ニュースで拝見している中国やベトナム方面では巨大台風まで発達した [ 台風11号(ヤギ)] による豪雨と強風によって大きな被害を受けているという。著しく進み続ける地球温暖化の影響であろうと思うが、これを機会にぜひ東南アジア諸国や中国あたりでも積極的に地球温暖化阻止・海洋汚染防止・地球環境保全に気持ちを向けてほしい。

 

一方、長野市では今年、山間部を除き降雨が少ない。台風10号の数日前には湿った大気が流れ込んだ影響で、物凄い雷雨になった日があっただけで、台風10号が通過してゆく際にも降雨はほとんど無く、現在でも庭の土は乾ききっている。

 

特に庭の車庫の屋根下に植えたジエビネなどは、大株に育っているうちの一部に枯死したバルブが出てきた。以前から車庫の屋根下には降雨があたらないため、そこに植えてあったツツジも枯死する方へと進んできた。これを庭木の手入れに呼んだ庭師が

[ これは植物の病気です。しっかりと消毒をしないとダメですよ ]

とアドバイスしていったが、その瞬間に [ この庭師は植物について何も理解していない ] と私は察した。

 

確認の意味もあってジエビネやギボウシを植えて確認したところ、乾燥し過ぎて生理障害?を起こしていた。車庫の屋根下は土が乾燥し過ぎて、夕方に灌水しただけでは水分が足りずに葉が黄化してきて一目で何かしらの障害が起きている事が理解できた。だが、これを降雨があたる場所や自宅北側へ移植すると、しばらく経つときれいな緑色が回復して健全株に復活を遂げていた。

 

ジエビネやギボウシは、冷涼な高原の高湿度な林床に繁茂している事がほとんどで、冬季以外には木陰になってしまいほとんど直射日光が当たらない。だが車庫の屋根下は日照条件は自生地とほぼ同じだが、地中の水分量が少な過ぎた。高湿度でわずかに湿り気を帯びた地面に生えるジエビネやギボウシには車庫の屋根下の環境は耐えられないようだ。同場所にはハナバチの仲間が花に群がるラムズイヤーというシソ科の植物も植えてあるのだが、やはり同じような現象が起きていた。

 

ちなみに冬を迎える頃には周囲の樹々が水を吸い上げなくなるので地面に湿り気を帯び始め、降雪によって充分に水分を蓄えて春になった頃には車庫の屋根下に植えてあるジエビネも本来の葉色を戻していた。

 

そう、今年はそんな車庫の屋根下に植えてある植物たちが [ 植物の病気ではなかった ] ことを確認できた。庭師などは毎日のように庭植えの木々に触れているのだから、自宅庭をお願いした庭師ももう少し植物をしっかりと観察できる観察眼をもってほしいものだ。以前にお願いして秋に枝葉の整理をお願いした人の場合には、庭師として仕事をしているにもかかわらず、枝先付近に翌春に開花する花芽があるのにもかかわらず柿とドウダンツツジを剪定したものだから、それゆえに翌春に柿とドウダンツツジは全く開花しなかった。気を付けてほしいものだ。

連日続いている 50匹ほどのオオスズメバチの襲撃。日によっては80匹ほどになったり100匹を超えた数で集団攻撃してくる事から、既に見つけてある蜂場直近にあるオオスズメバチの巣のほかに複数のオオスズメバチの巣から襲撃に来ているようなので、本日の蜂場パトロールに出向いた時にオオスズメバチを餌付けして追跡してみた。

 

基本的に蜂場から蜜蜂の肉団子を持って帰巣してゆくオオスズメバチは同じ方向へ飛んで行った事から、発見してある巣のその更に先に別のオオスズメバチの巣があるように思えてならないため、帰巣してゆく方向へ 600mほど行ったところに生えているクヌギの樹液を吸汁していたオオスズメバチを餌付けして飛ばしてみた。

 

このクヌギの木は毎年樹液が出てカブトムシやクワガタ、オオスズメバチ、チャイロスズメバチ、モンスズメバチが吸汁している好都合な木で、先日に手斧で幹にキズを付けておいたところ樹液が分泌されて5匹ほどのオオスズメバチで占拠していた。これを餌付けして吹き流し状目印をオオスズメバチの腰に取り付けて飛ばしたところ、何と目の前20mにある藪に飛び込んだ。

 

