雪組望海風斗ライブツアーNOW! ZOOM ME!! 配信感想①ビックゲートだいもん | 百花繚乱

百花繚乱

駆け出し東宝組。宙から花のように降る雪多めに鑑賞。

 

 

同期・明日海りおの退団コンサートも映画館のライビュで見に行き、楽天の宝塚オンデマンドの宣伝の仕事もやり、咲ちゃんの炎のボレロ相方・真彩希帆のミュージックサロンもライブ配信で鑑賞したことが確認されており、おそらく花組公演も星組公演も宙組公演も、もちろんフライングサパも壮麗帝も、言うまでもなく轟さんのDSも、間違いなく配信で見ただろうと断言できる、推定・配信全通配信を知り尽くしたトップスター望海風斗のライブ配信を見ましたよ、っと。

多分、見れてないのは、自分の出てたワンスだけだと思う。(キッパリ)

 

本拠地・宝塚大劇場で退団コンサートが上演できるようになったこと、この波乱の時間中の嬉しい知らせでした。

100周年の時のような、本舞台と銀橋をつなぐ夢の懸け橋ができていたことにも、胸が熱くなりました。

宝塚ライブ開演、そして千秋楽おめでとうございます。

 

※以下、内容に触れてあります。

 

 

■opening 何ゆえその衣装でその選曲。でももう何でもいいありがとうの部

・ZUKA!ZOOM UP!  (オリジナル)

・KIller-K  (花組:アプローズ宝塚)

・ごめんよ僕がばかだった (サザンオールスターズ)

・いつだってぼくたちは いきものがかり

 

Killer-Kはさすがの上手み。もう歌を咀嚼しきって、転がしてる感じ。

「ごめんよ僕が馬鹿だった」の軽快なギターの前奏でメンバー紹介ソング。

だいもん、サザンうまいなあ!! 

サザンのドンブラコメロディーも、男役発声のままで楽々、桑田さん独特の高音部の裏声もタメの部分もちゃんと雰囲気残ってる。

Ah,Ahの鼻に抜け感も素晴らしい。

あ、私カリ様の、音のてっぺんをなで斬りしていく歌い方も大好きです。

 

 

■翔ちゃん+男役ハットスーツシーン

・She bangs  (Ricky Martin)


定番の男役ハットスーツシーン、心に給水タイム。

やはり、男役はこれだよーー。

 

翔ちゃんのこってり感が思う存分堪能できたシーンでした。

ノリのいいラテンの音楽に、畳みかけるようなエスペランサな歌詞の熱唱、マッチョです。

 

後ろの映像が、キラキラ万華鏡の巨大翔ちゃん曼荼羅で笑ってしまいましたが翔ちゃんのウォウウォウ愛ちゃんのHOT STUFF と共に、もはやプロレス大賞を授与してほしい。 (プロレス好きです。パンジー賞並みの栄誉です)

短い言葉って、ほんと難易度高い。

芝居で言うなら、男役さんの高笑い 「ハッハッハッハッ」 と同じ難易度かと推察します。

それをいかに 「プロレス」 するかだと思うのですよ。ショーとギミックと本気のはざまというか。

ちなみに、ほかにプロレスを感じる歌は、みつるさんの歌でした。

 

 

■洋楽メドレー

だいもんが英語を勉強しているからでもなかろうが、見事に洋楽でしたね。

ラップ、ミュージカル調、バラードまで、しっかり歌いこなすだいもんと、組子たちもたくさん見れて楽しいオープニング。

 

・Nancy Mulligan  エド・シーラン

once upon 風ネイビースーツだいもん + 娘役さんエキゾティックダンス

アイリッシュの曲、ほぼラップな膨大な量の歌詞を活舌よくこなすだいもんが頼もしい。オスカーを思いだました。

 

・It's a beutiful day

すわっちとだいもんで歌い始め、男役娘役のペアダンスが見れることが本当にうれしくて、楽しい。 

明るい曲だけど、実は失恋した日の歌。別れられて嬉しい、いい日だなー、なんて言っているけれど、実は別れたくなくて傷ついている、そんな歌。ミュージカル調のテンポと、おかしみの中に哀愁がかすかに悲しさがただようのが、だいもんにとてもよく似合う。

 

・shape of my heart  バックストリートボーイズ  

だいもんのソロ。低音の声の余韻も、高音の飛翔感も素晴らしい。曲の透明感が際立つ、聞かせる一曲でした。

 

 

■余興タイム① 戦隊ヒーローもの 

・ウインクでさよなら(沢田研二)〔雪組 ラエスメラルダ〕

・ワンダフル・モーメント (松崎しげる)

 

