★★ いまさらですが、この記事のプロローグ的なお話が
『4月23日の独り言&かずくん』の後半に書いてあります。
考えてみたら、それを読まないと、このあとまったく意味不明になることにさっき気がつきました。
なんてバカなの(T▽T;)。 ほんと、今更なんですがとりあえずお知らせしておきます ★★
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
「おれは、泣いていたよ…」
かずが驚いたように目をパチパチ瞬いて、俯いたおれの顔を覗きこむ。
「…泣いて…、たの?」
大人なのに? って顔してるけど、涙流してワンワン泣いてたワケじゃない。
「そう、心でね」
キシキシと軋む胸を、ずっと抱えていた。
『宇宙堂』の優しい腕(かいな)に抱かれ、何もせず、何も望まず、過ぎ去る季節を淡々と見送っていた。
恋い焦がれた煌めく星空も、生命(いのち)溢れる緑の風も、空っぽな体をただ通り過ぎていった。
「今も泣いてるの?」
ふ…と、遠くを見つめてしまったおれの胸に左手を当てて、尚も顔を寄せてくる。
透き通った薄茶の瞳の上の、ふわふわの眉を寄せて。
「…どう見える?」
問い返せば、
「幸せそうに見えるけど…」
と、小首を傾げた不安顔。
「あたり♡」
「よかった♡」
おれの返事にようやく眉根が解けて、にっこり笑ってくれた。
キレイな曲線を描く桜色の唇が、胸をギュッと締め付ける。
そんな可愛い笑顔見せて。
触れずにはいられないよ…
「来て…」
腰 に 両 手 を 回 して抱き寄せ、脚を開かせて腿の上に座らせる。
「どうしたの?」
「ふふ、キスしてくれたら、もっと… 楽しいかな…って思って」
腿の厚みの分、おれよりも高い位置にある小さな顔を見上げる。
そのまま顔を寄せて、
ほんと…?
うん…
触れ合う寸前、吐息の言葉を交わして唇を重ねた。
小振りな後頭部を左手で押さえ、より深くより甘く…
春の終わり、少しだけ開いた窓から吹き込む桜色の風が、二人を優しく包む。
穏やかな静かな午後。
なのに、騒ぎ出すココロ。
抑えきれず、熱くなる素直なカラダ。
…すぐに、全部が欲しくなる。
かず、かず…
ギシ…
フルリと震える背中に、古いソファが苦し気な音を立てた。
は…あ…
長い キ ス のあと、外した唇を滑らせ、左の耳から首筋にかけて小さくちゅぅと食みながら移動する。
たどり着いた首筋に顔を埋めて、大好きな香りを鼻腔の奥に深く吸い込む。
「…かずの匂いがする…」
「…どんな?」
「…すごく、いい匂い…」
甘くて切なくて、胸の深いところに染み渡る不思議な香り。
「ぅふふ、くすぐったい」
おれの腿の上で、身を捩って喉の奥で小さく笑うかず。
その首筋に唇を押し当てる。
わずかな震えも感じたいから。
…うん、ちょっとヘンなヤツになってるっていう自覚は、ある…けど、
「…欲しくて堪らない…」
ココロそのままに吐息で囁けば、小さめなのど仏がコクリと上下して、おれの舌先をもっと悦ばせる。
さとし…
伝わったのはおれの名前。
温かい両手が切なげにおれの頬を包む。
見下ろす澄んだ瞳の奥に、チロリと色が灯って。
「さとし、シよ…」
艶めく掠れ声。
ダメだよ、こんな日が高いうちから…、
なんて、
抗えるワケがない。
「うん、シような…」
狭苦しいソファをギシリと降りて、その手を取って寝室に向かった。
続く。
長くなっちゃったので分けました(;^_^A。