カタツムリ  ータケルくん番外編3― | Blue in Blue fu-minのブログ〈☆嵐&大宮小説☆〉

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嵐、特に大野さんに溺れています。
「空へ、望む未来へ」は5人に演じて欲しいなと思って作った絆がテーマのストーリーです。
他に、BL、妄想、ファンタジー、色々あります(大宮メイン♡)
よろしかったらお寄りください☆






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もちろんおれはオトコとの経験なんて一度も無くて、

結構沢山いる過去の相手だって、全てオンナだった。


おっ、おおのさん…、あっ、ああ…


でも今、おれを受け止めて、おれを包み込んでいるのは、確実にオトコで。


こんな、ウルウルのタマンナイ目で見上げているけど、どう見てもオトコで。


んはぁ… くっ…

ぁ、あ… あっ、ぅぅん… ああっ…


初めてのはずなのに、感じたことのないようなとんでもないキモチ良さ。

揺れながらキスをして、その 喘 ぐ 声さえも呑み込んでしまいたくなるほど、カズの全部が欲しくなる。



ああ、もう、キそうだ…


大きく息を吐いて、柔らかい 腿 を 掴 み 限 界 まで広げ、欲 のままにカラダをぶつける。

朱に染まり、光を放つカズのカラダ。


カズ、カズ、っ、うっ…


蠢 く ナカがおれを捉えて掴んで捩じる。

こんな凶暴な攻めに耐えられるワケがない。


サ、トシ… っあぁ…


なのに目の前のカズはこんなにも 蕩 け て柔らかくて、ゆるゆる溶けてしまいそうな甘い声でおれを呼ぶ。

なんだ、このナカとソトのギャップは…



くっ… あっ、うっ…


あぁん、ああっ… ああ…



ふたり、多分同時に熱を放った。


朱色のカラダに飛び散った乳白の小花。


妖 し く 艶 や かで、なのに清廉な一枚の絵。


おれは、その絵を自分の両の目に深く強く焼き付けた。





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通り雨が上がり、午後の日差しが戻った明るい部屋。




「…あちぃな」


横向きに抱 き 合ったカズの肩越し、上半身を起こし左手を伸ばしてストーブを消す。


う…ぅん…


捩 れたカラダから小さく 漏 れる声。

白い肌の色に戻ったカラダを、タオルでそっと包む。


冷えた汗に貼りついた前髪を指でどかして額にそっと口づければ、ゆっくりと開いた瞳は午後の日差しを取り込んで、温かい飴色に輝いた。


……………


距離感ゼロで見つめ合うふたり。


言葉が、見つからない。


だって、何も知らない。


カズという名前で、公園で泣いていた… それだけ。


「…えと、…すごく、ヨかった」


なんて言葉だよ…。 直接的で元も子もない。


「:…ふふ、そう…?」


なのに、カズはにっこりと、嬉しそうに微笑んだ。


まるで、蕾がふわりと開いたようだ。


もっと、知りたい。


「なまえ、ちゃんと教えて? カズ…・」



「カズナリ、平和の和に也って書いてナリ」


「ヤ?」

「普通に読めばカズヤ…」

「…ああ、あの也…って、あっ!」

「ふふ、気付いた?」


少し前、世話になってる出版社から、担当が代わることを告げられた。


―― 来月から、二宮という者が担当になります。

―― ああ、あのメガネの女性?

―― あ、いえ、彼女ではなく、今度企画部から移動してくる二宮和也という若い男性です…


その時に、『カズヤ』ではなく『カズナリ』の件(くだり)の説明を受けた。


おれの大ファンで、本人のたっての希望で移動までしてきたと。


「そっか、だからおれのこと知ってたのか」

「そう、前から大野さんの絵が大好きで、ようやく逢えるって思ってたのに、全然 社に来てくれないし」


白い腕が首に絡まる。


「前に取材で、あのベンチのこと答えてたでしょ?」


甘い甘い声が耳に滑り込む。


「早く逢いたくて、話したくて、ずっと、待ってたの…」



あ…、ちょっと待って。

おれのが、また…


それに気付いてカズが頬を染める。


「大野さん、オトコのヒトとシたのは…」


「…初めてだった」


手取り 足取り (…ナニ取り…) 文字通り、カズの小さな手に導かれながら抱き合ったんだ。


もう一度抱き寄せて、なだらかな肩甲骨の膨らみを優しく撫でる。


「カズは…、ずっと、その、そう…、なのか?」


ふわふわの眉が、困ったように下がって、


「…僕は、小さいころからずっとそう」


瞳が横に流れて、唇がキュッと結ばれた。


「…なんで、泣いてた?」


「…………」



あ、しまった…


頬を両手で挟んで目を合わせる。


「泣くな! 笑えって…。笑ったのが、ずっといい」

「…お、おのさん…」


閉じた瞼。

細い筆先ですぅっと撫でた様に、キレイな曲線が白い肌に描かれる。


「…僕は、家を無くした」


端っこに溜まった涙の粒。


「帰る場所がどこにもない」


舌先で掬えば、そんなワケ無いのに甘くて…


「独りぼっちになっちゃった…」


肩は白く、冷たく…

震える声で呟くカズを、もう一度抱きしめる。



「それなら、ここに来ればいい」



なぜ、そんなことを言ってしまったのか分からない。



いくつ目だ?



出逢ってからカズに伝えてる言葉は、自分でも予測不能な言葉ばかりだ。




「ここを、お前の家にすればいい」




でも、その言葉はすんなりと自然に零れて、溢れて、ふたりを包む。





おれが、カズの家になるから…














つづく…。