不完全な日常 -7ページ目

不完全な日常

音楽、舞台、読書、散歩、放射線

 
「どうらく息子寄席」は、ビッグコミック・オリジナルに連載中の「どうらく息子」を下敷きにする落語会だ。

場所は、毎度お馴染みの深川江戸資料館のホール。



 



今回が、最終回。

「最終回って言うと、客が入る」という時蔵師の言葉通り、いつもより多くの客席が埋まっている。

やっぱり客席が埋まっている方が、景色が良い。

「どうらく息子寄席」は、新刊の発行に合わせて開催され、その巻で取り上げられているネタを演じるのがお約束になっている。

今回は、コミック第9巻のネタが取り上げられた。



平林  (一力)

弥次郎  (宮治)

初天神  (ぴっかり)

口入屋  (時蔵)

死神  (三三)



一力、上手くなったね。6月に、二つ目昇進だそうだ。

おめでとう。

でもね、背中を丸めるクセは、早くに直すようにしようね。



お目当ては、三三の「死神」。

三三が高座に上がると、客席のおっさんがやおら立ち上がって舞台の写真を取り始めた。

カメラに向かってポーズをとる三三。

おっさん、主催者側の人かと思ったら、板橋から来たただの客だよ。

出鼻をくじかれた三三だが、噺はお見事だった。



「死神」は、三三の師匠・小三治が得意としている。

小三治の「死神」は(テレビでしか見たことがないけど)、とても好きだ。

あの低い声が、死神的で良い。

小三治の「死神」は、あばら骨の浮き上がった四角い頭の死神の姿が、くっきりと見えて怖い。

三三の「死神」は、どことなく愛嬌がある。

友達にはなりたくないけれど、迷惑な存在というほどでもない、そんな死神。

どちらも好きだ。



今思い出したが、小さん(先代)の「死神」はもっと怖かった。

死神というものが確かにこの世にいるのではないか、と思わせる凄味があった。

小さん(先代)から数えて三代目の三三、芸の風は受け継いでいる。

気持ち良く堪能できた。



「どうらく息子」の連載は、まだまだ続くらしい。

主人公のどら壱が真打ちになるまで、続くのか。

第9巻で、前座1年目に後戻りしちゃったから、まだまだ先は長い。

作者の尾瀬あきら氏に、第9巻にサインをしてもらった。ありがとうございました。

文京シビック寄席、立川談春独演会。


抽選に当たって、チケットが手に入った。


文京シビックホール小ホールは、補助椅子を出しても350名しか入らない。


昼と夜の2公演で、700席。


応募数は2,000を越えたそうだから(しかも重複応募は無効)、なかなか厳しい抽選だったようだ。




 ← こちらは大ホール入口




ろくろ首  春吾


雛鍔  談春


転宅  こはる


除夜の雪  談春


替り目  談春







開口一番の春吾、くすりとも笑いが取れない。


それほど悪くもないと思うのだが、皆さんのお目当ては談春であるから舞台を見る目は厳しい。


春吾はまだまだ伸びしろがある。頑張ってもらいたい。




談春のマクラ、「佐村河内守、サムラ・カワチノカミだと思ってました、都知事選の泡沫候補かなと」。


佐村河内ゴースト問題を巡る多くの言説の中で、一番光っていた。


結局あれは、現代音楽を巡るパロディの一幕だったということだ。


「被爆二世の全聾作曲家」という物語が背景にあるから、退屈な曲(交響曲1番)をみんな我慢して聞いていた。


談春の著書である「赤めだか」も、落語界ではゴーストライター説が定説になっているという。


しかしあの本は、文句なしに面白い。


面白さがホンモノであれば、背景に「物語」を書き足す必要もない。


談春、志の輔が売れるのは、やっぱりホンモノだからだろう。


前にも書いたかも知れないが、「志の輔らくご in Parco 2014」の1万枚のチケットは、僅か2分で売り切れてしまった(買えなかった)。


そんなホンモノの落語を、こうしてホールで聞けるのは幸せなことでございます・・・などと思っているうちに、「雛鍔」が通り過ぎて行った。




中入りの後、こはる。


今流行りの「リケジョ」落語家、こはる。ひそかに好きだ。


声に張りがあるし、語り口も良い。しかし、まだまだ修行中だなあと感じる。


ホンモノの落語は、難しいねえ。




そしてトリは談春の「除夜の雪」。これには痺れた。


おりしも雪が残る都内に、再びはらはらと雪が降り落ちる空模様。