「ウインクでさよなら」 のだいもんの、少年of 無垢は卑怯だ。

ピンクギラギラジャケット芸が、ニットマフラーにツイードコート着たフランダースの犬の少年みたいに可憐になっちゃって、たまげた。

ちぎさんに「最低」と言われていた浮気ソングが、青春ポップスソングに聞こえます。

 

だいもんvsカリ様の対決のフェンシングのマントはドン・ジュアンを思い出しますね。  

大劇場の屋上で撮影されているショッカーたちのダンスが笑える。

 

だいもん×松崎しげるはいい食べ合わせですね。

礼真琴×西城秀樹に次ぐ当たりカバーです。

情感たっぷりにムーディーに歌い上げる余裕。

「そこから一歩も動くんじゃない」 と言いながら、モーメン ”ト” で、ばっちりウインク決めるコテコテだいもん、ああ、今、だいもん見てるんだ・・って膝がわななきました。

 

「惚れてもいいけど、愛すなよ」 という決め台詞でもかましてきそうな、その上からの決めつけ感、大事にしていきたい。

宝塚の男役にしか許されない種類の気障の種火、継いでいっていただきたい。

咲ちゃんはクールそうに見えて、べたべたな気障もこなせると思うので、ひらめちゃん相手にどんな愛を見せてくれるのか、楽しみ。

サイトー先生、楽しい曲やポップな曲を入れながらも、基本的に、こってり照り焼きの肉厚を選んできてくれている感じがある。聞きがいがあって嬉しい。

 

 

■余興タイム➁怒涛のバブルメドレー

・バブリー革命 ばんばんバブル

翔ちゃん、真紅の口紅にナチ的軍帽に赤毛皮で登場、サイトー先生、それはバブルとは似て非なるムチとか持つジャンルじゃ?という疑問も、ギャル(仮)たちの禍々しいジュリ扇子とパラパラダンスとともに流されていく。

集団催眠の効果でもあるんですかね、パラパラには。

 

・My revolution  (渡辺美里)

バブリー衣装のまま、突入するギャルたちのmy revolution。

美しいあゆみねーさんのどすの聞いたサビに、アイドル歌唱の若いギャルズがハもる。

 

えーっと・・・渡辺美里さんはまだご存命ですが、よろしいんですかね、この曲、この使い方で・・(汗)

あゆみねーさん天咲礼音ちゃん、間違ってたらごめんなさい、千早真央ちゃんだったと思うんだけど、 三人でゆらゆらしているのが、ハロプロ風もの言いたげ上から目線で劣情そそらせ隊でたまらなくエモかった。(文字数) 泣きボクロがたまらん。

 

・キューティーハニー(倖田來未) 

モッツァレラバディで色気むんむんの妃華ゆきのちゃんでした。

後ろの画面に映し出される「いやよいやよ」のピンクの字体、見事に漫画チックな丸っこいポップな字体。サイト―先生、ラといい、フォントオタクよね、多分。

 

・I Love you さよなら (チェッカーズ)

キラキラまみれのルドルフ軍服衣装で、大きく両手を広げるだいもん。

これぞ、昭和スターの風格!

チェッカーズが歌うとやせ我慢してるさわやかないい男に聞こえますが、だいもんが歌うと、ドヤってるナルシストな男、つまり宝塚作品の男のように聞こえます。さすが。

 

・学園天国   雪組カレッジ、再編成。

・派手 (中山美穂) 愛すみれちゃん。かわいいなー。ありちゃんは芸のコシの強さが素晴らしい

・ダンシング・ヒーロー(荻野目洋子)  ひまりちゃん かわいい

・ビーチタイム(TUBE) 昼要素をすべて抜き取って、ナルシスト要素に全フリしたようなカリ様さすが。おーじ君、かりあんもこってりウインクがいい。

・17歳 森高千里 はおりんの地声がたまらない。黒ソバージュ華蓮えみりちゃん、セクシーだなー。

・Self control (TMネットワーク)

無機質感をすべて塗り消して、獣の咆哮へ。tmnではなく、完全にビーイング系 (TUBE、B'z大黒摩季)になってましたが、ダイスケ先生衣装着たすわっち達やり切ってました。

 

・六本木心中 (アン・ルイス) だいもん

名曲ですね。キャッチ―なリズムの後ろで、「それ!それ!それ!それ!」とか「hey hey  hey」とか合いの手の字幕が流れるんですが、違うんだ、サイト―先生。それは全然ポップさがない、コンサートの掛け声じゃない、二次会の掛け声なんだ。

 

・世界で一番暑い夏 (プリンセスプリンセス)  女じゃなく、ちゃんと男声で歌うだいもんのプリプリ。

・愛は勝つ(KAN)

赤い極太襟巻・鉤十字を思わせる軍服の翔ちゃん 「心配ないから愛は勝つ」 と歌われる心配しかない出だし。

その愛は、○国主義とか自己愛とかマドモアゼル愛とかじゃないの。

だいもんとしょうちゃんとのお辞儀、かわいい。

 

と、バブリーメドレーが終わったと思ったら、唐突に箱入り人体切りマジック開始。

いやいや、あのですね、うちらが普段見させてもらってる連続フェッテとかお衣装早変わりとか盆セリとか、だいきほの音楽のほうが、よほどマジックですから!!!

