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ところで、皆さんが初詣に出かける元旦に、天皇陛下は何をなさっているか知っていますか。実は、陛下は、午前5時30分から皇居内の特別な場所で祈りを捧げていらっしゃるのです(この行事を「四方拝(しほうはい)」と言います)。
陛下の祈りの言葉は毎年同じです。
定めにより祈りの言葉は決まっているのです。
孫引きで申し訳ないのですが、次のような言葉だそうです。
賊冦之中過度我身(賊冦の中、我が身を過し度せよ) ぞくこうしちゅうかどがしん 毒魔之中過度我身(毒魔の中、我が身を過し度せよ) どくましちゅうかどがしん 毒氣之中過度我身(毒氣の中、我が身を過し度せよ) どくけしちゅうかどがしん 毀厄之中過度我身(毀厄の中、我が身を過し度せよ) きやくしちゅうかどがしん 五急六害之中過度我身(五急六害の中、我が身を過し度せよ) ごきゅうろくがいしちゅうかどがしん 五兵六舌之中過度我身(五兵六舌の中、我が身を過し度せよ) ごへいろくぜつしちゅうかどがしん 厭魅之中過度我身(厭魅の中、我が身を過し度せよ) えんみしちゅうかどがしん 萬病除癒、所欲随心、急急如律令。 まんびょうじょゆ しょよくずいしん きゅうきゅうにょりつりょう (出典:『江家次第』(ごうけしだい、1111年(天永2)?、「SAS総合研究所」サイトより転載)
詳しい意味は分からなくてもいいのです。
注目してほしいのは、7回繰り返される太字部分。
「我が身を過し度せよ」とは、「我が身を通してからにしてください」という意味と言われています。
つまり、この長く難しい呪文の大意は「国家国民のありとあらゆる厄災(「やくさい」、ふりかかってくる不幸な出来事、わざわい)は、(国民が受ける前に)全て私を通り過ぎるようにしてください」ということなのです。
日本国民1億2千万人に降りかかる不幸を、まず我が身で引き受けようとの祈りを神に捧げていらっしゃる。この間、皇后陛下(当時)も宮邸の窓や戸を開け放ち、陛下の祈りが終わるのを身を慎んでお待ちになってきたのだとか。
四方拝の様子を想像してみる 四方拝 神嘉殿(しんかでん)の南庭に張り巡らされた屏風、その内に敷かれた畳の上で四方拝は行われた(出典:宮内庁書陵部) この四方拝という行事は、9世紀初めの嵯峨天皇の時代に始まったとされます。
応仁の乱による一時中断を経た後、1475年に再興され、現在まで脈々と続けられています。 実際に天皇陛下はどのように祈って下さっているのでしょう。山本雅人氏の『天皇陛下の全仕事』(講談社現代新書)によれば、 陛下は元旦の午前4時頃から準備を始め、午前5時半には宮中の神嘉殿(しんかでん)の前庭にお出ましになります。元旦の東京の日の出は午前6時50分頃、周りは暗く、厳しい寒さの中での祈りです。
屋根だけで吹き抜けの建物には、清潔な青畳が敷かれています。しんしんとした寒さが忍び寄ってくる中、正座の姿勢から立ち上がり、腰を折って深々と頭を下げながら正座にもどり、額が畳につくほどの深さで拝礼。この動作を2度繰り返した後、さらにもう2度同じ動作を繰り返す。何度も正座と拝礼を繰り返しながら、10柱もの神々に国家安泰と国民の幸せを祈ってくださるのです。 このようなご衣装で四方拝に臨まれるらしい(出典:宮内庁)
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ここより転載
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https://tevye53.com/172-shihouhai/
それぞれが祈り、祈られる国
心に描くものは、
平和で穏やかなこと、
そしてそれぞれがもらった命を慈しみ、真心を差し出し合う世界。
それを現していくのが生きること。
神への誓いは、自分への誓い
そして祖先の祈りは、
自分へ託された願い
神宮は私たちの心を、
聖なるものに戻してくれる。
この祭りと祈りが繰り返し行われる。
私達が知っても知らないでも、
祈り守られている。