寺の修行僧が戸を開けた時、足跡ひとつない境内の雪景色が客席のぼくにも見えた(気がした)。


ついさっき提灯を返しに来た、檀家の若女将の足跡があるはずなのだが・・・その日彼女は命を絶ったという。


そんなしんみりとした怪談話で終わらせまいと、談春師匠は「替り目」の前半を10分間だけサービス。


会場が笑いに揺れる。至芸だ。




楽しかった。


談春独演会は、何度でも行きたいと思う。


チケット争奪戦は、いつも厳しいのだが。

4日の朝刊に、ゲルト・アルブレヒト死去というニュースが載っていた。

読響の名誉桂冠指揮者だ。

そんな訳でこの日の演奏会は、桂冠指揮者を追悼する演奏から始まった。バッハの「G線上のアリア」。そして黙祷。

心のこもった演奏だった。読響は上手いなあ、と思った。




毎年1月から3月にかけて、都民芸術フェスティバルが開催される。

コンサートやバレエ、演劇、能、邦楽などを安価に楽しむことができるイベントだ。

この日のコンサートも、そんな参加公演のひとつだ。

会場は、池袋の東京芸術劇場・コンサートホール。




 ← コンサートホールには、こんなのもいる




プログラムは、以下の通り。

ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」作品9

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64

ベルリオーズ/幻想交響曲 作品14




指揮は、2007年にプロデビューしたばかりの若手・川瀬 賢太郎(まだ20代?)。

若くて上背があるから、全身をダイナミックに扱う指揮にも切れがあって小気味よい。

しかし、この日のお目当ての「幻想交響曲」を聴いて、凡庸だなと思った。

教科書があるとすれば、その通りに棒を振っているように思える。

ベルリオーズの「幻想交響曲」は、毎年異なる指揮者で聞いているのだが、川瀬の個性がまったく見えないまま、第一楽章が終わってしまった。

若手指揮者の中では特に注目されているらしいが、期待外れじゃないのか?




ところが楽章が進むにつれて、段々と弦のうねりが大きくなってくる。蓄積したエネルギーが解放される感じだ。

打楽器群、管楽器群も、頑張る。

「幻想」は、こうでなくちゃいけない。

終楽章に向けてグイグイとドライブして行く川瀬の姿が、頼もしく見えてくる。

読響のメンバーも、若い指揮者をもり立てようとしている感じがする。

フィナーレは、ばっちり決まった。

良かった、良かった。

川瀬 賢太郎、これからもどんどん経験を積んで、皆を楽しませてくれ。





終演後には、K君と池袋の格安居酒屋で感想会(ごちそうさまでした)。

ほろ酔いで家に帰ると、少し雪が積もっていた。









B席2,800円というリーズナブルなチケットで、十分以上に楽しめる演奏会だった。

次回は3月9日、同じ芸術劇場で東京フィルハーモニーの演奏会。

こちらも都民芸術フェスティバル参加公演なので、B席2,800円。ありがたいお値段だ。

読響カレッジ・シリーズの7回目。


このシリーズでは、毎回異なる指揮者が登場する。


今回の指揮は、大井剛史。この日が読響デヴューだそうだ。


《ボヘミアの森から新世界へ》というタイトルで、ドヴォルザークを取り上げる。







「スラヴ舞曲集」(作品46-1、72-2、46-8)と、交響曲第9番「新世界から」 。


「新世界」は、とても好きなシンフォニーのひとつだ(「から」とか「より」を省略するな、と音楽評論家の奥田佳道氏は言っていたが、愛称だから良いでしょう)。


大井剛史の指揮は初体験なのだが、良い指揮者だ。


イメージが明解で、音がよく聞こえる。無理なく大きくオーケストラを鳴らしていた。




良い演奏をしているのに、こちらの状態が悪すぎた。


風邪をひいている。それなのに、忙しくて睡眠時間がとれない。


眠い。だるい。喉が痛い。


無理をして咳をこらえていると、身体に力が入って音楽なんて聞こえない。


ところどころ記憶がまばらで、シンバルが鳴ったのにも気がつかないという有様だ。


まったく情けない・・・。




演奏が終了して、再び事務所に戻った。


それから深夜まで仕事した。


翌日も大忙しで(月末はいつもそうだ)、これじゃあ風邪が良くなるわけがない。


(次回の出撃は、2月4日。それまでに、風邪は治るだろうか?)



