ここんとこ似たようなことばっか書いてるけど、自分の中では別格になっている黒い感情を吐いておきます。根に持つタイプなもので。
「筋金入りの旅人である自分がお前に旅の神髄を教えてやろう」みたいな奴って鬱陶しいですよね。
私の友人の中には、毎年のように香港に行っていた人や毎年のようにスコットランドに行っていた人(すべて過去形になってしまう2020年)がいます。そういう土地の何かが彼らを捕まえたんでしょうね。私は彼らとは違って、異なる場所に行きたくなる。たぶん、色んなものを見てみたいとか、知らないものを見てみたいとか、そんな気持ちがあるんだろうな。だけど同時に、その「毎回違う行先」で見たいもののカテゴリはあまり変わらない。遺跡とか中世の古城とか旧市街とか渓谷とか断崖とか…。友人たちも私も、やりたいことがはっきりしている方なんだと思う。
でも、そうやって自分の好みを把握して楽しく何十年も旅行している人間に対しても、「お前はわかってない」とダメ出ししてくる人間がいるのだった。
たとえば、こんな感じ。
「観光地に行くのは旅ではない」
「公共交通機関がなければ何時間でも歩くべき。歩いてこそ見つけることができるものがある」
こういう連中って例外なく「観光名所に行く奴はバカ。街に溶け込んで現地の人と話をするのこそが旅」とか言う。遺跡を見学して歴史に思いを馳せるのは軽薄で、バーの店員と会話するのは有意義なんだとよ。私も路地裏は歩きますしお店の人とも話しますけど、遺跡からも豊かな時間をもらえるの。もちろんお城に興味なくても全然構わない。ただ、「遺跡に興味がない俺かっこいい」と優越感を感じるのがメンター志願者の謎なところ。
奴らは「大勢が訪れているからという理由で観光名所なんかに行くのは愚かだ」と主張する。奴らの頭の中では、観光名所を訪れる理由が「大勢が訪れているから」ではなく「自分が興味があるから」である可能性はゼロらしい。奴らは無意識に、「この俺が興味ないものに本気で興味を持つ人間などいない」と思い込んでいるんだろうね。
奴らにはきっとクラック・デ・シュヴァリエとベルサイユ宮殿が同じに見えるのだ。それどころかクラック・デ・シュヴァリエとマーライオンも同じに見えているだろう。「名所」と言う括りでしか物を見れず、「名所だから価値がない」になっているバカらしさ。「自分の興味の有無に関わらずガイドブックに載っている場所は避けるのが旅人のあるべき姿」ってなっちゃってる人と同じだね。
世界の観光名所の全てに行くことなんて不可能なんだから、名所巡りする人だって広義では好きな場所を選んで行っていると言えるでしょうに。興味がある人がたくさんいるからこそ観光名所になっているんでしょ。その中で深い興味を持つ人はどこでだって少数だろうけど、深い興味がなければ行くべきではないなんて奴らが決めることでもない。
そもそも、大勢が訪れる場所だからと言う理由で見に行って何がいけないのだ。それで日常から離れた時間を過ごして楽しい気持ちになれるなら素晴らしいことだ。それを「そんなものは旅ではない」と侮辱せずにいられないところが惨めで醜悪なんだよな。遠出の全てが、奴らが一方的に定義する「旅」とやらでなければならない理由なんぞ、何もない。そもそも、奴らに価値を認めてもらう必要が皆無だ。
でもね、奴らが頭の中で思っているだけなら勝手にすればいいんですよ。勝手に他人を見下して勝手に優越感に浸って勝手に自己陶酔していればいい。そうやって幸せに暮らしてください。ええ、私がやってるのは旅じゃなくて旅行だし、私は観光客であって旅人じゃないから、あっち行っててね。
しかし奴らはあっちに行かない。だって奴らが必要としているのは「俺様がメンターとなってやったおかげで本当の旅を知ることができた人間」なんだもの。だから自分より下だと認定した相手に追いすがり、へばりついて、尊敬しろと迫ってくる。一人で完結できないのよ、哀れなことに。DV加害者と似たような精神構造なんでしょ。DV加害者が罵ったり殴ったりする相手を必要として、被害者が遠くに逃げても、生活を捨ててまで追いかけて探し出すのと同じ。メンター志願者は自分が見下して説教して指南する相手、自分を尊敬してくれる相手が必要なの。
うっかりこういうやつと旅先で関わると、せっかくの旅行が苦痛に満ちた時間になります。
恐ろしい例としては、別行動しようと言ってもついてくる奴もいる。しぶしぶ一緒に行動すると、こっちの計画に対して「俺はそれはしたくない!」「俺はいつもこうしているんだ!」「俺はこういう理由でそうしているんだ、わからないのか!」みたいなこと言って邪魔してくる。なぜか、「同行する=俺の正しさを認めた証、だから俺の指示に全面的に従うべき」ってなっちゃってんの。知るか。別行動しようと言ってるのについてきたのはそっちだろ。どうしてもついてきたいなら私に従えよ。私はお前に気を遣って楽しみを諦める気なんてないからな。
何とか別行動に持ち込んでも、後で顔を合わせたら、「お前は何をしていた? あーあ、そんなことに時間を浪費したのか。俺はお前と同じ場所に行ったけどこんな有意義なことをしていたぞ。お前はしていないんだな、あーあ」とマウンティング。経験したことない人には信じがたいでしょうけど、ホントにこういう奴がいるのよ! ちなみに、日本人だけじゃないからね。ほぼ全員男性なので、いわゆるマンスプレイニングの一種なのかもしれませんが、こと旅に関しては男性から男性に対しても行われていると思う。
こういう奴に出くわしたら、「こいつは俺に教えてもらいたがっている」と勘違いされる前に冷たくあしらって逃げましょう。相手が年上だろうが経験が上だろうが、礼儀正しくしようとか傷つけないようにしようとか気を遣ってちゃダメ。ロックオンされると長引くし、その後で冷たくするとキレられます。早めに関係を絶つのが大事。これもDVの「俺が殴っていい相手」認定と同じだから。「俺が教えてやる相手」認定されると執着されるよ。
私は他人の楽しみにケチをつける奴が大嫌いだし、他人に干渉して自分の思い通りに行動させようとする奴が大大大嫌いだし、他人に「○○は旅ではない」系の呪いをかける奴が反吐が出るほど大っ嫌い。皆が、先人に「旅ではない」だのと一方的に言われても気にせず、自分が心惹かれる方に進めますように。そして、「○○すべき」と言うのはお薦めにすぎないんだから、参考程度に頭に入れておけば良くて、「やっとかなきゃそこに行った甲斐がない」などと考る必要はないと思っていられますように。
後日、似たようなネタでもう1つ書きます。バックパッカーとは…























