僕自身の診療スタイルを言えば、総合診療科の耳鼻科と言えるかもしれない。
これは耳の病気、これは鼻の病気。個々の病気に限れば、自分よりすぐれた医者はいくらでもいる。特に、大学病院などの大病院にはそういう医者が多い。ところが、耳もわかり、鼻もわかりと複数の部位に問題となると、個々の専門医師では手に負えなくなる。
僕自身は、その思考のおおもとには、全身性の異常というものがあり、そのうえで、耳に何が起こってきたかというように考える。耳の病気を考える前に、全身の問題を頭に想定して治療にあたっている。
耳がかゆいという人がきた。耳だけをみて、病気を判断しない。まず確認するのは、既往歴。アレルギーの薬をもらっていて、アトピー性皮膚炎とも言われたらしい。
耳の中も皮膚であり、アトピー性皮膚炎の悪化は耳の中にも起こってくる。それがかゆみの原因になっているのだろう。アレルギーの薬は服用しているので、耳の中には局所に効かせる点耳薬を使っていく。
アレルギーの症状がどこにでてくるかは、人によって違う。しかし、この人は全身のアレルギー状態で、耳のかゆみは外耳炎の形でくるし、咳は喘息のかたちででる、鼻汁はアレルギー性鼻炎という形ででてくる。どれもアレルギーという体質ゆえにでてくるので、何がでるかは人によって違う。アレルギー体質がどこに症状をだしてくるのか。それを推測していく。