スムーズなエスコート
気付けば引かれた椅子に腰掛けてる。
『今日は1日遅れのバースデーを祝して、オリジナルコースでおもてなしをさせていただきます』
と紳士なお辞儀をしてキッチンへと移動すると、目の前で1つ1つ丁寧に料理が進められていく。
きっと昨日ガッツリ食べただろうからと野菜を中心にしてくれて、そして魚が苦手な私にお肉がチョイスされ、細部まで心遣いが行き渡っている。
デザートはいつの間に焼いたんだか
ふんわりしたスポンジケーキの上にホイップ
クリームとカラフルなフルーツがその周りを彩り、甘さを押さえたアイスが添えられてる。
「感動! りょうた!嬉しいを通り越して感動してる!!」
涼太は終始ニコニコとして、舌鼓を打つ私を見て満足そうにしている。
「りょうたも一緒に食べようよ、お腹空いたでしょ」
『じゃあ、俺も一緒に。
シャンパンも用意してるんだけどいかがですか?摘みも用意してるよ』
車のことが頭を過り迷っていると、
『ノンアルのサングリアもありますよ』
と選択肢を増やしてくれた。
せっかくこんなにおもてなししてくれてるんだし、今日くらいはいっか!
改めて乾杯をして、一つ一つお洒落に作られお皿に盛られてるアラカルトを摘みながらシャンパンを味わい贅沢な時間を過ごした。
誕生日なんて年齢が嵩増してくだけで、
めでたくもないと思うようになってたけど、
こんな時間が過ごせるなら誕生日が来るのも悪くないな、と思えた。
「舞さん、来年の誕生日の予約させてください。
来年は他の予定を入れず、空けてて欲しいです』
「わかった、空けとく。 ねえ、りょうたの誕生日はいつなの?」
『3月です。 因みに、今のところ予定は入ってません』
「そうなんだ」
「いや、そこは “そうなんだ” じゃなくてあるでしょ!』
ほら!ほら!! と欲しがるから
「え?何??わかんない」
ととぼけた。
『ええ!!わかんない??!!』
って口を尖らすからクスクスしてると
『笑うな!』
って益々尖るからツボに入ってしまう…
なんだか今日はこんな掛け合いも楽しくて心地いい