お盆休みに有休をプラスして、

涼太は合宿タイプの教習所で免許を取る為に南の島へと行った。




私は家でダラダラとしたり、

博物館や映画の鑑賞に行ったり、

テラリウムの手入れをしたり、

姉の家で姪っ子と遊んだりして過ごした。



ついこの前までプリンセスに嵌まってたはずの姪が


「まいねーちゃん、SnowManって知ってる?」


なんて聞いてくるから驚いた。



「なんとなくは分かるけど、ちゃんとは知らない」

と答えると、


マッサマンって面白いんだよ、SnowManは9人いて......

と話し始め


ここの事務所の子達に嵌まるって血は争えないなと思いながら 

SnowManの写真を見てたら、

その中に涼太に雰囲気がよく似た子がいた。



「まいねーちゃんは、この中ではこの人がタイプかな〜」

とその子を指すと、



この人はラヴィット!に出てるよ。と教えてくれた。








『笑い過ぎです』 



あー楽しい♪




「そうだ!せっかくこんなに飾ってくれてるんだし写真撮ろ!」



涼太の横に並びスマホを持つ手を伸ばすけど、

上手く全体が入らない、、


『貸して』


と涼太が私のスマホを持ち、肩をグッと抱き寄せて


『これなら全体が入りますよ』


と連写する。



"もう!何やってんの!"



っていつもなら突っ込むとこだけど、

今日くらいはいっか!って寛容になってしまってる。


ほろ酔いの所為もあるのかな。





《涼太side》




顔を横に向ければ唇が頬に触れてしまうんじゃないかという距離でツーショットを撮った。



そこには、ほんのり赤くなってトロンとした目の舞さんが写ってる。





何!この破壊力!!


この宙ぶらりんの関係を望んだものの、理性を保つのは中々大変で...




 "大切にしたい″




その思いが踏み止まらせてくれている。




レインボーローズと戯れ始めた舞さんを見ながら


今日が終わらなければいいのにと願った。









『どお?気に入ってくれた?』



スムーズなエスコート


気付けば引かれた椅子に腰掛けてる。




『今日は1日遅れのバースデーを祝して、オリジナルコースでおもてなしをさせていただきます』


と紳士なお辞儀をしてキッチンへと移動すると、目の前で1つ1つ丁寧に料理が進められていく。


きっと昨日ガッツリ食べただろうからと野菜を中心にしてくれて、そして魚が苦手な私にお肉がチョイスされ、細部まで心遣いが行き渡っている。


デザートはいつの間に焼いたんだか

ふんわりしたスポンジケーキの上にホイップ

クリームとカラフルなフルーツがその周りを彩り、甘さを押さえたアイスが添えられてる。






「感動! りょうた!嬉しいを通り越して感動してる!!」



涼太は終始ニコニコとして、舌鼓を打つ私を見て満足そうにしている。



「りょうたも一緒に食べようよ、お腹空いたでしょ」



『じゃあ、俺も一緒に。

シャンパンも用意してるんだけどいかがですか?摘みも用意してるよ』



車のことが頭を過り迷っていると、


『ノンアルのサングリアもありますよ』


と選択肢を増やしてくれた。


せっかくこんなにおもてなししてくれてるんだし、今日くらいはいっか!




改めて乾杯をして、一つ一つお洒落に作られお皿に盛られてるアラカルトを摘みながらシャンパンを味わい贅沢な時間を過ごした。



誕生日なんて年齢が嵩増してくだけで、


めでたくもないと思うようになってたけど、


こんな時間が過ごせるなら誕生日が来るのも悪くないな、と思えた。






「舞さん、来年の誕生日の予約させてください。


来年は他の予定を入れず、空けてて欲しいです』



「わかった、空けとく。 ねえ、りょうたの誕生日はいつなの?」



『3月です。 因みに、今のところ予定は入ってません』


「そうなんだ」


「いや、そこは “そうなんだ”   じゃなくてあるでしょ!』



ほら!ほら!! と欲しがるから



「え?何??わかんない」


ととぼけた。



『ええ!!わかんない??!!』


って口を尖らすからクスクスしてると



『笑うな!』


って益々尖るからツボに入ってしまう…






なんだか今日はこんな掛け合いも楽しくて心地いい