 

 

物議をかもしたバブリー、懐メロメドレーですが、私はありと思います。

ジェンヌさんとポップスの食い合わせは悪すぎて、宝塚唱法で歌いきれるのは80-90年代の曲がギリじゃないかとひそかに思っているので、この世代の曲でいいと思います。

(※こっちゃんは別です)

 

リアルタイムじゃない世代はポカーンだと思うけれど、その時代に評価されてた曲に触れるのも悪くはない。

私はリアルタイムではちあきなおみを知らないけど、コロッケたちのおかげで知った。

コロッケを知らない人は、チョコレートプラネットからつなが・・らないか。

知らないものを知るときに、引用から知るのも一つの通り方だと思うので、いいのではと。

 

ただ、いかんせん、バブルもジュリアナも宝塚の演目にするには現実味がありすぎて、虚構性に落とし込みきれてない感はちょっといなめず。 

そこで、だいもんですよ。

現実感と、宝塚であることの間を埋めるのが、ビッグゲートだいもんですよ。

 

それはもちろん、歌声という最強の飛び道具のみならず、だいもん自体がとても宝塚的だと感じる。

「宝塚的」 という言葉には六甲山の裾野ぐらいの広がりがあって、「総スパンの衣装で立ってるだけで空間を埋められる」 「シュッとして、キラキラしてて、化粧映えする」 「一抹のバタ臭さ」 「王子様感」 「仲間と一丸となって頑張る」  「成長する姿が見える」 「品性」 等々、ファンそれぞれに宝塚なるものへのこだわりがある。

 

トップスターの資格としてよく言われるのは、どんなとんちきな演目でも、ねじ伏せる力があること。

有無を言わさぬ存在感で、大劇場空間を掌握すること。

だいもんにはもちろん、その力もある。

 

が、私がだいもんがとっても宝塚的だと思うのは、どんな珍妙なお衣装でも、どんなお役のときでも、いつも、にかーっとした笑顔で、最高に嬉しそうにしているところである。

ビジネス笑顔には収まりきらない、宝塚愛がこぼれ落ちちゃった満面の笑みに見える。

あんなに楽しそうにイキイキされたら、もう何も言えない。

 

私は個人的に、「宝塚の世界観を肯定すること」 が一番宝塚的な要素ではないかと思っている。

平たく言ってしまうなら、「宝塚を愛すること」

 

存在感や芸の力で作品を完成させること、それは伝統的で最も明快な、宝塚舞台世界への献身だと思う。

それに加えて、宝塚を心底愛する姿を見せることで、宝塚の世界観は全肯定される。

その点で、だいもんは徹底的に宝塚だと思うのだ。

 

そんな人が銀橋の中央、私達に一番近いところで立っていてくれるということは、奇跡的なことだと思う。

夢のかけ橋のように、向こう側とこちら側をつなぐ、入り口に立つ大きな門のよう。

 

もう最近では、公演してなくてもいい、顔が見れなくてもいい、どこかで息吸って吐いててくれればいいと思ってました。

元気な姿で、舞台を見せてくれることが本当に嬉しい。

そして、どんな時も、こんな時でも、必ず質の高い作品にして見せてくれるだいもんへの信頼を改めて噛み締めました。

 

■黒燕尾

これまでの50分は、この美しさを引き立てるための壮大な前ふりだったんだ!! !と納得しかけてしまったほど素晴らしい10分間でした。

 

色気たっぷりにルパン三世を歌い上げる、シンプルな飾り気のない黒燕尾のだいもん。

今までショーでは正当な黒燕尾がなかったから、嬉しかった。

ぴしっと撫でつけられた金髪リーゼント、伏し目のだいもんの一部の隙きもない端正さに言葉を失う。

ひまりちゃんのフジ子ちゃん、お団子に黒シャツ・金ベスト黒パンツ、ハスラースタイルの娘役さんたちも小粋。

 

「小雨降る径」での男役燕尾も素晴らしい。

雪組の、柳のように整って品がある黒燕尾、恋しかった。

ちなみに、だいもんが顔の前でこっちに手をかざすときの手の角度、腕の角度、まぶし気な顔が大好きです。

 

 

 

 

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