子供へのコロナワクチン接種 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

モデルナ製ワクチンは18歳以上、ファイザー製ワクチンは16歳以上。年齢の制限があるなかで、コロナワクチン接種がはじまった。その後、米国ではファイザー製ワクチンは、12歳以上で効果があると確認され、適応が12歳以上になった。国もそれに準じて、12歳以上の子供にもコロナワクチンを推奨している。

 

子宮頸がんワクチン。高校生の年齢が対象である。このとき、接種後に体調を崩す人がけっこういた。当院でも接種をしているが、そのようなケースは1人もみていない。ワクチンの副反応ではないかと、マスコミをあげて大騒動になった。

 

その後、子宮頸がんワクチンに関して、そのような体調不良が副反応かどうかの調査委員会が開催された。その結果は、「副反応というよりも、心因性の反応ではないか」という結論になった。しかし、この結論はマスコミはほとんど報道していない。つまり、多くの人が、子宮頸がんワクチンをうつと、全身性の麻痺が残る副反応が起こるのだと印象付けられたままなのだ。

 

なぜ、高校生にこのような心因性副反応が頻発したのか。理由は2つ。一つは、本人がなぜワクチンをうたなければならないかを納得していないこと。このワクチンを打てば、子宮頸がんの予防になると言われているが、わかっているのは本人ではなく母親のほうである。母親が子供のためにうたせたがるが、その本人は打ちたくないと強く思っている。もう一つの理由は、かなりワクチン接種がかなり痛いこと。コロナのワクチンは接種時はほとんど痛くないが、子宮頸がんワクチンはかなり痛いと言われていたし、実際そのとおりだったのだ。

 

つまり、すごく痛いワクチンを、自分が嫌なのにうたなければならない。親の命令でうたされる。ここらへんの反発が、心因性の反応としてでてきたのであろう。

 

話をコロナワクチンにもどす。コロナワクチンは12歳以上18歳までの、中学から高校生ぐらいが対象になる。すると、同じような問題がでてくる。心因性反応は親への反発が強いこの時期に多いのだ。若者がコロナにかかってもほとんど重症化はしないが、そこから親がかかれば、親が危ない。親は危機感をもっていても、その子供はもっていない。親のためにワクチンをうたなければならないのか。そのような不満が子どもたちにあることだろう。

 

これでは、同じような心因性反応が多数でてくるに違いない。心因性反応の一番でやすいのは、接種直後である。接種直後にバタっと倒れてしまえば、それはワクチンのせいであると、親は訴えることであろう。

 

本音を言うと、ワクチンの必要性をまったく自覚していない子供にはうちたくない。各開業医はそう思っている。子供が倒れたりすれば、その責任を全部開業医に押し付けられる。

 

職域接種のように、学校でまとめてうつとかの集団接種にしてほしい。開業医はそう思っているが、行政は、「集団接種は子供には行わない」と明言している。そのような事態への責任ととりたくないのであろう。開業医の責任にすり替えるのであろう。

 

大人でも副反応が多いのが、このワクチンの特徴である。子供にうって、親に文句を言われるのはたまらないことである。それこそ、あそこのクリニックでワクチンうったら、子供が変になったと言いふらされるかもしれない。はっきり言って、どこの開業医もうちたくはない。

 

当院でも、12歳以上の子供へのワクチン接種は希望があれば行う。しかし、上のような事情を鑑みて、いきなり飛び込んできた子供へ、ワクチン接種をするつもりはない。トラブルに巻き込まれやすいからだ。ワクチンに対して少しでも不安をうたっえる人にはうたない。さらに、当院にいつも通院している子供以外には、ワクチンをうたない。これがトラブルを避けるための最善の方法である。

 

ワクチン接種はすすめるべきだと思うが、子供へうつのなら、その親たたちが、きっちりワクチンをうったほうがいい。実は年が高いほうがワクチントラブルが少ないのだ。