BEATCHILD | 音楽・映画・スイーツをご提供致します。

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韓国映画、ドラマ、たくさん観たい!
渡辺美里、岡村靖幸、佐野元春、大江千里、EPICで育ちました。

今から26年前のオールナイトフェス。
奇跡の映画化!

[1987年8月22日~8月23日]
■熊本県阿蘇郡久木野村(現・南阿蘇村)アスペクタ
■開場14時/開演18時/終演翌朝6時

1987年にオープンした熊本野外劇場「アスペクタ」
杮落しとして行われたオールナイトフェス『BEATCHILD』
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先頭に並んでいた人達は、3日前から泊まり込んでおり、
リハまでは爽やかな気候だったが
7万2千人の観客が入場し、開演前突然スコールが襲った。
そのスコールは30分ほどで止んだが、
会場の足場がぬかるんでしまった。

最悪の状況で行われたロックフェスの元祖。

出演者であるブルーハーツの甲本ヒロトは
雨に打たれ待っている観客達を励ます。
「俺たちは絶対せこいステージはやらんけん みんなもせこいノリするなよ!」

【THE BLUE HEARTS】

誰かのルールはいらない
誰かのモラルはいらない
学校もジュクもいらない
真実を握りしめたい

当時まだデビューしたばかりのブルーハーツ。
パンクスピリットでわかりやすい曲調は
若者たちの心を掴み、すでに際立つ存在だった。

1.未来は僕等の手の中
2.ハンマー
3.NO NO NO
4.爆弾が落っこちる時
5.世界のまん中
6.チェインギャング
7.人にやさしく
8.少年の詩
9.リンダ・リンダ 全9曲

【RED WARRIORS】

シャケのギターソロ から始まり、
最後のフレーズを弾き終えるとタバコを投げ捨てる!
その瞬間ユカイが登場し「Casino Drive」が始まる。
演出されたステージがとてもかっこいい!

RED'Sはクラッシュのような洋楽っぽいイメージもあり、
ファッションスタイルも歌詞も懐かしく、
またユカイさん歌えばいいのに、なんて思いながら見ていた。

1.Casino Drive
2.FOOLISH GAMBLER
3.バラとワイン
4.SHOCK ME
5.WILD CHERRY 全5曲

【岡村靖幸】
岡村ちゃんがステージに上がる頃には再び雷が鳴り出したらしい。
そして雨が少しずつ強くなっていく。

映画では「はあああああーーーーん」と叫び
倒れているシーンから始まる。
当時22歳の岡村ちゃん、最初からおかしい…。

シャケと出番前に会話してるシーンもあどけない。
この時、映画には出演していないがBEATCHILDの出演者である
UP-BEATの『Kiss in the moonlight』が流れていた。

岡村ちゃんが「明日遊びましょうよ、明日何もないし」
とシャケに話し掛けていたり
シャケに、履いてるコンバースを笑われたり。
などなど、若かりし頃の楽屋ショットはファンとしては嬉しかった。

雨の中でも全力で歌い、デンスする岡村ちゃん。
他の出演者とは衣装もステージもあきらかに浮いており、
卑猥なMCもきっと観客達に引かれていたであろう。

しかし、これぞ岡村靖幸のステージ!

衣装を脱ぎたいの?着たいの?どっち?
といったステージも目が離せなかった。

あんな激しいステージから楽屋に戻ると
「光がぽつんぽつんとして何も見えなかった」と
普通にお茶を飲みながら話す岡村ちゃん。

ステージと楽屋のギャップが激し過ぎて見応えがあった。

1.Water Bed
2.Out of Blue
3.Maria
4.ダンスのみ
5.Dog Days
6.Young Oh! Oh! 全5曲
※ダンスのみを入れると6曲


午後8時頃、再び大雨となりセッティングが長引く、
予定よりも1時間以上遅れて再び開始。
ステージの袖で、怯えた目で見ている白井貴子。

【白井貴子&CRAZY BOYS 】

バンドメンバー達の機材が次々と故障。
モニターも聴こえなくなり、ギターもダメになる。

それでも白井貴子は雨でずぶ濡れになった観客達を気遣う。

「みんなー大丈夫かーーーー!」

機材のトラブルにより、なかなか始められない。

曲間に、白井貴子は雨水が入ったバケツを頭からかぶった!
楽屋のモニターで見ていた、次の出演者である蘭丸が
目を丸くして見ていた。

セットされた髪も化粧も関係ない。
ドラムとキーボードのみで必死にリズムを取り完璧に歌い上げる。

泣けてしょうがなかった。

しかし白井貴子は終始笑顔。

オールナイトで、豪雨の中、必死に音楽を聴いてる観客達を勇気づけた。

私は今回3度この映画を観たが、3度白井貴子のシーンで泣いた。

先日特集された記事では、
「楽器の音が全部消えてもアカペラで歌うつもりでした」と語っている。

1.Non Age
2.CHANCE!
3.African Dreamer
4.Rock'n'Roll Paradise
5.Japanese Girls&Boys
6.今夜はIt's Allright
7.Next Gate
8.二人のSummer Time 全8曲


