アーティゾン美術館で開催中の「モネ没後100年 クロード・モネー風景への問いかけ」展でこれは、と思う作品、《石炭の積み下ろし》の主観レビューをお届けします。
本作は、セーヌ川の岸で船から石炭を荷揚げする労働者たちを描いています。
モネの作品の多くは、河辺のボート遊びや睡蓮などの自然ですが、本作は工業化した都市の労働現場を描いており、かなり異色です。
人々は黒一色であり、匿名化されています。
モネは、本作で労働者を小さく、黒いシルエット状にし、顔や表情を描いていません。
そのため、人物は個人ではなく、「作業の単位」のように見えます。
船にかかる板は画面を斜めに横切り、そこを労働者が同じ姿勢で運搬しています。
結果として、同じ姿勢、同じ動き、同じ方向が繰り返されます。
このため、人間の動きがラインのリズム=作業の連続運動として見える構図になっています。
そして、背景には工場の煙突、工業的な河岸が描かれています。
つまり、この風景は近代都市のエネルギー供給の現場です。
この点から、工業化の結果とも言えます。
さらに、天候はどんよりとしています。
色調は、灰色の空、黒い石炭、暗い川面が中心で、モネの明るい川辺の作品とはかなり違います。
このため、作品には、重い産業風景の雰囲気が生まれています。
ここから、産業化した近代の風景として読むことができます。
クロード・モネ(1875頃)《石炭の積み下ろし》オルセー美術館





