東京国立博物館で開催中の「KAKIEMON 伊万里焼柿右衛門の世界」展でこれは、と思う作品、《色絵花唐草文皿》の主観レビューをお届けします。
菊、牡丹など6種類の花が枝葉で輪状に繋ぎ合わされて縁を彩っています。
白磁の素地に、藍と赤・緑・黄などの上絵具を組み合わせた華やかな装飾が特徴です。
近付いてみると、初期に柿右衛門様式では基本的に用いられなかった金彩が用いられていることに気付きます。
面積が極めて小さい、装飾の主役にならない、という点で、豪奢さを誇示する金彩ではありません。
そのため、「新しい素材を取り入れながらも主張し過ぎず、奥ゆかしい」印象を受けます。
一方で、余白を大きく取った白磁の地と、鮮やかな赤絵が生むコントラストは非常に強く、視覚的な緊張感があります。
ここで重要なのは、赤は強いが、面積と配置が制御されている、という点です。
結果として、赤が全体を「引き締める」、金はそれを補佐する役割に留まる、藍が構造線として全体を統御する、という三層構造が成立しています。
このことから、抑制的な金彩から導かれる奥ゆかしさと、画面全体を引き締める赤絵との対比が視覚的な緊張と豊かさを生んでいると言えるのではないでしょうか。
《色絵花唐草文皿》(江戸時代・1699) 東京国立博物館