文京シビックホールの大ホールは、改修工事のために8月18日から12月12日まで使えなくなる。


そのために、今年は読響カレッジを開催しないそうだ。残念だ。


シエナ・ウインド・オーケストラも、本拠地が使えなくなって困るだろうなあ。


かつしかシンフォニーヒルズでは、モーツァルトの堂々たるお姿に迎えられる。

  ↓






1月25日の午後、青砥駅からかつしかシンフォニーヒルズに向かう道に、大量のベビーカーが連なっていた。

0歳児でも鑑賞可能なクラシック・コンサートが開催されたからだ。

演奏するのは、ズーラシアンフィルハーモニー管弦楽団

恐らく世界初の動物によるオーケストラであり、さらにまた小さな子ども達のためのオーケストラでもある。



ホールを見渡すと、1,300席がほとんど埋まっている。

どうやら3~4割が、小学生以下のキッズのようだ。

ぼくの右隣の席では、1歳にもならない赤ちゃんがお母さんに抱かれていた。

左隣の席では、幼稚園児のお嬢ちゃんが椅子から身を乗り出していた。

開演してもなお、ホールの中にはちびっ子たちの声が響き渡る。泣き声も聞こえる。

しかしなんだかのんびりしていて、それも悪くない。








演奏は、いたってまとも。

心地よく聞いていられる。

トロンボーンのスマトラトラ、トランペットのインドライオン、チューバのホッキョクグマも、かなりの使い手だ(普段は、名の通ったオケで演奏しているらしい)。

曲目はまったく子ども向けのものであって、小編成用にきれいにアレンジされている。

「どんぐりころころ」の演奏には、笑った。ころころしているうちに、有名な交響曲や組曲になってしまう。

演奏者は、子ども達のために小芝居を演じたりもする。

バクはステージで居眠りをする。ホッキョクグマは、常に汗を拭いている。トラとライオンは仲が悪い・・・。

動物のマスクをかぶっていなければ、演奏家たちもこんな芝居はできないだろう。

演奏終了後には、ロビーでの演奏者との撮影サービスもある(マスクは被ったままだ)。



子ども達と一緒に音楽を楽しみたいというファミリーや、孫に構ってもらいたいジジババには大変にお勧めできるオケなのだが、残念ながら次回の演奏会は未定のようだ。

金管五重奏のズーラシアンブラスは、全国で頻繁に公演を行っているようだ。

今度はそちらもチェックしてみようと思う。

ズーラシアンフィルハーモニー管弦楽団、大したものだ。
山下洋輔プロデュース、「ジャズのもう一つの夜明け」。

会場は、東京オペラシティ・コンサートホール。クラシック専門のホールだ。

今回出演するのは、新進の山下洋輔門下生たち。

落語でいうところの、一門会のようなものだな。

以下、コピペ。


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高橋信之介 "Blues 4 Us"
【高橋信之介(Ds)、山下洋輔(Pf)、池田篤(AS)、中村健吾(B)】
ニューヨークをベースに活躍中の実力派ジャズ・ドラマー高橋信之介が、自身のリーダー・アルバム「Blues 4 Us」のメンバーを率いて登場。

挾間美帆 m_unit
【挾間美帆(Pf)、はたけやま裕(Perc)、真部裕クァルテット】
2013年のニューイヤー・コンサート「挾間美帆のジャズ作曲家宣言!」で大喝采を浴びた新進ジャズ作曲家。今回はストリング・クァルテットとの小編成ユニットで登場。

スガダイロー vs 山下洋輔
【スガダイロー(Pf)、山下洋輔(Pf)、Miya(Fl)】
「山下洋輔の弟子」を自称する気鋭のジャズ・ピアニスト。独自の活動を展開するフルート奏者Miyaを交え、山下洋輔との白熱のピアノ対決に乞うご期待!

寺久保エレナ meets 山下洋輔
【寺久保エレナ(AS)、山下洋輔(Pf)、中村健吾(B)、高橋信之介(Ds)】
2010年高校3年の時にアルバム・デビューを果たし、大きな注目を集めたアルト・サックス奏者。バークリー音楽大学留学中の現在も、日米で快進撃を続ける。


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お目当ては狭間美帆だったのだが、彼女については別の機会に書く。

大収穫は、スガダイローだった。

ステージに2台のコンサート・グランドを並べて、スガと山下の師弟対決。

スガダイロー(こんな人です)は、山下が洗足学園の教壇に立つというので、別の大学(理系)を辞めて洗足に移ったそうだ。



曲目は、山下洋輔の「キアズマ」(こんな曲です)。

スガダイローは、出だしから全開・全速力。

ピアノは打楽器だっ!と言わんばかりの、光速プレー。

師匠、伴奏(伴走)するようにゆっくり走っている。余裕だ。

前のめりなスガの演奏がどんどんピークに向かって行くのに合わせて、師匠もギア・チェンジして本気モードに突入する。

そこからが圧巻だった。

ステージ上に、ケンシロウとラオウの姿を見た人もいるだろう。

或いは、王騎 vs ホウケンか?