【HOUND DOG】
大友さんが雨に打たれながらも
「負けるもんか、負けるもんか」と『ff(フォルティシモ)』
を歌い出したのには感動した。

「今夜の主役はおめーらだぜー」

水浸しのステージに滑り込む大友さん。

パワーがありあまり、途中何を歌っているかわからない場面もあるが
(母音しか聞こえない時もある)
とにかくエネルギッシュでパワフルなステージに
アンコールの声が鳴り止まなかった。


01. SE~炎のランナー
02. BAD BOY BLUES
03. OVER HEAT
04. ROCKS
05. ROLLING
06. 今夜ハートで
07. Jのバラード
08. ラストシーン
09. Rock'n' Roll Laliart
10. ラストヒーロー
11. ff(フォルティシモ)
※SEを抜かすと全10曲

【The Street Sliders】
スライダーズこそ、髪が崩れているのを見た事がないというか、
そういう姿を見せてくれるのか、という緊張感があった。

ハリーはとにかく当時からクールで
余計な言葉を一切発しない孤高の存在。

リハの映像では、蘭丸がギターの音をチェックしてる時
「ぐらぐらするなー。俺の頭がぐらぐらしてるのかなー」
と言ってたのが可愛かった。

ライブシーンでは、雨に打たれ、髪が崩れても
この2人はとにかくカッコ良かった。

「Boys Jump The Midnight」で
嬉しそうに踊っているファンが映し出されるが
私も立ち上がって踊りたくなってしまった。

スライダーズとしてのライブもまた見たい!

1.Back To Back
2.HOLD ON
3.Downtown Sally
4.So Heavy
5.Lay dawn the city
6.Special Women
7.Boys Jump The Midnight
8.TOKYO JUNK 全8曲

【BOØWY】
機材トラブルの中、
ビジュアル系の元祖と言われているBOØWYが始まる。
懸命に演奏し続けるメンバー。
不動の松井常松から目が離せない。

当時から耳に残っていた音楽は
26年経過後も、古いとかダサいなどと感じることはなかった。

今更ながら、氷室さんのキメ感には感激してしまった。
全ての演奏、リズムが、身体に叩き込まれているのがわかる。

BOØWYのあとにデビューしたビジュアル系バンド達が
カリスマと言っていたのが、映画を見てようやく気付いた。

1.IMAGE DOWN
2.ハイウェイに乗る前に
3.BABY ACTION
4.MARIONETTE
5.THE WILD ONE
6.BAD FEELING
7.WORKING MAN
8.B・BLUE
9.BEAT SWEET
10.ホンキー・トンキー・クレイジー
11.BLUE VACATION
12.NO. NEW YORK
13.DREAMIN'
14.ONLY YOU 全14曲



【尾崎豊】

リハのシーンに最も多く登場していたのが尾崎。
佇む姿も、バスから降りて来る姿も、
芝生に寝転ぶ姿もカッコイイ。

美里がリハをしている尾崎のステージにあらわれる。
自分用の背の高いマイクスタンドを美里の前に持って来て
美里がぴょんぴょん飛び跳ねている。

尾崎が「歌えねーじゃん」と笑う。

尾崎のリハを、美里とギターの佐橋くんと見ている。

とにかくどのシーンも貴重で目が離せない。

リハの時は気持ちいい風が吹いているのに反し
本番は凄まじい豪雨。
劣悪な状況で歌う「シェリー」

シェリー 俺はうまく歌えているか
俺はうまく笑えているか
俺の笑顔は卑屈じゃないかい
俺は誤解されてはいないかい
俺はまだ馬鹿と呼ばれているか
俺はまだまだ恨まれているか
俺に愛される資格はあるか
俺は決してまちがっていないか
俺は真実へと歩いているかい

雨のステージにキスをする尾崎も
用意された映画のワンシーンのようだった。


1.シェリー
2.Driving All Night
3.Bow!
4.街角の風の中
5.十七歳の地図
6.Scrambling Rock'n'Roll
7.Freeze Moon 全7曲


【渡辺美里】
楽屋に行くのを何度も間違えたり、
リハの時に「もう並んでる人がいるよー」
と、話し方や仕草がお茶目で可愛らしい美里が見れた。
普段のライブでは、男前な美里を見る機会が多い中、
サウンドチェックなども「佐橋くんに聞かないと」と
佐橋くんに頼る女の子らしい美里が見れたのは意外だった。

楽屋でコーラス隊と練習していた
『Boys Cried (あの時からかもしれない)』
♫ボーオーオーオー♫
と3段階で下がっていくあのコーラス!
練習とは思えない声量に、観ていて背筋がビシッと伸びた。
楽屋で練習していたコーラスがどう生かされたか、
ステージのシーンでもこの曲流せば良かったのにと思った。

メイクもし、衣装に着替えステージに向かう美里の眼つきが
キリリとしていて、震えてしまうほど怖くて美しかった。

ステージ上では感電する恐れもあるにも関わらず、
裸足になって歌う美里。
ROCKな『My Revolution』も力強かった。


1.Richじゃなくても
2.みつめていたい(Restin' in your Room)
3.風になれたら
4.Boys Cried(あの時からかもしれない)
5.19才の秘かな欲望
6.Lazy Crazy Blueberry Pie
7.It's Tough
8.My Revolution
9.Long Night
10.GROWIN' UP 全10曲

【佐野元春with THE HEARTLAND】
出番を終えた美里が、EPICの大先輩佐野元春に駆け寄り
「佐野さん、雨を降らせてしまいました」と言ってるのが聞こえる。
この美里もまた可愛らしい!

