木々が色めく秋から冬の気配が顔を覗かせる頃、


幼馴染の結婚式があるからと涼太は実家に帰省した。






<涼太 side)


翔太がついに結婚をした。


幼稚園の頃に好きだった双子の姉の方。


バッタリの再会をきっかけに今日に至る。





あの翔太がねぇー、ついにねぇ、


父親になるのかーー!!


授かり婚な事にも驚いた。





一緒に参列していた母が「あんたはどうなの?」と聞いてきた。



『壁は低くなってきてる気はするけど、、まだまだかな....」


「あんたが頼りないからじゃないの?しっかりしなよ!」



『母さんは気になる?

その~、俺の彼女がかなり歳上だったら』


「そうねー、私より歳上とか同じ歳とかだったら戸惑うとは思うけど、


涼太は自慢の息子で、涼太をじてるから、


お前が決めることに口出しする気はないよ」



『ありがとう』



「涼太...負けんな!!」




”何にだよ(--!"











《涼太side》



それから時間が合えば、"新米ドライバー強化期間”と称して、


まだ行けてなかったお勧めの場所をドライブした。



眺めの良い小道や、神社の長い階段でエスコートしようと手を取ると、


気後れしたように居心地悪そうにしてる。




その理由は知ってる。




『俺は舞さんをエスコートするナイトの気分を味わってるんだから、

舞さんはお嬢様の気分を楽しんで』


握った手に力を込める。



不器用な笑顔で俺の言葉を受け流してるけど、振り解きはしない手。





舞さん、


舞さんにとってその壁はまだ大きいですか?


俺はいつ飛び込んで来てくれても受け留める準備はできてますよ。


この手から愛おしさが伝わるといいな...


てか、伝われ!!!!!








『そういえば、この頃あのピンク野郎見ませんね?』


「あ、転勤になったって挨拶に来てたよ。

そっか、りょうたは有休中で知らなかったんだね」



『へぇ、転勤したのか』



「りょうた嬉しそう」



『あ!連絡先教えてくれとか言われなかった?』


「聞かれた」



『で?』




「で?」



『教えたんですか?』



「教えてないよ」



『それは賢明な判断です』






俺のいない間に連絡先聞いたりしてたのか…


油断も隙もないな……












皆んなのお盆休み明けから数日後、ようやく涼太が出勤してきた。




少しだけ日焼けしているように見える。


デスクを回りながら皆んなにお土産を配ってる。


私のところまで来ると『土曜日空いてますか?』と聞いてきた、





「多分大丈夫、確認しとくね。それはそうと取れたの?」



『はい、無事に』



「じゃあ、お祝いしなくちゃね」



『そんなお祝いなんて大袈裟なことじゃないですよ』




「"おめでとう"ってことはめでたいのよ」




運転免許取得の為の合宿中、一切音沙汰無かったから


順調に進んでるのか? ちゃんと免許取れたのか? 


なんだかんだ気になっていたから


直接言葉を交わして確認できて安心した。









《土曜日》


いつもと違って




運転席には涼太



そして、助手席に私。




免許取り立てに同乗するのは中々の緊張感がある。




変に全身に力が入り緊張していたのは涼太にはナイショ。



若葉マークの運転にハラハラしている私とは対照的にマイペースな涼太。




涼太の家ではスマホの写真を見ながら、合宿中の話しを聞いた。




帰り際に



『はい、大好きなやつ』



と合宿先で買ったというマンゴーをくれた。






音沙汰無かったけど、


私の好物見つけてお土産にと思ってくれたのか…



そのマンゴーは特別に美味しく感じて顔が緩んだ。