どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。


現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』


アニソンハイレゾを一気にブレイクさせたのは、
ラブライブ!の楽曲であることは疑いようがありません。

去年の秋、衝撃のリリースから8ヶ月を過ぎ、今やアニソンはハイレゾでリリースされることが特別ではなくなりつつあります。
レーベルも次々と参入し、元々はポニーキャニオンやF.I.X.RECORDSといったごく一部のリリースに限られていたのが賑やかになっています。

ハイレゾが好きで、オーディオ(高品位な再生音楽)に興味があっても「買いたい音源が無い」というリスナーは多かったのではと思います。
今後はさらにレーベルが広がり、サントラからキャラソン、声優ソングといった、アニソン以外のリリースも増えてくれることを願いたいです。

そして、いつかはハイレゾ同時リリースが当たり前。
リスナーは目的によってCDとハイレゾを選ぶ時代になってほしいです。

アニソンファンには、物理的なブックレットやジャケットをコレクションしたいという層がまだ残っていると信じたいです。
やっぱり生のブックレットはWEB閲覧やPDFでは満たせない所有感や満足度があります
だからCDは売れ続ける。(と私は思いたい

たとえば、CD版に『ハイレゾ版 特別割引クーポン付ver'』とかが登場すれば、店頭とネット配信で相乗効果が出ると思うのですが…
まだまだ実際の魅力を知らない人もいるでしょう。
とにかくオーディオは、体験してナンボの世界

ハイレゾの感動やすばらしさを広めていきたいと思います。



さて、今回紹介するのは爆売れ中のこちらの楽曲!


曲名:僕らは今のなかで
μ's[アーティスト]
畑 亜貴[作詞], 森慎太郎[作曲・編曲]
ミキシングエンジニア:淺野宏伸
マスタリングエンジニア:原田光晴

販売:e-onkyo
フォーマット:48kHz/24bit FLAC/WAV


曲名:きっと青春が聞こえる
μ's[アーティスト]
畑 亜貴[作詞], 高田 暁[作曲・編曲]
ミキシングエンジニア:淺野宏伸
マスタリングエンジニア:原田光晴

販売:e-onkyo
フォーマット:48kHz/24bit FLAC/WAV



説明は一切不要ですねw
大人気テレビアニメ「ラブライブ!」一期のOP/ED主題歌です。

ラブライブ!が去年の秋、初めてハイレゾでリリースされたとき
『過去作もいいけど、「僕らは今のなかで」が欲しかった!』と思った人は僕だけではないでしょう。
一期の感動がまだ心に残っていた当時、「新しい音源を欲しい」という思いはとても強かったです。

ついに満を持してのリリース!
しかも、配信ページにあるような特別なリミックスを施してのリリースです。

既に買った人も、これから買おうか迷ってる人も、
私が狂喜乱舞したクオリティーを深く味わって欲しい――
その思いで感想を書いてみました。

なお、私はラブライバーではありません。
CD所有は一期の主題歌のみという完全なビギナーであります。
ちなみに一期の頃からにこ先輩が大好きです。
二期で凛ちゃんに陥落しかけましたが、にこ先輩への思い入れは貫き通しましたね!(何
みんなが呆れて部室をあとにしても僕だけはにこ先輩の猫被りを見続けます。当たり前じゃ無いですか!
アイドル活動に対してストイックなところがまた最高でありますよー!



「僕らは今のなかで」は、CD版との比較を中心に
「きっと青春が聞こえる」は、ハイレゾ版単体の所感をまとめてみました。



【僕らは今の中で】
・ラウドネスはほぼ同等(CD版から音量を変更しなくても連続して聞ける
距離感や定位感、解像度が大幅に向上した。平面的な音場が奥行きを感じさせるように進化。
・ボーカルが立体的で緻密になり、二次元的でのっぺりとした音像がくっきりと捉えられる。まるで手を伸ばせば届きそうな感じ!
・ストリングスがふわりと包み込むように広がり質感も含めて実在感が増した
・周波数帯域が下にも上にも伸びてよりナチュラルになった。無理に付け足すのでは無く、本来の音へ蘇った印象だ
・ベースの肉厚感、ストリングの心地よい倍音、トリミング感の無いそのままのボーカルなど、帯域の広がりとリミックスは様々なプラスを生んだ
・ラウドネスは同じなものの、24bit効果による音の立ち上がりと立ち下がりがより繊細になったことでリアリティーと躍動感は格段にアップ