ふたつの音楽がぶつかり合って、新しい音の宇宙が生まれる・・・・・。



演奏が終わって、客席にため息が広がった。

一呼吸おいて、拍手がわき起こった。

痺れた。楽しかった。

良い演奏だった。

アンコールでは、出演者全員がステージに並んで、山下洋輔の575を演奏した。

これが、むちゃくちゃに楽しかった。

二度と見る機会はないだろうけれど、こういうものはYoutubeにでも残しておいてもらいたいものだ。



帰り道、スガダイローのCDを3枚買った。







1月26日(日)、23:30-24:00 BS朝日で狭間美帆を取り上げるようだ。
今年のライブは、ブルーノート東京で幕開けとなった。

1月7日(火)、19:00からのファースト・ステージ。

登場するのは、エリック・ミヤシロが率いるスペシャル・ビッグ・バンドだ。

BLUE NOTE TOKYO ALL☆ JAZZ ORCHESTRA」という大層な名前だが、確かにオール・スターと呼ぶにふさわしい布陣だ。



エリック・ミヤシロ(コンダクター、トランペット)
本田雅人(サックス)
吉田治(サックス)
近藤和彦(サックス)
小池修(サックス)
宮本大路(サックス)
奥村晶(トランペット)
佐久間勲(トランペット)
西村浩二(トランペット)
岡崎好朗(トランペット)
中川英二郎(トロンボーン)
片岡雄三(トロンボーン)
山城純子(トロンボーン)
五十嵐誠(トロンボーン)
林正樹(ピアノ)
納浩一(ベース)
大坂昌彦(ドラムス)


そしてゲスト・プレーヤーが、アルトゥーロ・サンドヴァル

グラミーを10回も獲得しているという、凄腕トランペッターだ。

トランペットを吹き鳴らし(音域がハンパじゃない!)、パーカッションを打ち響かせ、歌って、踊って、ピアノを弾く大活躍。

日本のジャズメンの大人ぶりを笑うかのような奔放さ。

休憩からステージに戻ろうとする彼らを楽屋に追い返して、ゆうゆうとソロを取る。

「今回のスペシャルゲストの Arturo、彼の魅力は誰もが認めるトランペットと言う楽器の限界を遥かに超える超絶な演奏技術、でも僕にとっての彼の最大の魅力はすべてのお客様を引き込む彼の底抜けたエンターテイナー魂! 歌心溢れるバラードプレイ!」・・・というのが、エリックによる紹介文だが、いかにもと頷ける。

アルトゥーロが登場してからの後半は、さすがに盛り上がりが違う。

ステージに近い座席は、ファンが固めているようだ。



ビッグ・バンドは割と好きなんだけど、なかなか聴く機会がない。

振り返ってみれば、昨年3月以来(SOIL&"PIMP"スペシャル・バンド)だ。

そういう意味でも、なかなか嬉しいステージだった。



前半では、ジャコ・パストリアスの「ドミンゴ」が面白かった。

ブルーノートTOKYOで最後に聴いたビッグ・バンドは、ジャコパス・ビッグバンド(ランディー・ブレッカーがリードしている)だったことを思い出した。



良いライブは、ビールの味をぐっと引き立ててくれる。

楽しい夜でした。
驚いた、本当に。

客席が、ガラガラだ。

700席ほどのホールだが、二階席は閉じている。一階席は半分も埋まっていない。

お客の総数は、多分200人ほどだろうか。

さん喬・志らくという組み合わせが奇妙だから、寄りつかないのか?

喬太郎・志らくなら良いのか?

それとも場所が赤羽だからだろうか? そうかも知れない。



前座・柳家さん坊の「真田小僧」。まだ、落語になっていない。もう少し頑張りましょう。



志らくは、「富久」。年末らしい演目だ。この話は、昔から好きだ。

志らくの久蔵は、どったんばったんでとても楽しかった。久蔵って、自由人だなと思う。



後半は正攻法のさん喬師匠、マクラからお見事でした。

赤羽には、前座の頃からたびたびお使いに来ていたそうだ。

再開発が進み景色がどんどん変わって行くなかで、赤羽会館だけが変わらない。

(大分古い建物で、来年には耐震補強工事を行うらしい。)

