2020/1/2
さて、帰宅の途に就く頃には22時半を回っておりました。電車もまあまあ空いています。2階席に並んで座ってHさんとお喋りしていて遭遇した変な人のお話を。
私たちはセント・ジェームズ駅で乗り込んだのですが、彼(【1】とします)と彼の連れ(【2】とします)は少し後の駅から乗り込んできたと記憶しております。で、私たちの斜め後ろくらいの向かい合わせの席に陣取りました。
その時点でもう既に、【1】はまともではなかった。お酒に酔っていたのだと思いますが、別のものもやっていたかもね。まず、とにかく、うるさい! 声がめちゃくちゃ大きいの。で、その大きな声でぎゃあぎゃあと叫ぶようにまくしたてるので更にうるさい! そして話の内容がひどい! 正直、私の英会話力ではあまり聞き取れなかったんですが、それでもはっきりと、【1】が下品な単語で卑猥なことをがなり立てていることがわかる。時々、思わずHさんと顔を見合わせてしまいました。
【2】は最初は【1】に調子を合わせて相手をしていましたが、徐々にトーンダウンしていきました。「ちょっと騒ぎすぎ」と思ったのか、【1】の態度がどんどんひどくなるので付き合いきれなくなったのか。
私も含め周りの人は気になっていないわけがありませんでしたが、一目でわかるチンピラ(それも泥酔中)に文句を言うのは危険すぎるので、全員が見て見ぬふりと言うか聞いて聞こえぬふり。
写真は本文とは関係がありません。1932年のハーバーブリッジ。
By E. W. Searle - The National Library of Australia, Public Domain, Link
そのうち【1】は自分の背後に座っていた真面目そうな大学生っぽい男の子にも声をかけて話し相手にしてしまいました。学生くんは無視することもできず、仕方なく楽しそうに笑って相手をしていましたが、怖かっただろうなあ。
車両を移りたいと思ったんですけど、【1】が嫌だから逃げるのがあからさまにわかるようだと、それに対していちゃもん付けられるのではと妙な心配も出てきまして、ちょっと様子見。
しかし【1】が機嫌良さそうにしている間は良かったのですが、ある駅に停車した時、【1】は何やら怒鳴り始めたかと思うと席を立ちました。そして2階から1階に降りていきまして、下からガシャーン!とガラスの砕ける音が。おそらく【1】が持っていたビール瓶か何かをホームに叩きつけたのでしょう。
これはアカンと私も思いましたし、Hさんも「今のうちに車両を移ろう」と声をかけてきて、【1】が戻ってくる前に車両の反対側から1階へ、そして離れた別の車両へと逃げました。
やがて電車は私たちの乗換駅に到着。降りながら、「あいつらもここで乗り換えだったら嫌だなあ」とか言って笑っていたら、ホントにあの2人が降りてくる姿が…。「うへえ」と思いましたが、幸いにも2人はすぐにホームでは姿が見えなくなりました。2階のコンコースに上がっていったんでしょう。良かった、この駅で降りるんだね、ここでサイナラできるのね。
さて、乗り換え時間が20分もあったので、お手洗いに行くことに。が、お手洗いは2階のコンコースにあるのでちょっと時間をおいて、奴らがもうとうに改札を出て行ったであろうタイミングで、階段を上がってまいりました。
そして目にしたものは。
By Cgoodwin - Own work , CC BY-SA 3.0 , Link
いえ、馬はいませんでしたけどね。5人のお巡りさんが【1】と【2】を取り囲んでおりました。
たぶん、ビール瓶をホームに叩きつけて割った時点で、通報があったんでしょう。駅員か、乗客から。で、次の停車駅で警官が待ち構えていたのでしょう。ホームで捕まえたのかしら。
【1】は、車内での威勢はどこに行ったのか、俯いてシュンとしておりました。かっこわる。いえ、もちろん、抵抗して暴れたりするよりずっと良いですよ。【2】は70%くらいは自己責任、30%くらいはとばっちりと言ったところでしょうが、仕方なく隣に立っておりました。