【きっと青春が聞こえる】
・グッと前に出るボーカルは、μ'sの9人がリスナーのために歌ってくれている臨場感を強調
・一人一人のボーカルが跳ねるような躍動感を持ち音場を満たす
・各楽器(トラック)の音の粒が明瞭でくっきりと浮かぶ
・生バンドのオケが奥に定位し、ボーカルが前列で歌っている音場感
・帯域の広がりは「僕らは今のなかで」と似たような印象を受ける。やや高域が華やかである。


《48kHz/32bit-floatオリジナル → 96kHz/32bit-floatリミックスの恩恵》
※48/24版のランティスでリリースされたアニソンとの比較で感想を述べています。

解像度、分離感が大幅に向上
・音場が上下左右に広がり、奥行きも深く表現豊かに
・96/24ネイティブならではの圧倒的なリアルさ(情報量)はないが、高域の減衰カーブが緩やかなのか、艶っぽさや生っぽさが向上
・リミックスならではといえる、ボーカル処理のリメイクが躍動感と緻密さを向上させ、アニソンの命であるボーカルがもたらす感動を増幅させた



……ということで、とても驚きました。

過去リリースされた48/24版のラブライブ!から飛躍的に向上した音質と音楽的な感動
これらを支えるものは、既にリリースページに佐藤純之介さんが書かれているとおりですが、私からもちょっと述べてみます。


音楽の録音現場(制作現場)でよく選択される32bit浮動小数点数。
音のハコ自体は24bitなのだけれど、純粋な24bitで制作するより音質的に有利だそうです。

・ハイレゾで注目の「32bit-float」で、オーディオの常識が変わる?
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20131125_624971.html

制作工程で32bit-floatを選ぶと、最終的に24bitでリリースしたときの結果が変わる。
より制作者の意図に沿った音楽が実現できるという感じに捉えればいいでしょうか。


制作環境がProTools HDになったことで、ファイル変換の精度やクオリティーがかなり上がったことも大きいです。
高精度に48kHzをDAしてから高精度に96kHzにADするよりも、ソフト内部で48→96と変換した方が結果がベストになるということです。
私がサウンドPしているBeagle Kickのコンポーザー和田貴史もそのようなことを言っていました。
(音楽的なアプローチあるいは楽曲ごとの判断では、あえてDAしてからADするという過程を踏んだ方がいい場合もあります)

原音原理主義のオーディオマニアからすれば、『原音をアップサンプリングしてリミックス?音が悪くなるんじゃ無いの?』という疑念が出てくるでしょう。
私もこの楽曲を聴くまでは似たような不安を感じていました。
しかし、技術の進歩とエンジニアの手腕によって、オーディオマニアの厳しい評価も、音楽的な感動もまとめて解決してしまった。
大げさかもしれませんが、今回のリミックスはそれほどの強烈なエポックメイキングだと私は感じました。
48/32bit-floatをハイレゾでリリースする際のスタンダードになるかもしれないくらいの。
(96kHz/32bit-floatリミックスの制作コストが掛かることで、制作費回収の見込みが無い音源はリリースされなくなってしまうかもという不安はあります。
サントラなどは48/32bit-floatオリジナルを48/24としてリリースをして欲しいし、リミックスはベストではあってもマストにはして欲しくないなと)


マスタリングについては、ポータブルオーディオをリファンレンス機に使ったことも影響しているのでしょう。
やや派手な音作りになっていると感じました
生の質感を重視する人には、もっとピュアなマスタリングをして欲しかった、という意見があるかもです。
しかし、こればかりは楽曲のジャンルや求められている音楽性を考えると、今のテイクがベストだと私は思います。


以上です。

いかがでしたか?

これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
なので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。


ともあれ、ハイレゾ音楽の面白さが伝われば嬉しいです。


ハイレゾ再生は、対応ポータブルプレイヤーからはじまり、
ネットワーク対応のミニコンポ、専用ポータブルプレイヤー、対応AVアンプなどドンドン広がっています。
スマホにいくつか機材をくっつけることでそのクオリティーを手軽に楽しめるようにもなりました。対応スマホも続々発表されています。

パソコンにUSB-DACを付けてヘッドフォンやスピーカーで聴くというスタンダードな方法から、やはりオーディオはオーディオとして独立させたいという願いにも答えることができます。

ぜひ、音高音質音源の再生にチャレンジしてみてくださいね!
音楽生活がもっと豊かに楽しくなることでしょう。


ちなみにPCで聴くためのオススメソフトは、X-アプリです。
オーディオインターフェースやUSB-DACを付けたらWASAPI排他やASIOを「オーディオ出力設定」から忘れずに設定してくださいね!