時代が変わって、落語家も代替わりする。

黒門町の文楽師匠なんてそばに寄ることもできなかったけれど、今じゃ文楽兄さんだ。

名人正蔵師匠も近寄りがたい方だったけど、今じゃ呼び捨て。三平なんて足蹴にしている・・・。

というような話から、「妾馬」が始まった。

古典のお手本のようだった。



持ち時間が50分なので前段はカットされたが、たっぷりとした話しぶりにみどもも満足いたしてござる。

八五郎出世のめでたいおはなしを聞きながら、忙しい年末を乗りこなすなんてのは大層良いと思うけど・・・・・赤羽会館はガラガラでござるよ。

終演後に、一番街に向かった。しかし「まるますや」は既に閉店。

シルクロード商店街の丸健水産で「おでんセット」700円をつまんで、OK横丁の居酒屋になだれ込んだ。



来年は、志の輔独演会から幕を開ける予定だが、果たしてチケットを取れるのだろうか?
今年一番の演奏だった。

東京フィルハーモニーの定期演奏会。

指揮はイスラエル出身のダン・エッティンガー。

ピアノは、トルコのファジル・サイ。

演奏するのは、フランスの作曲家ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」。

ジャズの要素や民族音楽の要素が入り交じったとても面白い曲だ。

それを日本のオーケストラが演奏する。

いろいろな意味で、多層的で興味深い演奏になるだろう。

この日の演奏会は、前々から楽しみにしていたのだ。



ファジル・サイが奏でる「ピアノ協奏曲ト長調」は、ぼくが聴いて来たものとは違う。

もっと自由で、もっと延びやかで、もっと情感に溢れてしかも力強い。

初めて「ピアノ協奏曲ト長調」を聴いたかのような、とても新鮮な印象を感じた。

指揮者も、ピアニストが進みたい方向にしっかり合わせている。

ふたりともドイツ留学の経験があり、その頃から共演してらしい。

東京フィルの演奏を聴くのは何回目か分からないけれど、この日の空気はとても良かった。

背筋を伸ばして、安心して演奏に聴き入ることができる。

ファジル・サイのピアノを聴いていると、「音楽がある星に生まれて良かった」という気がしてくる。本当に、そう思う。

こんなにしみじみと感じ入る音楽会は、久しぶりだなあ。



ファイジル・サイ目当てのお客さんが多いので、アンコールでは2曲をサービス。

流麗なオリジナル曲と「サマータイム」。どちらも素晴らしい。

「サマータイム」は、たったひとりで演奏しているのにビッグバンド並みの攻撃力がある。

その日同行した奥様は、「これまで聴いたどんなサマータイムよりも高度なサマータイムだ」と言っていた。実にその通りだ。

それで第一部が終わるのだが、そのまま帰っちゃうお客さんもいた。

第二部は、リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」。ロシア人作曲家がアラビア世界を描いた曲だが、子守歌のようだった。



満足、満足。

ファジル・サイのサイン会をやっていたけれど、とても長い列ができていたので並ぶのを諦めた。

楽しかったなあ。
戸田市は埼玉県の中でも控えめな存在で、わざわざ行くようなところではない。

しかしこの日は違う。

東京純豆腐(埼玉県では戸田にしか出店していない)で昼食を食べ、勇んで戸田市の中心地に向かった。

戸田市役所の横に、戸田市文化会館がある。築30年以上が過ぎて、いささか古さが目立つ建物だ。

椅子のクッションが抜けている。長時間座り続けるのはつらいかも知れない。

開演を告げるブザーは、今にも電池が切れそうなブピーービーブビーという不安定な音で、どうにも情けない。



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談春は、戸田の県立南陵高校に通っていた(中退して談志に弟子入り)。

地元公演のようなものだから、さぞやの人気かと思いきや案外空席がある。

冷たいねえ、戸田。

定刻通り15時に開演した。前座を務めるのは、二つ目の春吾。早稲田大学文学部卒だそうである。それはまあ、どうでも良い。

談春の一席目は、「替わり目」。上手い。上手いなんでものじゃあない。凄い。

中入りの後、小春の「六尺棒」。

ちゃんと聞かせるじゃないですか。大したもんだよ。で、こちらは国立の東京農工大学大学院中退だそうである。

師匠の最終学歴は中卒なのに、どういう弟子たちなんだ?

そして談春二席目、「宿屋の仇討」。いやー、まいった。

会場全体に笑いのスイッチが入ってしまい、どうにもならない。大受けだった。

登場人物が多い噺だけれど、いささかも揺るがない。見事なものだ。

楽しかった。

これだけ楽しめて3,000円(A席)は本当に安い。



$不完全な日常




12月28日、今年最後の独演会のチケットも買うことにした。抽選になりそうな気がするけれど・・・。