外勤蜂はアブラゼミような立派な働き蜂で構成されており、地下にある巣の大きさがうかがえた。私の蜂場からわずか600mにこんなに大きなオオスズメバチの巣があったのでは、当然ながら強力な集団攻撃が続く事になる。しかしながら [ 連日の集団攻撃 ] となると、それは更に数個の別な大きなオオスズメバチの巣が近くに営巣していることを意味している。今年のオオスズメバチは営巣数が多く、しかも営巣規模が大きな蜂群が多くて集団攻撃がとても強力だ。

・・・と嘆きつつも、スズメバチ愛好家の私は複数の大きなオオスズメバチの巣の存在に喜んでいる。

 

この巣は、クヌギの幹にキズを付けに来た時には巣の存在に全く気付かなかった。樹液が止まっていてオオスズメバチはクヌギにいなかったし、外勤しに出巣したオオスズメバチは木の上へ向かって垂直に飛び上がってから飛んで行っていたので見えなかったからだ。もっとも、クヌギの幹にキズを付けに行ったのは1カ月前の事なので、本日までにオオスズメバチの巣が大きく成長して成蜂も随分と増加していたのであろう。

 

蜂場の直近に見つけてあるオオスズメバチの巣も本日に観察に出かけると、それまで集団攻撃を繰り返して減少させていた働き蜂成蜂数が羽化出房による補充によってある程度は復活したようで、本日見るとそこそこの頻度で巣門から通っていた。

 

だが、9月末近くになると雄蜂の羽化出房が始まり、その時点で働き蜂の羽化出房は無くなる。よって9月末か10月初めあたりからは新たな働き蜂成蜂は補充されることが無くなるため、オオスズメバチ蜂群内に存在する働き蜂成蜂数は減少の一途をたどる事になる。そう、今日現在、[ 既に今年の働き蜂を生産するための産卵は終了した ] という事だ。巣内に現存する働き蜂蜂児が羽化出房した時点で、今年の働き蜂の生産は終了となる。

( 西洋蜜蜂蜂場 )

 

西洋蜜蜂をダニ被害で痛めてしまったが、ようやくここまで蜂場が復活した。7月に小群に人工分蜂後、ようやく蜂量が増えてきたところだ。本日あたりから本格的にアレチウリ超大量流蜜が始まったようで、蜂場は騒々しいほどに蜜蜂が飛び交っている。

 

そんな蜂場には連日、50匹を超えるオオスズメバチの集団攻撃が起き続けており、私の蜂場ではオオスズメバチが多過ぎて秋の蜂群管理には気が抜けない。今朝も見回りに行った時点で既にオオスズメバチ40匹による集団攻撃が起きていた。その後に本日は蜂場に行っていないが、おそらく同じくらいの数で午後には再び集団攻撃が起きていたはずだ。

 

赤矢印がシャベルを示している。このシャベルで蜂場を囲む電気柵の外側に穴を掘り、そこへダニ駆除のために切り出した雄蜂児を埋めている。本来であれば熊がやって来て掘り返して食べるようなことが無いように電気柵の内側に埋めるべきだが、電気柵で囲った敷地に満杯に巣箱を設置しているので、雄蜂児を埋める場所が無い。

 

ちなみに日本蜜蜂の場合には、分蜂行動に先だって大量に作られる雄蜂児を切除している。これは雄蜂と同色で見つけにくい未交尾新女王を発見しやすくするための措置で、日本蜜蜂蜂場は熊が多い(本日すぐ近くにも熊が出没した)高原にあるため、切り出した雄蜂児は電気柵の内側に埋めている。上空にハチクマが飛来して [ ピィーーーッ ] と声をかけてくる場合には、電気柵の内側の地上に切り出した雄蜂児巣盤を置いてハチクマに食べさせている。

 

( 日本蜜蜂蜂場 )

 

西洋蜜蜂蜂場も日本蜜蜂蜂場も、偶然にして巣門を南に向けている。これと隣り合う巣箱では巣門を北側に向け、このようにして帰巣蜂が列を間違えて帰巣した場合にそこには巣門は無く、元も巣箱へ戻れるようにしている。また、これにより蜂場面積を狭くする事ができる。西洋蜜蜂蜂場では、3列あるうちの最後列が巣門を真北へ向けている。

 

養蜂家の多くが [ 巣門を北側へ向けることは蜜蜂にとって良くない ] と考えており、養蜂解説書などでも [ 巣門は南か東、または西へ向けること ] と書かれている。だが実際には、私のように巣門を真北に向けて飼育しても、まったく影響が無く健康に蜜蜂は育ってくれる。養蜂の世界は現在に至っても誤った情報がとても多いのが実情だ。

