ゆうきまさみの32年ぶりとなるパトレイバー新作読み切りがビッグコミックスピリッツに掲載されている、という情報を昼休みに見ていたエックスで知ったので、いざ購買と年甲斐もなくワクワクしながら帰宅途中の本屋に寄ったのだけれど、なんとこれが何処も売り切れ。
梅田および最寄り駅の大型書店を都合5店舗ほどまわりつつ、目に着いたコンビニにも手当たり次第よってみたにも関わらず、軒並み全滅。令和の世にもなって週刊誌難民とはこれ如何に、と思いつつも週間漫画という媒体の性質上重版などあり得ないので、泣く泣く電子版を購入することにした。
で、その感想についてなのだが、できるだけ内容には触れないでおこうと思う中で一つだけネタバレを言わせてもらうと、この話の主人公は2026現在の後藤隊長であり、作中のセリフから後藤隊長のリアルな年齢も推測できるのだけれど、これがまあ本当にリアルに老けましたなあという風貌になっている。
後藤隊長のイメージと言えば、どちらかといえばアクの強いナイスミドルな感じだと思うのだが、この後藤隊長はアクどころか脂も抜け切った感じで、間違ってもジョセフ・ジョースター的にはなっていない。もっとも正確な年齢で考えるとそりゃあそうだよね、なのだけれども。
作者であるゆうきまさみの最新作は北条早雲の半生を描いた「新九郎、奔る!」であるが、早雲の幼少期から青年期、それ以降の何十年という大河ドラマ的人生を描いているだけあって、当然早雲以外の登場人物も皆相応に年をとっていくのだけれど、それぞれの登場人物が経験してきた人生の艱難辛苦とやらが刻み込まれた風貌に変わっていく様も上手に描かれている。
そんなゆうきまさみの画力の凄さには本当に驚かされるのだけれども、人生を刻み込んだ加齢を表現できるあれだけの画力を持って、年を取った後藤隊長がああいった風貌になったというのは、後藤隊長はあの後一体どんな人生だったのかといろいろ想像が膨らむのもまた楽しいところだ。
この読み切りでは、後藤隊長以外にあんな人やこんな人も出てきて、短いセリフの中でも後藤隊長とのその後の関係性や、その後のキャリアがよみとれるあたりなど、そういったゆうきまさみの話づくりのうまさには本当に感動するしかない。
それほど長くはない読み切りでありながら、良きと思った点はいくらでもあるのだけれど、30年前に追い越してしまった近未来のお話であるパトレイバーというフィクションを、2026年というリアルな今に据えることで、あの頃の彼らは我々と同じ時間を過ごし、今もこの世界の何処かに実在している、と錯覚してしまうような話をこの短編の中で今でもさらりと書けてしまう、ゆうきまさみの発想、感性の鋭さ。本当一番すごいのはそこなんよなと私は思っている。
現在公開中のパトレイバーEZYは、2032年が舞台らしいので、この読み切りは多分前日譚に当たるのだろうけれど、映画の方は近々観に行くつもりなので、この読み切りとどういった繋がりがあるのかも含めて楽しみたいと思っている。
