。
そして③の白血病を抱えながらサンダルで走るジュリアン選手。
優勝を狙えるポジションではないのですが、懸命な走りを見せてくれます。
走りながらNHKスタッフがインタビューするのですが
「白血病になっても人生がおわるわけじゃない」
「同じ病気の人を勇気づけるためにも私は走りきりたいんだ」
というコメントは「もし自分だったらこんな風に立ち向かえるだろうか」と重く聞こえました。
また最も厳しい4日目、ハワイなのに気温が5℃の真夜中、という中でジュリアン選手は疲労と寒さで足元の感覚も無い中転倒します。
これが4日目のコース、77kmで1200mの高低差!
そんな中でもジュリアン選手は落ち着きながら
「自分の力でここまで来られた」
「ライトを消して暗闇を楽しもう」
「満天の星だ」
「ここに来られて本当に幸せだ」
と言い残しゴールに向かいます。
私は〇時間マラソンなんかには微塵も感動しないタチなのですが、このジュリアン選手の言動・困難に立ち向かう姿勢、全てに「(ハードル超高いけど)できれば自分もこうありたい」と深く感銘を受けました。
今後も再放送があるようですのでレース結果は伏せますが、やたらショーアップする民放ではなく、ずっとNHKで追いかけてほしい、そんな番組です。
この番組、最後はトレーニングする若岡選手のインタビューで締めくくられます。
「限界までやったなって思ったんですけど」
「まだやれたなって」
「もっと上を目指したい」
250km6日で走らないと見えない限界って…。脱帽です。![]()