佐野さん「お疲れ様、ゆっくり休んで」と一言。

スタッフが転びそうになった時は
「気をつけて」

スタッフがステージの周りの山々を指さして
佐野さんに話しかけると
「ああ~綺麗だね」

とにかく一言!

『佐野元春ひと言集』出して欲しい。

話しがライブと反れてしまいましたが…。

朝5時、トリを飾る佐野元春、
 THE HEARTLAND
ECHOSEの辻 仁成、SHAKESの黒田がステージに上がる。

雨が嘘のようにあがっている。

『STRANGE DAYS』のコーラスは辻仁成
(当時を知ってるは「つじじんせい」と言ってましたね)

リハの時佐野さんは、辻仁成のコーラスパートに合図を出したり。
それが本番は合図を出さなくても
生かされていたのが良かった。

長時間、雨と雷と泥と寒さに耐え抜き、
生き残ったボロボロの観客達は
『SOMEDAY』で拳を振りかざした。

みんなの顔がスクリーンに映し出される。

救急車で運ばれた人達、
その場でグッタリしてる人達、
最後の力を振り絞って歌ってる人達、
みんなの音楽に対する熱い情熱が伝わり
佐野さんのステージの格好良さにも感動した。


1.ガラスのジェネレーション
2.WILD HEARTS
3.君をさがしている
4.STRANGE DAYS(ゲストギター:辻仁成 from ECHOES、SHAKES)
5.COMPLICATION SHAKEDOWN
6.99BLUES
7.INDIVIDUALISTS
8.SOMEDAY
9.YOUNG BLOODS
10.HAPPY MAN~R&Rメドレー』 全10曲


ここで終われば、伝説のドキュメンタリー映画だったのに…。

ハートランド事務所の春名さんのコメントが流れる。

自分の誕生日に企画して、こんな雨の中すいませんでしたとコメント。

そのコメントいらない。
横から取ってつけたショットはもっといらない。

そして余計なナレーションもいらない。
特に佐野さんのステージの最中に割って入って来るナレーション、
失礼極まりない。
音楽を邪魔しないでほしい。

「ベイビー大丈夫か」の連呼もくどい。

そして1番台無しとなったエンディング。
出演者でもないミュージシャンの歌なんて聞きたくもないし
新人かは知らないがPVまで流すなんて。
そんな宣伝は見る側には全く関係ないし、
このフェスを知らなかったミュージシャンに
「音楽はあるか」と歌われても…。


エンディングは、佐野元春の「SOMEDAY』か
豪雨と雷の音だけにしてエンドロール流せば良かったのに。
残念な点はいくつかあるが、結局私はこの映画を3回観に行った。
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TOHOシネマズ六本木での佐藤輝監督と白井貴子さんのトークショーでは
貴重なお話しを聞くこともできた。

当時の複製チケットが来場者全員に配られた。

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以下監督の言葉を抜粋。

「ベイビー大丈夫かっ」は
BOØWYの氷室さんが、雨に打たれて必死に音楽を聞いているお客さんに向かって発した言葉。

※大事な部分を映画に入れなかったのは、
自分だけの力では無理だったと残念そうに話していました。
重要なセリフに、大人の事情(利権問題)が絡んでいる事が残念…。



「自分は中継車の中にいた。ステージを上から撮影しているカメラマンは雷がなる度に絶叫。
下に降りていいかと言われたが、死んでも降りるなと言った。
あの頃はマザー(事務所)にいるミュージシャンだけ撮れと言われてたけど、
私は全アーティストを撮った。ドキュメンタリーを撮る意味で」

「ブルーハーツ、RED WARRIORSまでは大丈夫だったんですが、
岡村靖幸さんから雨が降り始めたんです。当時は音楽雑誌でしか語れなかった。
エフェクターがだめになり、ギターもだめになった。
それを音源や映像になる事は、あの頃のプロのミュージシャンは良しとしなかった」

「警察は1度中止命令を出した。
しかしみんなここで下山したらもっと大変な事になる。
街に出るにも車で1時間半かかる。
警察すら、これは続けたほうがいいとライブの続行を許したのがBEATCHILD」

白井貴子さん。
「この映画は日本人の為のオールナイトフェスだった。今の人達に伝えるべきメッセージだった」と仰っていました。

3度目にこの映画を観賞し、
監督のお話しも聞き、
白井貴子さんにもお会いした。

やっと私の中でBEATCHILDが完結した気がした。