彼らをよけてお手洗いに行き、やれやれと出てきましたら、お手洗いに入ろうとする【1】が向かってくるところで、すれ違う羽目になりました。【1】は元気を取り戻しておりまして、【2】に対してだかお巡りさんに対してだかわかんないけど、何やら大声で悪態をついておりましたよ。警察の対応が思ったより穏やかだったのでしょうかね。で、これなら大丈夫と踏んで改めていきがってる、と。バーーーカ。
Hさんによると、オーストラリアは日本に比べるとやはりこういうことには厳しいらしい。すぐ通報があって警官が来てくれるって。
そもそも、オーストラリアでは飲酒自体に対して、日本よりずっと厳しい。お酒は専門の酒屋でしか売れないし、購入の際には年齢確認のため身分証提示が必須。 また、路上や公園など、公共の場での飲酒は違法です。
更に、泥酔した客にはお酒を売ってはいけない。だからバーは泥酔者の入店を拒否できるし、店内で客が泥酔したら追い出すこともできる。酔ってウトウトしているだけで退店を命じられたりするって。つまり自分で自分をコントロールできていなわけですから。
つまりオーストラリアには、酒場を含めて公共の場では潰れるほど酔ってはいけないという社会規範が強いのでしょう。日本は酔っ払いに甘いよね。でも日本でも最近の若い人はめちゃくちゃな飲み方をしない傾向にあるそうだから、変わりつつあるのかも。
ところで、路上で寝込む泥酔者などで言えば英国が世界最悪と聞きましたが、本当だろうか。
ポート・ジャクソンの水上警察。さすが海の町。シドニーって、湾口から奥まで19㎞あるってよ。
By Adam.J.W.C. - Own work , CC BY 3.0 , Link
そしてもちろんオーストラリアでも、めちゃくちゃに飲んで狼藉を働く輩はいる。
シドニー・ロックアウト法という法律があります。この法律では、シドニーのCBD(シティ)の特定地域において、酒類を提供するお店への午前1時半以降の入店を禁じている。ラストオーダーは午前3時です。2014年にこの法律が施行される前は24時間OKでした。
2013年の大晦日の晩21時ごろ、シティのキングス・クロスで18歳のダニエル君が通りすがりにいきなり殴られ転倒して頭を打ち、昏睡状態のまま11日後に亡くなりました。泥酔した武道家が、たまたまそこにいただけの少年を次々に5人も殴ったのだそうです。それは、2012年に別の18歳の少年が同じように酔っ払いに殴り殺された場所から1メートルしか離れていない場所だったとか。
ダニエル君のご両親の働きかけがきっかけとなって、飲酒を規制するこの法律ができたんだって。効果は目覚ましく、ロックアウト地域ではお酒が原因の傷害事件が大幅に減ったそうです。キングス・クロスにおいては何と32%も。しかし、ロックアウト地域隣接のある地区では12%増加したり…。それでも医療機関は、この法律には効果があると主張しています。救急車で運び込まれて死んでいく怪我人が明らかに減った、と。そしてもちろん、警察などもこの法律を支持しているらしい。
しかし世間ではナイトライフの活気がなくなったことが問題視され、ついに2020年1月14日からこの法律を撤廃することになったのです。しかし、キングス・クロスだけは今でもこの法律が適用されています。
ちなみにこの法律でシドニー(法を制定したNSW州かな?)は、ライバルのメルボルンから、グランマ・ステートとか呼ばれてからかわれたりしたらしい。早々に就寝するお行儀の良い老人たちの町、て感じ?
しかし、午前1時半までに入店、ラストオーダーが午前3時って、「シティのナイトライフを壊滅させた」と言われるほど早い時間なのね。私も夜型で、午前1時半なら起きていることも珍しくないけど、少なくともそれは「寝る前の時間帯」だわ。私は所詮は寝るのが遅いだけで、夜に起きている人間ではないのだな。