2022/7/9 坊ちゃん劇場「ジョンマイラブ」(歌田初夏) | ~ 48Gの地平線 ~ Project No.1024

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基本的にクソヲタの無駄話です。同じタイトルでYouTubeで48グループについて話をしています。


何と言えば良いのか、

「人間の、力」 でしょうか。

お芝居のストーリーも。
その迫真のステージも。


感想を先に言ってしまうと、
「もう一度見たい。」


席は事前に予約していたこともあって、「え-13」という4列目(有観客2列目)のドセンから下手にひとつ、というとても良い席でした。

ただ、ステージを見るにはちょっと前過ぎたかもしれません。(笑)
役者さんが舞台の左右それぞれの袖に立ってのかけ合いがある場面では、セリフを言っている方にグルリと頭を向ける必要があって、反対側の役者さんがどんなリアクションをしているかが分からない。(笑)

歌田推しだからもう歌田初夏しか見ない!ならそれでも良いのですが(笑)、やっぱりお芝居全体を見たいですからね。

チケットを予約するときに、前方ブロックか中段ブロックか後方か、下手か中央か上手か、などを選べるのですが、選べ、って言われれば「前方中央」を選びますよね。(笑)
3回4回とリピートするなら別の場所を選ぶかもしれないですけど・・・

しかもその辺りの観客って歌田推しのヘビーリピーターがほとんどで、みんなで役者さんたちのダンスの振りコピする場面とかあって、ちょっと初見の人間にはアウェイ感ありますね。(笑)

舞台のラストで、観客がステージの役者さんたちと一緒にプレートライトを使って「漂流ダンス」という振りをする場面があるのですが、
私はかろうじて「全鉄大集合」の時に練習させられた(笑)からできましたけど、
ガチで初見だったらちょっと疎外感あるかも。(笑)

私はそこ以外は分からないので、もう開き直って腕組みして「メチャメチャ集中して舞台を見てるぜ」的なイヤな客になってました。(涙)

なのでもっと後ろの席でリラックスしてステージを見たいなぁ、という気になってしまいました。(笑)


この舞台も横内謙介氏の作で、
私は横内さんというと「KISS」シリーズのイメージしかないので(笑)、まーたなんかトリッキーな仕掛けがあるんじゃないか?と若干斜めに見ていた(笑)のですが、小中学生が見ても違和感は感じないだろうな、という普通の構成でした。(笑)

若干ネタバレになるかも知れませんが、
史実に基づいて、鉄は若くして病で亡くなってしまいます。
でも、舞台のラストシーンはそういった悲しいシーンで終わるのではなく、ジョンと鉄の幸せなシーンで終わります。

そういうつなぎ方はとても上手くて、

でも、そのラストシーンで
鉄はとても幸せな顔で目を閉じ、ジョンにもたれかかったまま動かない、という演出で・・・。

彼女の人生は幸せなものであったんだ、ということをオーバーラップで分からせる、という素敵なラストシーンでした。


「鉄」の役が歌田初夏にハマっていると思います。

剣の道場に生まれ、男勝りに薙刀を振り回す。
万次郎の説く「自由と平等」に共感し、万次郎に惹かれていく純粋さ。

そこにプラスして生きる、歌田初夏の背筋の伸びた姿勢の美しさ。

そういった鉄の姿を、歌田初夏が芝居がかったものではなく、自然な姿として舞台に載せる。


歌田初夏を「役者」という視点で評価したら、別に演技は上手くはないです。
声も舞台女優さんに比べれば、さほど出ない。

だが、それでも、舞台上で歌田初夏は「鉄」という女性を見せる。
ミュージカルのヒロインではなく、そこに鉄というひとりの女性がいる。

演じてセリフを話すのではない。
そこにいる女性そのものとして、言葉で伝える。

彼女は、そんな風に見えるのです。


歌田初夏はどうでしたか? と聞かれれば、
「うん、良かったですよ。」と答えましょう。

声は出ているところと出ていないところが混在していて、ちょっと評価が難しいです。

2幕のレザーの衣装で歌うロック調の曲は、腹から声が出ていて迫力があります。
でも優しく歌う場面では声を作りすぎていて(笑)ちょっとワザとらしい声に聞こえなくもない。
野島や三村と比べちゃダメ、って言う人もいるかも知れませんが、私は歌田はそこと勝負して欲しいので、ね。

でも踊りはさすが。

手のひらの返し方、指先の反らし方、踵の立て方、爪先の延ばし方。
他の女優さんに勝ってる、と言っても言い過ぎではないと思います。

しかし、何と言ってもこの舞台での歌田初夏の良さは、 その自然な姿。

上に書いたように、演技感、セリフ感、がほとんどないナチュラルさ。

「役」ではなく「人」としてそこに立っている。

それは役者としてはあまり良くないことかもしれません。
役者さんだったら、もっと大きく表情を作るかも知れないですし、もっと大きくリアクションするかも知れないです。

でも、それが見る人にとっては
そこにいる「鉄」という女性として、
リアルで自然な「人」として、
受け入れやすくしているのも事実です。

ここでも、歌田初夏自身が持つひたむきさ、はプラス要素として作用しているように思います。


ですが、やっぱり感じます。

歌田初夏を見る度に感じます。

歌田初夏の唯一にして、最大の弱点。

「自分に、自信がない。」


きっと、覚悟はあると思います。
でも、彼女の感受性が高過ぎて、自分がどう見えているか?が気になって不安になって、安心して笑えないのだと思います。

これだけはどうしようもありません。
他人がどうこう言ってどうなるものでもありません。

私は4年前のチーム8ツアーの愛知公演、日本ガイシホールで、最後の曲が終わって
汗だくで静かに笑った歌田初夏が好きでした。

でも、あの頃とは周りの期待も、本人の目指す場所も違うのでしょう。

この、完成されていない、何かひとつのピースが欠けている感じ、が今の歌田初夏なのかも知れません。

でも私は見たいのです。

熊崎晴香のように、
やり切って、やり切って、やり切って、
頭の中真っ白にして笑う。

そんな歌田初夏を見たいのです。


正に、彼女は「漂流中」。


だから彼女は「もう一度見たい」と強く感じさせるのかもしれませんが、

でも、いつかそんな姿を、
彼女のファンに、それを知らない48のファンに、

歌田初夏という素晴らしいパフォーマーの姿を
見せてほしいな、と願います。