前回の記事整骨院での保険(柔道整復療養費)⑮保険から調査がくる? その一「受診者紹介」の目的では、整骨(接骨)院から請求される柔道整復療養費に対して、保険者(健康保険組合、共済組合、国民健康保険等)から調査される原因について解説しましたが、ここではその結果どうなったか?に着目してみようと思います。

 

最初に一般的に調査される基準として、

 

①長期間による施術

②多部位の負傷

③頻回施術

 

の三つがあります。

 

その為、整骨(接骨)院での事前対策として、

 

3ヶ月まで治癒とは関係なく通わせ、2部位の負傷(してなくても)は必ず算定する。」といった方針を取る整骨(接骨)院をいくつか確認しています。

 

何故、負傷が2部位かは以下の記事を参照してください。

 

整骨院での保険(柔道整復療養費)⑬2部位の謎? その一 領収書には…

これは実際の骨折・脱臼・打撲・挫傷(肉離れ含む)といった、柔道整復療養費が利用出来る負傷の治癒までの施術期間と一致するものではありません。

 

そこに前回解説した整骨院での保険(柔道整復療養費)⑮保険から調査がくる? その一「受診者紹介」の目的で推察される煩雑な「受診照会」の理由が加わった結果、

 

整骨(接骨)院側と利用者と結託するような形で「口裏を合わせる」ような事態になっています。

 

例として整骨(接骨)院側から「転んでケガした事にしてください。」といった指示が、とある団体所属の接骨院が行っていたのを確認しています(現在閉院してます)。

 

それを見越して、調査の際に「整骨院に聞かないで答えてください。」「〇〇日(期間が短い)まで回答してください。」といった要求があります。

 

しかし調査の回答には、整骨(接骨)院で発行された領収明細書だけでは回答出来ない内容で、実際に保険に提出した柔道整復療養費の申請書(保険に提出した)を見なければ難しいものとなります。

 

とくに一部負担金の正誤を問われる箇所では、調査票には柔道整復療養費の申請書に記載された料金となっていますが、厚労省の指導により一部負担金の一の位は、窓口で四捨五入した金額を請求する決まりがあります。

 

また、調査アンケートが2ヶ月以上過ぎてから送られてくるので、通院が終了している場合が多くあります。

 

これでは整骨(接骨)院側で適正な請求をしても、利用者に送られてくる「受診照会」の調査票の回答に介入しなければならなくなります。

 

 

しかも調査を行うのは、外部の点検業者(保険の事務処理を行う)に委託している保険者(組合健保・共済健保が多い)が多くあり、個人情報が業者の手に渡っています。もちろん目的外利用は出来ない決まりになっていると思いますが、セキュリティが強固なはずの大手生命保険会社で、個人情報を外部に持ち出された例もあり懸念されます。

https://www.prudential.co.jp/news/pdf/841/20240409.pdf