エボラ出血熱 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

アフリカなどで広がるエボラ出血熱。感染すると死亡率が半分ぐらい。これが広がり全滅した村も存在する。このような話を聞くと、すごく感染力が強くて、非常にやばい病気だと思い込んでいた。

 

ところが、実情はちょっと違うそうなのだ。

 

エボラ出血熱は、コロナよりもはるかに死亡率が高い。ただ、感染は嘔吐物や血液などの体液からうつるようなのだ。つまり、コロナのような飛沫感染ではないので、気を付ければうつらないようにはできる。うつるとやばいけど、実は感染力はコロナほどは強くはない。

 

エボラ出血熱と診断されると、病院で隔離される。隔離することで周囲に人間にうつさないようにしておくのだ。ところが、隔離した患者を、村の人たちが連れて行ってしまうそうだ。西洋医学の病院にいると殺されるからと、地元の村に連れて帰り、必死に看病し、呪いを受ける。これで治ると思い込んで対応するので、村人たちがみんな感染してしまう。その背景には、医療不信がある。西洋医学をまったく信じていないので、病気が広がっていく。どう説明しても、まったく理解されない。自分らが正しいと思い込んでいるのだから。

 

西洋医学を信じない人は、この日本にもけっこういる。信じる人と、信じない人がいると言っていいだろう。日本に天然痘ワクチンが入ってきたとき、多くの人はそのワクチンをうつと牛になると拒否したという逸話がある。いまどき、そんな理由で天然痘ワクチンを拒否する人はいないだろうが、新しいものを拒否する人は少なからずいる。だから、エボラ出血熱で村人が全滅してしまうのだろう。