 

実は私のように列ごとに巣門の向きを正反対にするなど工夫すると、自身の巣箱を離れ、角にある巣箱や目立つ巣箱に集まり入ってゆき、そこの家族になってしまう [ 蜜蜂の偏り(寄り蜂現象)] が起きず、蜜蜂の飼養上とても都合が良い。そのほかにも様々な利点があって、列ごとに巣門の向きを変えたり、隣り合う巣箱どうしで異なった巣門の向きにして飼育すると、 [ 蜜蜂の偏り(寄り蜂現象)] が起きないため各蜂群がとても健康に育ってくれる。

 

参考までにだが、同じ方向へ巣門を向けて複数列巣箱を設置した場合には、ドンドンと前列に働き蜂が寄り付いてしまって、最後列の巣箱には成蜂が少なめになってしまう事がある。特に薬害を受ける地域でこの蜜蜂の偏り(寄り蜂現象)が起きると、成蜂が抜け出ていかれてしまった蜂群では成蜂量が少な過ぎてチョーク病を発症する事がある。また、成蜂が寄り付いて4段や5段になった蜂群では、不意に自然分蜂が起きて蜂群が出て行ってしまう事がある。また、蜂が寄り付く位置に設置した蜂群は、蜂病群や不良女王群であってもドンドンと蜂が寄り付いて蜂群規模が大きくなるので、蜂病や不良女王に気付けない事が起きてくる。

 

この寄り蜂現象は、列にして蜂群を置いた場合のほか、森の中に巣箱を置いた場合にも起きてくる。このブログ閲覧者の皆さんも [ 蜜蜂の偏り(寄り蜂現象)] には充分にご注意いただきたい。

 

久しぶりに日本蜜蜂を内検してきた。

近年は日本蜜蜂を高原にある友人の蜂場に居候して置いているので、どうしてもモロコシ雄花への殺虫剤噴霧の影響を受けてしまう。例年だと薬害は軽微だが今夏の薬害はやや強めであり、時々内検しながら不安視していた。

 

現在はモロコシの生産期が間もなく終わるため、既にモロコシは開花していない。そんなタイミングである昨日に内検に行くと、やはり薬害が無くなって日本蜜蜂蜂群がとても健康になっていた。ただし、薬害で成蜂数を削られ続けていたため蜂群規模は人工分蜂時からほとんど成長していなかった。薬害を受けて働き蜂を削られ続けると、どうしてもスムシ幼虫により蜂児を食い荒らされてしまう。このスムシ幼虫による食害でも働き蜂数が削られてしまうので、今夏の私の日本蜜蜂たちは随分と苦労した事であろう。

 

この蜂場から1㎞ほどにある西洋蜜蜂蜂場では、モロコシの開花が始まる [ 7月1日 ] には毎年蜂群を下界に降ろしている。仮にこの日以降にも高原の蜂場にて飼育を続行した場合には、蜂友の飼育する西洋蜜蜂30群の多くは薬害によって全滅してしまっていた。今夏のモロコシ畑による薬害から考えて、来年からは過去と同様にモロコシの開花が始まる [ 7月1日 ] にはモロコシ栽培が少ない下界(長野市平野部)にある私の蜂場へ日本蜜蜂を降ろそうと思う。過去にはそのようにして薬害を受けないようにしていた。

 

ところが夏季に下界へ日本蜜蜂を降ろすと、今度は [ 猛暑被害 ] が待っている。地球温暖化が顕著になり出す以前の2015年頃までならばそれほど高気温にならなかったので問題は無いが、ここ数年は夏季の最高気温が [ 36℃ ] とか [ 37℃ ] あるいは [ 38℃ ] というような [ 命の危険 ] を感じるような猛暑日が存在する。このような気温になってしまうと西洋蜜蜂は普通に飼育ぞこう可能だが、刺激に対して敏感に反応する日本蜜蜂は逃去行動を起こすようになるし、特に日本蜜蜂の場合には熱波の影響で蜜蝋でできている巣盤は軟らかくなって、蜂児や成蜂、貯蜜の重さを支えきれずに [ 巣落ち ] してしまう(ちなみに私の日本蜜蜂はラングストロス巣枠式で飼育しているため巣落ちは起きない)。

 

