以前、アイデンティティという概念を提唱した、エリクソンの話をさせて頂きました。
その時、アイデンティティ確立の要因として…「自分の思う自分と、周囲から見えている自分に大きな違いがないこと(帰属性)」という側面があるとお伝えしました。
今日はこの帰属性について、お話したいと思います。
帰属性を私自身に照らし合わせてみると…
「私は心理士だと思っていて、周りもそう思っている」
「私は息子達の母親だと思っていて、息子達もそう思っている」
そう思える自信などです。
心理士についても、母親についても、最初から確固たる自信があった訳ではありませんが(特に心理士は…)、歳を経るごとに、大筋で感じられるようになってきました
今でも多少の揺らぎはありますよ❗人間だもん
逆に、全く揺らぎが無いという場合は、思い込みが激し過ぎないか、周りに押し付けがましくなっていないか、振り返る必要があるでしょう。
相談室でも、帰属性に関する不安がテーマとなる事がよくあります。
私は○○ちゃんとお友達と思っているが、向こうは友達と思ってくれているのか…。私は○○君の彼女だと思っているが、向こうから彼女と思われているのか…などといった不安の訴えです。
こうした場面で生じる不安の原因には、①明らかに相談者と相手側とに温度差があるケースと、②相談者の不安が強過ぎるケースの2種類があると私は考えています。
カウンセリングではまず、相談に来られた方が感じている不安の種類が、①なのか、②なのか、その両方なのか…を、見極めていきます。
その上で、非常にざっくりではありますが…
①のケースであれば、その事実の受け入れまでの心の整理に、寄り添わせて貰う事がカウンセリングの目的となります。
②のケースであれは、相手の言動一つ一つで、相談者自身がぐらついてしまっているパターンの気付きを促す事から、カウンセリングは始まります。
それは、相手に認めて貰う事で、自分の存在意義を見出そうとしているため、相手の何気ない、素っ気ない態度でさえ、脅威を感じる高レベルの不安となる。このからくりに気付く必要があるからからです。
いかがですか❓
相手が自分のアイデンティティを保証するための物差しとなっていませんか❓
アイデンティティ確立には、相手に認めて貰う事も勿論重要ですが、何より、自分自身の物差しを持つ必要があります。
このため、②のケースでは、自分の物差しが持てるよう支持していく。これがカウンセリングの目標となるのです
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