《涼太side》
それから時間が合えば、"新米ドライバー強化期間”と称して、
まだ行けてなかったお勧めの場所をドライブした。
眺めの良い小道や、神社の長い階段でエスコートしようと手を取ると、
気後れしたように居心地悪そうにしてる。
その理由は知ってる。
『俺は舞さんをエスコートするナイトの気分を味わってるんだから、
舞さんはお嬢様の気分を楽しんで』
握った手に力を込める。
不器用な笑顔で俺の言葉を受け流してるけど、振り解きはしない手。
舞さん、
舞さんにとってその壁はまだ大きいですか?
俺はいつ飛び込んで来てくれても受け留める準備はできてますよ。
この手から愛おしさが伝わるといいな...
てか、伝われ!!!!!
『そういえば、この頃あのピンク野郎見ませんね?』
「あ、転勤になったって挨拶に来てたよ。
そっか、りょうたは有休中で知らなかったんだね」
『へぇ、転勤したのか』
「りょうた嬉しそう」
『あ!連絡先教えてくれとか言われなかった?』
「聞かれた」
『で?』
「で?」
『教えたんですか?』
「教えてないよ」
『それは賢明な判断です』
俺のいない間に連絡先聞いたりしてたのか…
油断も隙もないな……