そんな猛暑日が連続するようになる以前の時代であっても長野市平野部の蜂場では、私は夏季には日本蜜蜂飼育箱の蓋を半開きにして、中にある巣枠が見える状態になるが換気効率を大幅に上昇させて飼育してきた。そして本格的なオオスズメバチ襲撃期に入る9月になると、半開きにしていた巣箱天面にある蓋を閉じてオオスズメバチ被蓋を受けないようにしていた。

 

ところが近年は地球温暖化が進み過ぎ、天蓋を開けて飼育したとしても熱波には対応できなくなってきている。それゆえに燦燦と冷気が降ってくる森の中で飼育する事になるが、それでも日本蜜蜂が耐えられる気温まで下がってくれるかは不透明だ。

 

このあたりについて、お墓の中や生木の中に営巣した日本蜜蜂などは常に冷却が効いているので営巣しやすいはずで、そのような環境に営巣した日本蜜蜂たちは猛暑の中にあっても安定した健全営巣を続けている。

 

[ 地球温暖化による猛暑を回避するため高原へ日本蜜蜂を転飼 ] をとるのか、それとも [ 薬害回避のためある程度の猛暑を覚悟の上、夏季に高原から長野市平野部へ日本蜜蜂を転飼(巣箱移動)] させるのか。来年からはこの究極の選択をしなければならなくなるようだ。

 

現在の高原蜂場ではソバ花期を迎えており、巣箱の蓋を開けると馬糞臭に似たソバ花の臭気が鼻を突く。それでもソバ花流蜜によって巣内の貯蜜は春まで充分にもつ量に達していた。

 

そんな高原では、地球温暖化以前であれば [ 9月15~30日 ] には育児が巣内から消えて越冬体制に入っていたものだ。近年は地球温暖化が著しく秋になっても高気温気味だが、それでもこのまま高原蜂場に日本蜜蜂を置き続けた場合には10月初めには育児が消えて越冬体制に入る事になる。

 

写真の蜂群も既に育児量が減少を始めており、蜂球も圧縮気味になっていて越冬体制に向かいつつある。だが数日後には家畜保健所による蜂病検査を受け、その合格書類を添えて暖地にある蜜蜂研究施設へ日本蜜蜂をお持ちするので、ここでセイタカアワダチソウ花期によって育児再開となるはずだ。

 

そう、冷涼な地域や高原では日本蜜蜂や西洋蜜蜂の越冬期突入が目前に迫ってきている。

先日の朝9時頃、西洋蜜蜂蜂場へ向かうと上空にオオスズメバチ数匹が旋回していた。既にオオスズメバチの襲撃期の最盛期に入っているので

[ 幾らか西洋蜜蜂を襲撃しているな ]

と予想し、身支度をして蜂場に入った途端に言葉を失った。

 

私の西洋蜜蜂蜂場は北東の角から蜂場に入るようになっている。そしたらその角にある西洋蜜蜂巣箱とその隣の巣箱を大量のオオスズメバチが襲撃していた。粘着紙に接着したものやスズメバチ捕獲器に入ったものを含め数えると、最終的にオオスズメバチ約 130匹による襲撃だった事が判った。

 

さすがにオオスズメバチ 130匹による襲撃というのは強力で、襲撃中のオオスズメバチを処理したくてもすぐには近寄れなかった。なぜなら 50匹ものオオスズメバチが 2つの巣箱周りを飛び回っており、離れている私にも威嚇してくるほどだったからだ。それにオオスズメバチの巣を捕獲に向かう時とは異なり、蜜蜂の手入れに向かう時には防護服など携帯していない。私の場合には蜜蜂の手入れの時には、現在のように夏季~初秋の時期には上半身に Yシャツ様の透けて見えるほど薄い作業服1枚を着ているだけで、蜜蜂用防護服のようなものは一切着用しないし携帯もしていない。それゆえに 50匹ものオオスズメバチが蜂場内を飛び回っている蜂場の中には入って行けなかった。

 

実はこの時、総勢 130匹のオオスズメバチは2つの西洋蜜蜂の蜂群(巣箱)を襲撃しているだけではなかったのである。2つの蜜蜂の巣箱の巣門前にて、オオスズバチ同士で大喧嘩をしていたのだった。オオスズメバチ同士が互いに追いかけ回し合い、空中で抱き合うようにしてつかみ合い、そのまま地面に落下してそこでも刺し合い、噛み合いの大喧嘩を繰り返していたのだった。まさにオオスズメバチの巣を麻酔をかける事なくそのまま捕獲している時のような光景であり、防護服の持ち合わせが無かったものだから恐ろしくて近づけなかった。

 

