チューリッヒ美術館展Ⅱ
ブログをご訪問くださいまして、有難うございます。このブログをご覧くださっていらっしゃる全ての皆様に、良き事が雪崩れのごとく起こる事を、お祈りさせていただきます。なお、昨今の豪雪被害でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りさせていただくと同時に、被害に遭われた方に、心よりお見舞い申し上げます。さて、今日は前回に引き続きまして、「チューリッヒ美術館展」のパートⅡです。では、早速行きますね。まずは、こちら。これは、エドヴァルド・ムンクの「冬の夜」と言う作品です。まず、この作品の左下にご注目ください。白い雲のような物が、見えますね。これは、一体何でしょうか?古来、人間はこういった植物を始め、様々な自然には精霊が宿ると考え、それを崇める傾向にありました。筆者が考えますに、これはその様な精霊の存在を書き表したようにも見えます。また、木の葉がはっきりとした輪郭で描かれておらず、キャンバスに葉の色が染み出しているようです。これは、幼くして家族が立て続けに亡くなった、ムンクの死生観を表しているように感じます。続いて、こちらもムンクです。 これは、ムンクの「ヴィルヘルト・ヴァルトマン博士の肖像」と言う作品です。この絵のモデルになったヴィルヘルト・ヴァルトマン博士と言う人は、チューリッヒ美術館の初代館長であり、またムンクの最初の個展が開かれた時に尽力したそうです。つまり、この作品はそのお礼の意味も込めて描いた物であるようなんですが、不思議な点があります。それは、まず博士の左手をご覧ください。よく見ないと分からないんですが、手の甲から赤い血のような物が出ていますね。さらに、これは美術館の中の様子なんでしょうが、左手がカウンターに「めり込んで」います。そして、両足は展示ケースに「突入」しています。この作品は完成までに10年を要したそうですが、その間2人の関係にいかなる変化があったんでしょうか?手が「めり込んで」いたり、両足が「突入」している所からすると、この館長は相当自己主張の強い人だったんでしょうか?ムンクだけで、かなりのエネルギーを費やしてしまったので、これからはサクサク行きます。次は、こちらです。 これは、マックス・ベックマンの「女優たち」と言う作品です。ベックマンは、一般社会の何気ない日常風景を描いた作品が多いですが、これもその一つです。筆者が注目したのは、左右に描かれている女性の表情の違いです。楽屋か何かの一場面なんでしょうけど、右の女性は優雅に本を読んでいるのに対し、左の女性は必死に頭を拭っています。この二人の女性の違いが、人生の喜怒哀楽を表現しているようにも見えますね。続いては、こちら。 これは、パブロ・ピカソの「大きな裸婦」と言う作品です。この絵で筆者が注目したのは、モデルの顔です。ピカソは、多くの画家がそうであるように、その生涯において作風が様々に変化しています。これは、特にキュビズムの特徴が出ているように見えますが、キュビズムと言うのは、写真のコラージュのように様々な事象をつなぎ合わせて描くのが特徴ですよね?このモデルの顔は、左半分が中心ですが、見えていないはずの右半分も描かれています。ここで思い出していただきたいのは、前回のルソーの作品です。この絵ほどではないにしろ、モデルの左右の表情が違っていましたよね?ピカソがルソーを評価した、と言うのは、案外こういう所かも知れません。そして、こちら。 これは、パウル・クレーの「深淵の道化師」と言う作品です。この作品は、写真にするととても分かりにくいんですが、とても特徴的な描き方をしているので、敢えてご紹介させていただきました。と言うのは、実はこの作品、色を塗ったキャンバスを細い線で傷を付けて描いているんですね。今までの、筆に絵の具を付けてキャンバスに描く、と言うやり方とは全く違います。この描き方に特徴があったので、ご紹介させていただきました。そして、こちら。 これは、ワシリー・カンディンスキーの「黒い色斑」と言う作品です。こちらは、黄色がトランペット、濃紺がチェロと言うように、全体で音楽を表しています。何となく、第一印象が音符が飛び交っているように見えますものね。ただ、タイトルにもあるように、染み出した黒い斑点は、この楽曲に納得が行かない様子を表しているんでしょうか?続いては、こちらです。 これは、ピート・モンドリアンの「赤・青・黄のあるコンポジション」と言う作品です。モンドリアンは、この3原色を使った四角くて、黒い直線に囲まれた作品をよく描いています。このシリーズを見ていつも思うのは、「キャンバスの天地や左右を入れ替えて見たら、どう見えるのだろうか?」と言う事です。そして、この3原色を混ぜると黒になると言う事実が、モンドリアンの作風にどういう影響を与えたのか、と言う事が興味深いです。なお、この作品のタイトルである「赤・青・黄のあるコンポジション」と言う表現が、前回ご紹介させていただいた、ホドラーの「真実、第二ヴァージョン」と言う作品名を思い出させたのは、筆者だけでしょうか?続いての作品は、こちらです。 これは、マルク・シャガールの「パリの上で」と言う作品です。シャガールについては、「エコールド・パリ展」でも触れましたね。右上に描かれているのは、シャガールと妻・ベラでしょうか?戦争による亡命やベラの死、と言った辛い事の多かったシャガールですが、パリにおけるベラとの幸福な時間を描いているんでしょうか?花瓶に挿したお花が、幸福の象徴のようにも見えます。それから、こちら。 これは、マックス・エルンストの「都市の全景」と言う作品です。ここからは、シュルレアリスムの作品になります。全く異なる世界を一枚のキャンバスに描いたシュルレアリスムですが、これはキャンバスに描いた絵の具に模様を押し当てています。写真では分かりにくいんですが、月の下に見える階段状の部分に、細かい模様が描かれています。この描き方に新鮮味を感じて、今回こちらでご紹介させていただきました。さらに、こちら。 これは、サルバドール・ダリの「バラの頭の女」と言う作品です。これもまた、写真では分かりにくいんですが、中央の女性の腰には手が回されています。また、椅子の肘掛けの部分は人間の手に、足の部分も人間の足になっています。今は、インテリアなどもデザイナーの個性的な活躍が目立ちますが、この当時はこのようなセンスは珍しかったんでしょうね。そして、最後はこちらです。 これは、イヴ・タンギーの「明日」と言う作品です。こちらは、砂漠を描いたとも湖底を描いたとも言われていますが、筆者の目には砂漠に写りました。そして、座ったり、横に寝そべっている人間がいるように見えます。タイトルの「明日」ですが、明日こそ、この砂漠を抜け出すつもりだが、今日は疲れたからここで休もう、などと話している様子が窺えるように見えます。このように、作品のタイトルと言うのは、その作品が表現しようとした物を解き明かす手掛かりになる事も多く、とても重要だと思って注目しています。以上11作品、前回と合わせて20作品をご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?まだまだ展示されていた作品は、この何倍もありましたが、全部ご紹介出来なくて申し訳ありません。今回も、最後までお読みくださって、有難うございました。(^◇^)