Winny裁判、簡易解説 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

ソフトWinnyがこの世の中にでてきたときに、個人間のファイル共有が簡単にできるようになりました。これがP2Pというシステムです。

 

このソフトは一気に広がり、映画などの様々な著作物が自由に交換できるようになってしまったのです。このため、著作権侵害をほう助したと、開発者の金子さんが訴えられ、裁判になったのです。

 

ナイフを使って人を刺殺したとき、罪に問われるのは誰ですか?それは刺した人です。ナイフを作った人は罪に問われません。

 

高速道路を作ったことで、みんながスピード違反をおかしたとき、高速で走れる高速道路を作った国土交通省が罪に問われますか。問われないでしょう。

 

Winnyの利用が著作物の違法コピーに使われたとして、誰が罪に問われるのですか。それは違法コピーをした人でしょう。Winnyを作った人が罪には問われないでしょう。

 

最初はみんなそう思っていました。ところが、現実に、Winny開発者の金子氏が逮捕されたのです。そして一審有罪。最後には無罪になりましたが。

 

これにより、日本のプログラマーや研究者が、P2Pの技術開発はまずい。逮捕されるかもしれない。このように恐れるようになり、プログラミングをしづらくなったのです。このことが日本の技術開発を遅らせることになりました。日本の技術が世界に遅れるようになったのです。

 

Winnyには穴があったと言われています。ソフトの是弱性ですね。そこをつかれて、いろいろな情報の流出が起こりました。映画の中でも触れられていますが、警察の機密文書が是弱性をついたウイルスにより流出してしまった。だから、やっきになってWinnyをたたこうとしたのではないかと。

 

金子氏もこの問題はわかっており、その修正は5分もあれば直せると言っていたのです。ところが、いきなり逮捕されて、プログラムを修正することを禁じられてしまいました。

 

日本を代表する天才プログラマーが、警察に逮捕され裁判にかけられることで、その才能がつぶされてしまった。そして日本の若いプログラマーもみんな萎縮してしまった。日本の運命を大きく変えてしまった事件とも言えます。