それでもそのまま放置したのでは西洋蜜蜂2群が全滅してしまうので、蜂道具箱に常備している粘着紙を2枚取り出してきて蜂場内にある板を2枚どうにか取って来てここへ取り付けた。木を切って直径4cmほどの木の棒を作り、この棒で地面に置いた粘着紙・板を襲撃中の蜜蜂2群の巣門付近へ滑らせ押していった。

 

10分ほどで多くのオオスズメバチがスズメバチ捕獲器に入ったり粘着紙に接着したので、すぐに普通に蜂場内へ入れるようになった。用事があったのでそのまま放置し、オオスズメバチ襲撃の処理をするために5時間後に蜂場へ戻ると、今度は別の蜂群にオオスズメバチが群がって襲撃していた。それでも多くの襲撃蜂を捕獲した後で再び起きた襲撃なので襲撃蜂数は少なかった・・・が、被害は大きかった(涙)

 

この1件で、先人のプロ養蜂家が秋にこの地区に西洋蜜蜂を設置しない理由がとてもよく理解できた。だがスズメバチ愛好家の私としては別に動じることは無く、それはそれでこれまで見たことが無かったオオスズメバチの一面を観察できて勉強になった。

 

今回は、同時に2巣~3巣のオオスズバチの巣から大量に襲撃蜂がやってきたため、巣門前にて大喧嘩になっていたようだ。もっとも、オオスズメバチが仲間を呼ぶ際に使用する [ 餌場マークフェロモン(ファンデルフェヒト腺フェロモン)] は、同じオオスズメバチならば別群同士であっても同じように誘引されてきてしまうので、近距離に複数のオオスズメバチの巣があると今回のような事が起きやすいと考えられる。

 

同じような現象を紹介すると、同一蜂場内に複数の西洋蜜蜂をしくしている場合に、一つの蜂群が分蜂行動を開始すると他の蜂群が一緒に分蜂行動を開始する事がある。また、このような時に巣を出て蜂場の上空を飛行中の分蜂群が他巣の分蜂群と自然合同してしまう事が起きてくる。しかしながら女王蜂は分蜂球の中で殺し合いをしたり他群の働き蜂から攻撃を受けるので、全女王が死亡して [ 出戻り分蜂 ] になる事も起きてくる。蜜蜂の場合には [ ナサノフ腺フェロモン ] が集合フェロモンとして働くが、蜂群が異なってもナサノフ腺フェロモンは同じように作用するのでこのような事が起きる。

 

ちなみにスズメバチの仲間にある [ ファンデルフェフィト腺 ] と西洋蜜蜂・日本蜜蜂にある [ ナサノフ腺 ] は、いずれも尾部先端から数えて一つ目の体節にあるが、フェンデルフェヒト腺は下側にあり、ナサノフ腺は背面側にあるという違いがある。下側と背面のように幾らか分泌腺の場所は異なるが、同一の体節にあるのでもともとは同じ器官から進化した分泌腺なのであろうと私は予想している。

 

ちなみに襲撃された 3群は無事だったが、外勤蜂など威勢の良い蜂をある程度の数で噛み殺されてしまった。だが巣内にはまだ多くの成蜂が存在し、蜂児量も大量に抱えているので問題は起きなかった。加えて大量の貯蜜を貯め込んでいるので、ちょうどアレチウリ超大量流蜜が明後日あたりにも始まる時期であるため、越冬貯蜜量への不安も不要だ。

 

オオスズメバチの襲撃について

[ 弱い蜂群が狙われて集団攻撃を受けやすい ]

という言い方をしている養蜂家がとても多い事に驚く。確かにそのような話を耳にするとそのまま納得してしまいそうな話だが、実はオオスズメバチが集団攻撃目標にする西洋蜜蜂蜂群は、蜂群規模の大小(強群弱群の別)とは無関係であり、蜂場に吹いた風の最も風下にある蜂群や蜂場内にあるクヌギやケヤキなどの目立つ木の横にある蜂群、複数列並べて蜂群を設置している場合には外側の角あたりにある蜂群などが狙われやすい。また、巣箱位置の特徴にかかわらず、たった1匹のオオスズメバチがファンデルフェヒト腺フェロモンを塗布した時点で、直後からフェロモン塗布した巣箱が集団攻撃目標になったりしている。ただ、小群過ぎたり蜂病で調子を崩している蜂群では貯蜜が発酵していることがあり、このような場合には最初からその発酵臭がオオスズメバチを誘引しやすいなどの条件になってしまっている。